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コーチング雑感 ー 聞けるけど決められない!? ー

私がコーチとして活動を始めたころ、
日本は第1次コーチングブームでした。
当時は、企業に「コーチング研修」というスタイルで
導入されることが多く、その内容の多くは
「コーチングのコミュニケーション技術を学ぶ」
ものでした。
部下育成や部下指導にコーチングはいいらしいと
管理職対象にコーチング技術を学ばせるというのが、
当時の日本企業での研修の流行だったように思います。

そのような活動を2~3年したころだったでしょうか。
ある企業の人事教育担当者とうちあわせをしている時、
「実はこれまでもコーチング研修は
何度か実施をしているんですけど、
ちょっと悩んでいまして。。。」と切り出されました。
その担当者の話では、
コーチング技術の研修をかなり早くから導入していて、
「管理職に昇格したらコーチング技術を学ぶ」という
社内文化がある程度できているとのことでした。
何を悩んでいるのかとたずねると、
「これまでの研修で、”コーチング = 聞く技術”、
聞くことが大切という認識は
かなり管理職に浸透している。
部下や相手の話の途中で自分の言葉をかぶせないとか、
以前よりも話を聞くことは全体的に上手になっていると
教育担当側としても感じている。
しかし、”聞くことが重要”が独り歩きをしていて、
聞くことは上手になったが、自分で判断したり、
決めたりすることが苦手になっているように思う。
これってどう思いますか?」とのこと。

 「聞けるけど決められない!?」

この企業でのうちあわせをきっかけに
その後立て続けにうちあわせをした企業の担当者からも
同じようなことを言われました。
あげくに研修当日に受講中の管理職の方々から、
「コーチングってさぁ、聞くんだよね?
 でも聞いているだけじゃ仕事になんないんだけど!!」
と言われたりしたこともあります。

またある時、管理職の方とのパーソナルコーチング内で
「私には部下が10人います。
コーチングを知ってからは、
自分ももっと部下の意見やアイディアに耳を傾けようと
思って、ずいぶんと話を聞くようになりました。
ただ、聞けば聞くほど、
意見や理由がそれぞれバラバラで、
結局、どうしよう?というところが
自分で決められなくなっています。
どうしたらいいでしょう?」
と相談されました。

この例もまさに「聞けるけど決められない」の典型です。

これははいかん!と思いました。

確かに「聞くことは大切」です。
コーチングでは、
「相手の話をどう聞くのか?」は基本の基ですが
正直、聞いているだけではコーチングは成立しません。
コーチングはあくまで「相手が望む状態を達成すること、
または相手が解決したい課題をどう解決していくのか?」
などについて相手の状況を確認し、
どんな行動を考えているのか、
いつまでにそうしたいのか、
何か考えられる障害はあるか、等々、
相手が望んでいる方向に進んでいくために、
コーチングの様々なコミュニケーション技術を駆使して、
会話をハンドルしながら進めていく必要があります。
会話の中でコーチ自身が
「これをやりなさい」とか「こうしなさい」などと
判断した物言いをすることはありません。

ただ実際のビジネス現場では、
「結果・成果物の質・時間」といった
様々な制約条件がある中で皆が動いています。
ベテランもいれば、
まだ知識も経験も少ない若手もいたり、
様々なレベルの人たちが
一堂に会して仕事をしています。
そのような中で、結果を出していかなければならない
責任者でもある管理職の方が、
部下の話を聞いているだけでは仕事にはならないのです。
だから私は
「コーチングは管理職になった皆さんが持っていると
役立つ武器にはなりますが、
コーチングだけで管理職の責任を
果たすことはできません。」
ときっぱり説明をしてきました。

ビジネスの中でのコーチング技術は、
どのような場面で、
どう使われるべきか?
みたいなところを
ビジネスの現場がわかっているコーチが、
しっかりと伝えていくという責任があると
私は思っています。

「聞けるけど、決められない」では、
厳しいビジネス現場で
管理職の方々は活躍できませんからね。

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