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だけど東京が好き?

何十年振りに東京に行ってきました。
飛行機に乗ったのは10年…以上振り、その時は横須賀に行ったのでした。
今回は身内のお祝い事で京橋駅付近での食事会です。
最初は当たり前のように一泊旅行のつもりだったのが、ランチだから日帰りが可能と気づいたとたん、とっとと帰ってこようと気が変わりました。
私は東京なんぞに興味がないのです。
観光とか、特に行きたいところもなかったのでした。
夫と二人、彼はかつて働いていた東京に思い入れがあるのですが、仕事場で面倒を見ている猫たちへの気がかりもあって、すぐ日帰りに同意してくれました。

異常なほどの人の多さ、建物・人工物の多さ…東京は嫌いです。
子どもの頃にあった人酔いの症状が再発していることもあり、憂鬱を抱えて飛行機に乗りました。
って、飛行機も大っ嫌いなんです!
こんなことを考えてました。

(誰だ~、飛行機なんて発明したのは!
 飛行機さえなかったら…
 飛行機さえなかったら…
 今の過剰さにかなりのブレーキが掛かってたはず…)

と、妄想が続き…
(産業革命から?
 明治時代から?
 とにかく飛行機の登場さえなかったら、
 物質的繁栄はかなり緩やかになってたはず。
 第一次世界大戦はともかく、
 WW2はもっと違う展開だったかもしれないし、
 少なくとも特攻隊とか原爆投下はなかったはず…
 飛行機が世界を狭くした…とてつもなく忙しくした…
 得られたものは大きかった。
 けれど、それを遥かに超えて失ったものの方が多い気がする…)

真っ赤な口紅をした客室乗務員の女性が微笑んでいます。
(お、一人だけマスクしてない。
 皆、同じメイクとか…そういう職場の中で偉い!)
彼女のお陰で、ようやく気持ちを逸らすことができました。
(客室乗務員、敏感肌の人は無理だな…)

羽田から京橋付近を目指して京急に乗りました。
休日の朝の空いた車内にゆったりと座り、ぼんやりと車窓の景色を眺めるうち、じんわりと懐かしい雰囲気に浸っていきました。
思い出したのです。
この解放感…唯一、私が東京を好きだと感じていたものを。
地元はもちろんのこと、移り住んだ他の町でも、その土地の独特のカラーを感じます。
束の間、訪れた旅行先でも。
東京は、そのカラーから自由になれる街でした。
東京だって、地元の人からすれば地域のカラーはあるのでしょうけど、地方の町が醸し出すカラーには「染まれよ!」みたいな圧があるように思います。
それが好きで心地良い人もいるのでしょう。
私は苦手です。
ずっとなんですが、何故か年を重ねて苦手感が増してます。

帰りの飛行機は40分の遅延。
疲れました~。揺れたし。
23時近くにリムジンバスを降りて我が家まで歩いて帰る道は、日曜の夜ということで車はまばら、すれ違う人はいませんでした。
その暗さ、静けさに、ささやかな解放感を味わうことができたのでした。


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