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「良いんじゃない?」 
アヤがあっけらかんと言った 黒縁の眼鏡をはずし、法律事務所の女性が持ってきたペットボトルのお茶を飲んだ

「ガリバーと言われ日本一の会社だから入って見たかったけれど インターンしてて、少し空気が解ったし セクハラ縁故ありありの会社だと想ったら醒めた」
「涼次に醒めちゃうみたいに?」
健吾さんが嬉し意地悪な顔で言う

「涼次には醒めないかな、鈍通より遥かに面白いもん」
「アヤちゃん、俺とちょっと付き合ってみない?」

「どうしたんですか健吾先生」
「いや、ちょっと箸休めにさ、違う男と付き合うのも良いだろう?」

「嫌です、健吾先生浮気するし」
「アヤちゃんが相手なら浮気しないよ」

「健吾、涼ちゃんに消されるよ、そしたら私,涼ちゃんの弁護買って出るからね」
「いや、軽い冗談だって」

頭の中で健吾先生の処理方法を考えていたのを冴子先生に読まれたみたいだ 死体が無ければ弁護は要らないななんて妄想してた

「私だったから浮気したんだ? 涼ちゃん、仕事頼もうかな」
「喜んで♪」

「いや、本当勘弁、もうアヤちゃん絡みの悪ふざけは絶対しないから」
「だよねぇ、涼次が本気になったら健吾消えるもんね」

アヤが綺麗な目を大きく見開いて僕を見た、大丈夫、冗談冗談と唇を動かす、冗談じゃないんだけどね

「お詫びに鈍通から目いっぱいひっぱるから ゆるされて」
健吾先生、まぢで顔色悪い(笑)

「アヤちゃんは あんたみたいなスチャラカ野郎がこなかけて良い相手じゃないんだよ、ほれ自室に戻って選挙関係のネタを進捗しな」
冴子先生、おっかないけど綺麗だ(笑)

「へーい」
健吾先生は部屋を出ていった

「ごめんね、うちの宿六が」
アヤ先生、僕に小さく手を合わせる
「ちょっと不愉快だったかな」

「だよね、まだ消さないでね涼ちゃん、もう少しあれも使い道あるからさ」
アヤは冗談を言ってると想って冴子先生と僕を交互に見ている

「アヤさ、鈍通から銭をひっぱったら、環境を整えるから鈍通でやりたかった事を僕とやろうよ」
「良いね、面白そう」

「父上母上には済まない事になるけれど」
「大丈夫だよ、もう話した、涼次と一緒なら、どこで何をしてても良いって、鈍通に入社するより、良い婿を捕まえたって周りに自慢出来るって」
いと、うれし♪

「涼ちゃん広島へ行った甲斐があったねぇ」
そこは同意なんだけど、山本実の件を聞いた時、僕もかちんっと着ちまって、その感情のまんまアヤに智慧をつけたもんだから、今の体たらくだ、感情を優先するとIQが堕ちる。 鈍通の体質が依然として変わってないのが解ったから良いんだと言ってもらえるけれど、入学以来夢だった職種を潰してしまったと後悔している。

「クリエイターをプロデュースして沢山の人を喜ばせる夢、涼次とやるよ」
アヤが力強く言う
「うん、一緒にやろう」
出来る事は全部してあげるよアヤ

「任せて、鈍通から9桁ひっぱってみせるから、資金は潤沢な方が良い仕事出来るわよ、健吾の取り分はちゃらで良いから」
今頃クシャミしてるかもしれない

「冴子先生、よろしくおねがいします」
アヤがぺこりと頭を下げた
「お姐さんにまっかせなさい」
冴子先生は胸をとんっと叩いた

駅前のMacにネット注文を入れた、スーパーでビールを買いMacに
アヤの分を併せてダブルチーズバーガー スパイシービーフで5つ
「涼次って時に謎に大食いだよね」
アヤも2つ食べるんだけどね

受取りカウンターに行き、スマホをかざすとスタッフに袋を差し出される

「スパビーください ポテト?飲み物要らない、友達の家で食べるんだ」
アラフォーに見えるおっさん、スーツはイージーオーダーだろうけどデパートもの、タイはそこそこ良いのを締めている。 
オーダーが出来るのを横に避けて待つ山本実 僕たちに手を振って見せる、いやアヤにか アヤが驚いて僕の手を握る

思わず口角が上がっちまった、やった9桁確定じゃん アヤはカメラを仕込んだ眼鏡をかけていた

家に戻りコーンスープをいれて 食べ始める
「どうしてダブチ―2つ 3分で消えるのよ?」
「ウルトラマンだったんじゃない?」

「私まだ1つめの2/3」
「うん、ゆっくり食べるのもありだね」

「普通のペースなのよさっ」
「アヤ、ピノコになった?」
インターフォンが鳴った 解決金お替り来た!

「アヤちゃん、開けてよ一緒にマクド食べようよ」
アヤは例の眼鏡をかけた、インターフォンに向かう
「山本実さん、御引き取り下さい」
「アヤちゃん、元彼氏さんがビール買ってたでしょ? 一緒に食べようよ」

僕は缶ビールを開けてビアカップ2つに注いだ
「山本さん、御引き取り下さい、接触禁止の念書を忘れたんですか?」
「アヤちゃん、そんな事言わずにさ、僕が居るのに浮気したのは赦すから マクド 一緒に食べよう」

僕は楽しくなってカップをぐいっと空けた
「山本さん、私に付きまとわないでください、帰って!」
退去勧告3回目、不退去罪成立、僕はスマホをぽちり

110番です、事件ですか事故ですか?

「このアマ、人が大人しくしてりゃつけあがりやがって、開けろよ、良いよ誰かと一緒に入るからな」
アヤは山本が逃げないように相手をしている、僕はおまわりさんに頭のおかしい付きまといが押しかけて退去しない、非常に怖いと告げる、住所を聞かれて応える すぐに警察官を向かわせると言われ、繋いだままにしておくよう指示された

ロビーのコンシェルジェのお姐さんから割り込み内線がインターフォンに、警察を呼んでよいか聞いてきた、既に通報したとアヤ

部屋のインターフォンが鳴る。 どんどんとドアが叩かれている、何か喚いているんだろうけど、ドアが厚くて、ちゃんと聞き取れない

5分くらいしたら、ドアを叩く音が止んだ
つないだままの携帯の向こうから、ドアを開ける様に指示された、警官が山本を取り押さえたという  

アヤがドアチェーンのまま開けた、山本が絶叫し2人の警察官に制止される、全て110センターに実況されている 警官は3人いる

あ~あ警察官も状況を誤っちゃった、今ので山本に、この部屋がアヤの住まいなのを確認させた事になる

所轄の署長にクレーム? 桜田門に抗議? いやおまわりさんが気の毒かしら 思考を巡らせているうちに、スパビーを喰い終わった

山本は連行された、ドアを開けて警察官を招き入れ、僕は上記の事を告げた、謝罪されたので、抗議は無し、叱責されたら気の毒だもん、で、アヤが落ち着いたら、二人で所轄へ説明に行くと言った。 警察官が去った。

アヤがハンバーガーを30秒レンチンして、ビールで平らげた、僕はアプリでタクシーを呼ぶ

「さて、行こうか」
と言ったのはアヤ、口にケチャップ着いてるぜ

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