【音楽雑記】#77 哀愁のミディアムバラード「ただ泣きたくなるの」「純愛ラプソディ」(1994年③)
1994年は同時期にちょっとテイストの似た名曲が生まれている。
8ビートで刻むミディアムテンポのバラード。感傷的なコード進行に甘くせつないメロディーラインが共通点。(そして、いずれもドラマ主題歌だ)
「ただ泣きたくなるの」中山美穂
この曲は中山美穂主演の1994年1月期のTBSドラマ主題歌。1992年の「世界中の誰よりきっと」に続くミリオンセラーの大ヒットになった。
80年代アイドルで90年代にミリオンセラーを出しているアーティストは少なく、松田聖子と小泉今日子と中山美穂ぐらいらしい。
基本メジャーのコード進行の中にセカンダリードミナントを使って哀愁漂うマイナーコードを多用したAメロ。
浮遊感あるBメロを経て、サビの「ただ泣きたくなるの~♪」ではディミニッシュや半音進行のコードの上で泣きのメロディがとてもキャッチー。
ファルセットの歌声も心地よい。
「純愛ラプソディ」竹内まりや
こちらは1994年4月期の日テレのドラマ主題歌。
同じくミディアムテンポのバラード。バッキングリズムを8ビートで刻みながらせつないメロディーラインの名曲。
Aメロのコード進行は、ほぼ「ただ泣きたくなるの」と同じ王道の泣き進行。
こちらも90万枚に迫る大ヒットだった。
「幸せになりたい」内田有紀
上の2曲から2年後ではあるが、こちらも似たテイストの曲。1996年1月期の日テレのドラマ主題歌だ。
こちらは「ただ泣きたくなるの」や槇原敬之の「もう恋なんてしない」の要素が入っている感じの、やはり8ビートで刻むミディアムテンポのバラード。
コード進行の基本構造も似ている。
どれも淡々と刻むリズムと哀愁のコードとメロディーによって、真面目に日常を送る毎日で揺れ動く感情、切なさ、哀しさを表現するタイプの曲。
こういったタイプの曲は健気さを表現できるアーティストが似合うと思う。
ちなみにユーミンの「Hello, my friend」もこの年のテレビドラマ主題歌。
バブルが弾け、日常を見直す中で、心を癒すこのタイプのミディアムバラードが求められた頃だったのかも知れない。
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