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日記(2022/07/12-13)

火曜日。ジョン・フォード『モホークの太鼓』見る。独立戦争。イギリスの将軍をジョン・キャラダインがやっていて最高。このうさんくさいのに気品ある風貌、本当素晴らしい。フォード映画の中で一番好きな俳優かも。クローデット・コルベールはカラーで見ると結構顔怖く見える。独立戦争時代にこんなメイクの人いるんか、という疑問は無粋かもしれないが。あとエドナ・メイ・オリヴァーの男勝りな感じが俺のおばあちゃんを思い出してしんみりした。対インディアン戦闘ものではあるが、今回戦うのは職業軍人ではなく市井の人々なので、普通にインディアンが住居に侵入してきたり放火したり、かなり邪悪なイメージで充ちている。磔にされて燃やされそうになる白人農夫がなぜか笑顔を見せるときのイメージも「何か見てはいけない、ものすごく残虐なものを見ている」という気持ちになる。エドナ・メイ・オリヴァーだけは、放火しに来たインディアンを逆に叱りつけてベッドを運び出させるなど、邪悪な行為を無効化させるくらいのパワーを持ったおばちゃんとして描かれていて、ここは笑える場面。フォードにしては珍しく(?)、ダンスシーンと不穏な場面が一体になっていない。

水曜日。ミシェル・ウエルベック『地図と領土』読み進める。『セロトニン』9月に文庫化の知らせ。今日は在宅勤務なので退勤してすぐアレクサンドル・アストリュック『女の一生』を見ることができる。最近はずっとジョン・フォードの大らかな雰囲気に浸っていたからか、こういう昼ドラ的な題材は見ていてしんどくなったが、それでもずっと面白い、いや、すげー速い、速いことと面白いことは大抵イコールになる。『ゴダール 全評論・全発言 Ⅰ』の中でゴダールが「速すぎて停まって見える」みたいなことを言ってる。速すぎるがゆえに映画の連続性よりもむしろ不連続性が際立つということ。ゴダール「マリア・シェルを館の外に連れ出すマルカンが美しいわけではない。彼がそれをするときの唐突さが美しいのだ」。速い映画はいくつもの唐突さを持っている。マリア・シェルの老母が階段落ちしたあとの姿勢と表情がちょっと怖くて良い。ラストの落下も最高!ここの死体は階段から落ちた老母と同じ姿勢、同じ表情をしている。

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