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アヤがインターンをしていたときの担当インストラクターから呼ばれて  昼の銀座に出かけて行った アヤは映像の撮れるメガネ装着

米倉美智子と言うその人は、冬だと言うのにノースリーブ、もっともその上にファーコートを羽織って来た、制服のない会社で服装は自由だが派手

重役連のサポートをする秘書課のお姐さんだ

カフェの椅子側に陣取りアヤをソファに座らせる、東新橋から出張って来たけれど、アヤと二人だと妙に目立つだろう 美人二人のオーラ?

コーヒーが来て話が始まった   

「アヤちゃん頑張ってるね?」
「何がですか?」

「社内すったもんだだよ、山本実を尻尾切して無かった事にしようと思ったのに、山本は在宅起訴されるわ、秘書のみならず議員まで出て来るわ、ついでに社内のコンプライアンスが機能しているかどうか問題になるわ」
「私は流されているだけです」

「戦う意志は伝えたでしょう、あの時」
「そうですね、で、彼氏がお膳立てしてくれました」

「そうなんだってね、秘書課じゃアヤちゃんの彼氏の話でもちきりだよ」
「そうなんですか?」

「私も護ってもらいたいって みーんな言ってる、アヤ姫を護るナイト」
「確かにナイトですね」

「アヤちゃん、良い男捕まえたね」
「はい、良い漢捕まえました」

「それほどでもとか言わないんだ」
「だって彼はステキで、学校で見掛けるたびに気になって」

「追いつめて狩った?」
「そうですね仕留めました、でも仕留められたかも」

「いいねいいね、相思相愛、今どき珍しい純愛」
「純愛ってなんでしょう?」

「誰も入り込む余地のない恋愛、互いに浮気のうの字も思い浮かばない」
「浮気は余裕ないな、思い浮かばないですね、彼をホールドするのに必死」

「お互いをきちんと観ているのが恋愛、その境地難しいよね」
「うーん」

「アヤちゃんはナチュラルに、そうなってるから感じないんだろうけど、私も何人かおつきあいしたけど、付き合ってるうちにメッキが剥がれて大抵男の方がちっちゃいなって思っちゃう、よそが見えちゃうのよ 男がちっちゃい分浮いた部分が有って浮気 その前に棄てるから私はしてないけど、浮気される男って力無いよね」
「そういうものですか?」

「御朱印帳巡りで覚えたんだけど、力愛不二」
「ああ、涼次が良く言います、禅の言葉だと」

「力の無い愛は無に等しく 愛の無い力は無 要は愛そうと想うにも力がいるのよ、今の世は特に お金と言う力が」
「彼とつきあうまえなら、そんな汚い考えと思ったでしょうが、今は美智子さんに同意です」

「うむ、良い漢とつるむと考え方も大人になるんだね、アヤちゃんみたいなお嬢でも」
「私はお嬢じゃありません」

「秘書課に、ほぼ決まってたんだから お嬢だよ、鈍通の秘書課はお嬢しかいなくて、社員の嫁供給課なんだから」
「あれこれあって知りましたけど、そうみたいですね」

「ほーんと旧態依然とした会社よね 便通ってITスラングにされちゃってるんだから、いっそすっきりしたら良いのに」
「美智子さん、言葉遣いが似合わない」

ガールズトークが延々続く、秘書課のお姐さん@アラサー美智子さんは別嬪で飾り気が無く良くしゃべる、そして唐突に本題

「アヤちゃん、身辺気をつけて」
「はい」

「ここまではリーガルな範囲での争いだったけど、これから先はイリーガルになる可能性が有るわよ」
「そうなんですね」

「怖くないの?」
「怖いです」

「でも、彼が居る」
「生命一つ盾に護ると言ってます」

「良いねえカッコいい」
「ですよね、大好きです」

「遠慮ないね」
「遠慮なんてしてたら勿体ない」

「覚悟決めてるね」
「女で在る覚悟を決めましたから」

「そうだよね、漢と番って孕まされて、死ぬ思いで子を産んで、漢が一緒に居るかどうかまで、女には賭けだもん」
「あの漢の子なら死ぬ覚悟で産みたい、彼が死ぬ覚悟で護ろうとしてくれるのを感じるから」

「うらやましいな」
「そうですか?」

「私も、そんな漢が欲しい」
「居ますよ空の下に一人」

「逢えるかな」
「逢えます、逢うんです」

「彼に惚れられてるから、自信が有るんだね、だから私にも言える」
「そうでしょうか? 惚れられようとは過ぎたる想い、嫌われまいと、この努力」

「そうして謙虚にしてるから、彼はアヤちゃんにぞっこんなんだよ、わたしゃおまぃに火事場の纏いふられふられて熱くなる, これはと思う漢には振られてばっかでさ」
「振られたら熱くなるかもしれません」

「私も良い漢だと思うんだけど、いつも振られて熱くなってさ」
「惚れさせようとか、嫌われまいとか、そういうの止めたんです」

「そう」
「相手の目に委ねてたら自分が消えていくから、自分が相手を楽しませることを見つめて行って楽しめたら良いって」

「相手をずっと見て自分が主体、アヤちゃん大人だね」
「漢に釣り合う女で居ようと」

2人のカップが空いた

「あと数年」
「え」

「私の出産の限界までよ」
「そうですね」

「気休めを言わないんだね」
「良い人ぶるのは止めたんで」

「良いね、私、アヤちゃん大好きになった」
「私も美智子さん大好きです、インストラクターになってくれた時から」

「山本から守ってあげられなかったけどね」
「いえ、きっちり援護してくれたじゃないですか」

「そか」
「え」

「女の私でも惚れる女だから、漢に惚れられてるんだ」
「そうですか褒められて嬉しい」

「うん、人同士なんだよ、人として好きに為れる相手が異性だったら、アヤちゃんと彼みたいなディープな恋愛が出来るんだね エクセレント!」
「Thanks」

「社に戻らないと」
美智子さんは手首の内側の時計を見た
「有難うございました」

「呼び出してごめんね、逢えてうれしかったよ、気をつけてね」
2人の別嬪は握手を交わした

さて、美智子さんは味方なのか敵なのか、親切な忠告なのか裏があるのか、僕は裏を取ることにした


翌日、丸ノ内線に乗った、新宿御苑で下車、北上、良い匂いが漂ってくる
「どこへ連れてってくれるの?」

新宿御苑から北上、僕たちの前に、焼き立てどら焼き 文明堂だから三笠山、午後なんかに来たら買いそびれるあちあちの どら焼きが大好きだ 12個買った

「おつかいもの?」
アヤにも2つ上げるからね

「あと10個は」
今日中に胃袋に落下するだろう、いや歩きながら喰うと、バスタあたりで6個くらい残り、家に着くまでに絶滅 甲州街道をプラプラ歩く

「ドラえもんか?」
「似たようなもんだ」

「中村屋のも好きって言ってなかった?」
「好きだよ、中華あんまんも好き、どら焼きも餡の感じがそれぞれ違うんだよね」

冷えちゃったら、デパートで買うのと変わらない、バスタを通過するまでに3個平らげた 甲州街道 左側に高島屋が見える

皇朝で点心を買って帰ろうか、それともなんか喰う? 小田急で叙々苑でも良いし

「点心食べたい」
はいよぉ 僕たちは甲州街道から南に渋谷側へ折れた

「好き勝手してるようで、ちゃんと合わせてくれてる、涼次、大きいね」
アヤが腕にしがみついてきた
「昨日の智恵子さんとの会話?」

「うん、私を楽しませようとしてくれてるのが解る」
「惚れてますから」

「私もほの字だぜ、涼次 こんなに努力してるのにとか言わないところが凄く萌」
「頑張ってるのに、努力してるのに、許してくれない見てくれないって負け犬の遠吠え」

「力愛不二」
「そだね、そして結果が全ての世の中さ、努力してダメならもっと努力する」

「諦めないんだ」
「こんな良い女諦めないさ、息が止まる瞬間まで一緒に居たいから」

「私も」
JRの線路を右に見てニトリ・ハンズ・高島屋 点心買ったら新宿三丁目からメトロで帰ろう



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