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カクテルとしての焼酎の今後の世界

BenFiddich店主の鹿山です。



SG焼酎を皆様ご存知だろうか?


ウィリアム.リード社が主催する
World Best Bar50
Asia Best Bar50
にて常に上位にランキングしている
Barグループ【SG Club】が世界に向け発信し
プロデュースする芋、麦、米の三種からなる
新しいタイプの焼酎で【SG焼酎】と呼ばれる


そこで世界には焼酎はどう見られているのか?


日本酒業界が世界に認められ、華々しく世界の美食家達にも愛飲され
ある一定の地位を得たのはここ数年の出来事



焼酎はというと
日本酒に比べたらくすぶっているのが現状


BenFiddichではコロナ禍以前は多くの
外国人観光客が訪れた。
もちろん『SAKE!!』は日本に訪日したら
絶対飲んでおけという共通キーワード。


BenFiddichはどちらかというと醸造酒よりは
蒸留酒がメインなので
焼酎の方がまだ扱いが多い


そこで海外のお客様に焼酎へ誘導する際

『Do you know shochu?』と切り出すと
『of course!I know soju!』


違うよ
『Soju』ソジュは韓国焼酎だよ

これは何度もBenFiddichで
よくあったケース。
Sojuは世界中にマーケットを広げてるし
ソジュが固有名詞としての認知度が高いのもわかるが、混同されるのはなんかけしからんから正したい

差がわからない人はWikipediaで検索かければ
わかりやすく書いてある



とどのつまり、日本酒に比べたらまだまだ
認知度が低いということ

ただ、焼酎には大きな可能性を秘めており
日本が誇るスピリッツ
いま焼酎を世界に広げる為、生産者、バーテンダー、酒類関係者の多様な人々が
活動を始めている




特にこの【SG 焼酎】の特徴としては
従来の本格焼酎のアルコール度数は25度前後であるのに対し芋、麦、米共に
【SG焼酎】のアルコール度数は40度



これには理由がある



従来の本格焼酎のアルコール度数25度前後では
僕ら日本人はその度数帯に慣れ親しんでいるが
外国人にとっては軽すぎる
こと、世界のBarに扱ってもらうには
カクテルとして使う場合には他にも副材料を使用することにより、アルコール度数が低いのは
とても使いづらい。ベースアルコールとしては
難色を示されるのだ。



故に【SG焼酎】のアルコール度数は40度




これは本格焼酎の作り方は一回蒸留のみで
仕上げる技法であるので
原料に対してのアルコール回収率を鑑みても
ボトル一本分としての原料由来含有量は
贅沢な仕上がりの焼酎である。
(通常は原酒に対してそれなりに水で希釈する)




世界5大スピリッツという言葉がある

ウィスキー、テキーラ、ブランデー、
ジン、ウォッカ


本格焼酎は一回のみの蒸留に対し、
例えばウィスキー、テキーラ、ブランデーは
二回蒸留

ウォッカに関しては連続式蒸留
ジンに関しても連続式蒸留で得たスピリッツに
ボタニカルを浸漬し再蒸留

本格焼酎は一回蒸留のみであり
類稀なスピリッツなのだ。
(ペルーのピスコも伝統的に一回蒸留)


では一回蒸留だと何が起こるのか?

蒸留というのは精製作業だ。
雑味の部分を取り除くという作業で二回以上
蒸留するスピリッツが多い。
ただ、ここは駆け引きで
雑味はネガティブな言い方であって
ポジティブに捉えれば旨味成分もある。
一回蒸留だけであるならば原料由来である
素材の味わいが大いに残るということ

そうこの一回蒸留で完結させるスピリッツというのは世界を見渡してもそうそうない

これが世界へ向けて闘える日本の本格焼酎の強みである。

世界5大スピリッツである
ウィスキー、ブランデー、ジン、ウォッカ、テキーラ、
世界のカクテルシーンを歴史年表として書くと
19世紀〜20世紀初頭は
ウィスキー、ブランデー、ジンが圧巻
第二次世界大戦以後にウォッカ、テキーラ
が長らくカクテルのベーススピリッツとして
君臨してきた。
2000年代以降、インターネット情報の普及により世界が近くなり様々なものにフォーカスが当たるようになると
メキシコのただの地酒だったメスカルがカクテルシーンにフォーカスが当たり、あの独特な燻煙香がカクテル造りにおいて一種独特であり固有の味わいを形成できるとわかるや否や瞬く間に世界に広まる事象が起きた。

後にペルー、或いはチリのピスコ
様々な品種の葡萄から作られるピスコは
樽熟琥珀色のブランデーのそれとは違う
無色透明の葡萄由来の香りが楽しめる。

中国の白酒(バイチュウ)に関しても
ヨーロッパのバーテンダーはここ2,3年使っているのを見受けられる。中国の白酒生産者も
カクテル向けの白酒や白酒カクテルコンペティションなるものも2年前から開催している

このように今まで大きく世界的にフォーカスされてこなかったものが
フォーカスされてきている



新しい何か


にみんな貪欲なのだ



これは焼酎にもいえることで
何かのきっかけがあれば大きく世界に認められるだろう
それをSG焼酎がやろうとしている



モルト好きが
スコットランドの蒸留所を聖地巡礼するように
焼酎が世界に認知され世界中から焼酎好きが
九州の焼酎蔵を聖地巡礼する日がきたら
素晴らしいことだと思う

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