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【音楽雑記】#46 斉藤由貴の名盤「チャイム」(1986年①)

1986年10月に斉藤由貴の3枚目のアルバム「チャイム」がリリースされた。

前年に歌手デビュー以降、作詞で松本隆や森雪之丞、作曲で筒美京平や玉置浩二らの作品で立て続けにシングルヒットを飛ばしていたが、アルバム「チャイム」のあたりから作家陣を入れ替え、コンセプチャルな独自色を打ち出してきた。

作詞では斉藤由貴本人や谷山浩子による曲がメインな世界観をつくり、作曲家では亀井登志夫や当時20代の作家デビュー間もない崎谷健次郎やMAYUMIといったメンバーが加わった。アレンジャーの武部聡志も今では大御所だが、当時はまだ20代だった。

この頃、1960年前後に生まれた若い作曲家が出始めたタイミングだったように思う。先人が洋楽を日本語ポップスに取り入れてきた流れが、より洗練され、センスの良い日本独自のメロディラインやアレンジになってきたように感じた。

斉藤由貴のプロデューサーは長岡和弘という方で、元甲斐バンドのベーシストだったそう。長岡氏が斉藤由貴のアルバムコンセプトに新しい才能をマッチングさせ作品のクオリティをあげたのではないかと思う。

「チャイム」の楽曲はどれも粒ぞろいだったが、特にシングル曲以外の崎谷、MAYUMI、亀井の作品は素晴らしかった。

崎谷健次郎が、、「指輪物語」「水の春」「アクリル色の微笑」
MAYUMIが、、「ストローハットの夏想い」「いちご水のグラス」
亀井登志夫が、、「予感」「つけなかった嘘」「青空のかけら」、、をそれぞれ作曲していた。(CD盤の楽曲含む)

個人的には、この「予感」「いちご水のグラス」「アクリル色の微笑」が特に好きな曲だし、名曲だと思う。これらは全て斉藤由貴自身の作詞でとてもアーティスティックで物語性のある作品だった。

この「チャイム」のアルバム曲の延長線上に11月リリースのシングル曲「MAY」があった。作詞:谷山浩子、作曲:MAYUMIの曲で大ヒットする。それまでの売れ筋のシングル曲とは趣きが異なる曲だった。

以降、80年代後半の斉藤由貴作品には作曲家としての崎谷、MAYUMI、亀井の作品が多く採用され独自の世界観を出していく。

ちなみに崎谷健次郎は1987年にシンガーソングライターとしてもデビュー。
MAYUMI(堀川 まゆみ)はREMEDIOSこと麗美の実姉。以降も作曲家として様々なアーティストに曲を提供している。

2022年、斉藤由貴の娘で女優の水嶋 凜が「チャイム」の収録曲「予感」で歌手デビューしたのも感慨深い。作詞が斉藤由貴の作品で、サウンドプロデュースが再び武部聡志だ。
武部聡志氏のいう通り「母親譲りの透明感、浮遊感、エアリーさが魅力の声質」だ。DNAはしっかり受け継がれていた。



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