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"意見"は世の中に過敏な自分の心を守りぬく防具


先日ちきりんさんの「自分の意見で生きていこう」という本と「ぼくらは奇跡でできている」というドラマをみました。どちらも何度も見返すお気に入りの作品です。
二つの作品を往復する中で色々と考えが浮かんできたので溢れる思いに突き動かされこの文章を書いています。

結論を先に述べておくと

"自分の頭で考えた意見"はこの世界に一つだけの大切な自分の心を守ってくれる防具になる

と私は考えました。
繊細な性質を持っていたり周りの考えに流されやすい人、なんとなく現代社会に疲れている人こそ一呼吸おいて立ち止まる勇気が必要。
湧き上がってきた自らの意見を慈しみ育んでいけたら、いろんな角度から宝石のように磨くことができたら、世界に一つだけの強みを得られるのでは無いかとも考えました。

ちきりんさん「自分の意見でいきていこう」の解説と感じたこと

有名ブロガーちきりんさん待望の新刊です。
世の中に溢れる問題には「正解のある問題」と「正解のない問題」がある。
「正解のない問題」に何かしら自分なりの考えや意見が持てないとこれからの現代社会でとても生きにくくなるよと本全体を通して警鐘を鳴らしています。
「正解のある問題」に対しては真摯に調べ続け、「正解のない問題」については正しい答えを探したり誰かに見つけてもらうのではなく自分の頭でしっかり考える必要がある(つまり、自分の直面している問題がどちらなのか見極めることも大切)。また、考えたことをアウトプットする上でただの反応になっていないか、しっかり意見を持てているのかの識別も重要。直面する問題や主張に対してどのようなポジションをとるか明確にしないと意見は成立しないのです。

上記が重要なエッセンスになります。現代社会に隠れる問題を多用な切り口で解説してくれる良書でした。

本の中で
"意見が言えず反応しかできない人がその分野でプロになれることはない"
"自分のアタマで考えもせず、他者の意見に反応だけして仕事をした気になるな"

という言葉が刺さりました。思い当たることがあったからです。(主に仕事で)
私自身が抱えていた生きずらさは意見がないことから来ているのかもしれないと認識するきっかけになりました。


「ところでなんで意見が防具になると思ったの?」と思われたかもしれません。具体例を挙げてみます。仕事の例は(未だに胸が苦しくなるので)避け、少し前にSNSであったことを例に話します。
とあるインフルエンサーが

「子育てで時間がないことを理由に稼げないは甘え」

という発言をしてタイムラインがザワザワしたことがありました。
でも、これってあくまで一インフルエンサーの"意見"であって別に正解ではない(間違いでもない)と認識できていれば必要以上に心を乱されないんですよ。だって正解は無いので。(ちなみに自分はこの意見には反対です。子供の特性や家族の状況、母親個人のキャパシティによっては子育てに注力することも重要だからです)
正解のない問題だと認識した上で自分なりの意見を持てればさらに強いです。マジで防具。「こういう考えもあるようだけど自分はこう考える!」とポジションを取る。自分の抱いた考えも決して間違いではないと自分で自分を肯定できる。なので周囲を気にして心がすり減り結果自分の時間を浪費するという事態に陥らずに済む。


こうやって考えると意見というものは自己回復機能がある防具ですね。ファイナルファンタジーにそういう防具ありましたよね?(うろ覚え)


正解のある問題か正解のない問題か、意見なのか反応なのかを頭の中で振り分けるという行為が日本社会にもっと浸透すれば繊細な誰かの心が救えるんじゃないかな、もっと生産性があって優しい世の中になるんじゃないかなと真剣に思います。


その他、生きづらさの背景にあるのは学校的価値観という話も後述する僕らは奇跡でできているを理解する上でとても重要な考え方でした。

ぼくらは奇跡でできているの解説と感じたこと


高橋一生さん主演、橋部 敦子さん脚本(ぼくの生きる道や救命病棟24時の脚本家さん)のヒューマンドラマです。
高橋一生が演じる相河一輝は動物行動学を研究する変わり者の大学講師。
とにかく忘れ物はするし時間やルールを守れないけれど興味を持ったものに対する集中力や思考力がずば抜けている常識破りマイペース人間です。


そんな変わり者の大学講師と対比的に描かれている人物がかかりつけ歯医者の水本育実(榮倉奈々さんが演じてます)。水本は若き女医院長でいわゆるバリキャリです。1話目から相河にペースみだされまくり(興味のあることについて延々話される、診察の予約をドタキャンされる)「常識がなってない!」といった様子で相河に対してかなりイライラしています。

この作品には大学の職員や生徒、相河家の人々、歯科医院で出会った絵を描くのが好きな男の子などいろんな人物が登場します。それぞれの視点に立ってそれぞれが直面している問題を追体験できるところにこの物語の面白さがあります。今回は物語の主軸となる相河と水本に焦点を絞って解説をします。


全10話のドラマでどの回も見終わった後に自分ごととして考えるきっかけをもらえる話ばかりなのですが、中でも第1話の昔話「ウサギとカメ」の相河流解釈は現代社会を生き抜く私たちみんなが抱える問題だよねと思ったのでご紹介します。

ウサギとカメの新解釈


相河は診察中、

「(水本)先生はウサギに似ていますね」

と言う。

それに対し水本は

「私はどちらかといえば不器用だけどコツコツやる人間だからカメだ」

と言い返します。

相河は

「(自分の解釈では)ウサギはカメを見下すために走っている。カメは歩くのが楽しくて楽しくて仕方なくウサギとの競争を忘れ夢中になって歩みを進めている」

と返答。ショックを受ける水本。

子供って時に残酷で本質的なことをズバっていいますが相河の口調はまさに子供のそれです。

相河は決して水本がウサギであることを否定はしていないのですが、

"あなたは人を見下すことが原動力な人間ですね"

とありのままに自分が感じたことを伝えており印象的なシーンでした。これはちょっと現実世界で言われたらヘコむな(笑)

一応付け加えておきますが、相河のように意見をズバッと言うのが大切だ!なんて伝えたい訳ではありません。

何を軸にして物事を考えれば幸せになれるのかを考えることって大切だよねってことを伝えたい。


ドラマの事例は極端な例ですが、自分ごとに置き換えたらこういう場面ではウサギ、こういう場面ではカメという一面があったりしますよね。どちらがダメでどちらがよいというものではないけれど、カメでいれる期間が長い人生(目の前のことが楽しくて楽しくて仕方がない)ってすごく理想的だな。そう思いました。

何故相河が水本の本質をズバッと言い当てたのか、水本が相川との出会いでどのように変化していくのかがこの作品の見どころです。

人生でのやるべきこと、やりたいことを振り分ける上でのヒントになりました。

Huluで観れますので気になる方は是非ご視聴ください。
(少し前までアマゾンプライムでも観れたのですが、2022年2月時点ではプライム対象外のようです)


変化


ちきりんさんの本を読んだ後、僕らは奇跡で
できているの解釈が変化したんですよね。
「あ、この人物は正解のない問題に正解を求めてるな」
「この男の子は学校的価値観を押し付けられていて苦しそうだな」
と物語を深く読み解くことができました。好きな作品がさらに楽しめたのでちきりんさんにはとても感謝です。


今私が直面していること


2022年2月時点、今の私は0歳児の子育てに奔走中です。未だ意見を主張するのがすごく苦手なとても流されやすい人間です。


1ヶ月ほど前から自分の意見が持てるようにニュースや新聞を読むことを習慣にし始めました。何故なら偏りのない一次情報をしっかり捉えた上で自分の意見を持てる大人になりたい、そんな姿を我が子に見せたいと思ったからです。

家族のためにも自分のためにも困難な世の中でも強く・明るく・楽しく生きようと決めました。私は心が弱いのできっとこれからも意見が揺らいだりただただ反応してしまうことがあると思います。

そんな時は初心に立ち返ってちきりんさんの本をコンパスがわりに読み解こうと思います。

私の心の防御力を上げられるのは私だけ

なので今日も育児の傍ら防具作りに勤しみます。

散文にも関わらずここまで読んでいただきありがとうございました。

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