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BRAHMAN/SWORD (2023.11.29) at 函館 ARARA / Tour -Hands and Feet 9-

当初あげるつもりだった日から、仕事がばたついたり、インフルエンザに感染したりでかなりの日にちが経ってしまいました。できれば12月2日くらいの気持ちで読んでほしいです…(ライブ後の余韻がまだ冷めてないくらいの感覚)。

では。

このツアーに行くのが一つの夢でもあった。

未踏の地や訪れたことのないライブハウスを中心に回る事をコンセプトとし、2003年より不定期で行われているこの「Tour -Hands and Feet-」。コロナ禍を経てBRAHMANが行う初のライブハウスツアーがこのツアーというのがBRAHMANらしいと勝手に思っている。

2010年に行われた「Tour -Hands and Feet 6-」の模様がダイジェストで公式がYouTubeに動画を2本あげている。

ライジングサンで大トリを任されたり、幕張メッセで周年イベントをやったり、そんな日本を代表するロックバンドが、こんなにも小さなハコで全身全霊で見せる演奏を見ずして何を見る。

少しひどいことを書いてしまうが、意図的に見ようと思わなくても、何かを見に行って必ずそこにいるバンドっていうのが、その人その人にあると思う。僕の場合、コロナ禍前までそれがBRAHMANだった。POWER STOCK(パワスト)に行けば必ずBRAHMANが見れる。パワストに行かない年はライジングで大トリのBRAHMANを見た。その翌年はハイスタを真駒内に見に行ったら対バンがBRAHMANだった。更にその翌年は千葉にAIRJAMを見に行けば、1発目がBRAHMANだった。なのでお恥ずかしながら、BRAHMAN主催のツアーに足を運ぶのは今回が初めて。

今回のツアースケジュールに函館ARARAと札幌KLUB COUNTER ACTIONが入っているのが目に留まったとき、何が何でも行くことを決め、イープラスのチケット争奪戦にも耐えた。イープラスだから耐えれた。ちなみにローソンチケットとは一生相性が合わないと思っている。

そして個人的に函館ARARAにもずっと行きたかった。僕は大学時代を函館で過ごし、当時、函館Bay City's Streetというめちゃくちゃ雰囲気のあるハコがあった。下の記事でもそのハコについて少し記述しているので、参考までに時間がある時にでも読んでいただければと思う。



2012年3月に函館Bay City's Streetが閉店してからはこの規模感のライブハウスは函館からはなくなった。そして函館を離れ数年。2019年に函館ARARAができた。キャパは200人。おまけに、函館駅から徒歩圏内という函館のライブハウスにしては「ありえないくらいの」好立地(皮肉たっぷり)。もう行きたくて仕方がなかった。そして今回、行きたかったハコに行け、更にそこで行きたかったツアーの公演が開催されるという念願に念願が重なって、大号泣案件に発展。

そして今回のツアー、各地でゲストバンドが共演している。場所によってはBRAHMANのワンマンや、イベント企画だった公演もあるみたいだが、ほぼほぼ各地のゲストバンドがその土地が地元のバンドであること。これもこのツアーの意義として挙げられると思う。そもそも、冒頭で述べた「未踏の地や訪れたことのないライブハウスを中心に回る」というコンセプトにその土地一か所一か所を大切にする意味合いのようなものを感じられ、そこに東京からゲストバンドを呼ぶのはコンセプトと相反することだと思う。なので、対バンが地元のバンドっていうのが本当に良いなあと思ったし、必然とも思った。

函館ARARAの対バンはBSHC(ベイサイドハードコア)を掲げる函館のバンド・SWORD。

25分間の演奏は、ライブ、演奏という枠を超え、バンドとしての活動の生き方・在り方を提示するかのようなステージだった。正直、僕はハードコアのジャンルの音楽は普段ほとんど聴かないので、個々の曲がどう良いとかそのようなことを言える口ではない。でもあの日、そこで鳴ってる音っていうのは、これから先の自分の人生の中で暫く消えることのない音になったのは違いない。刺さる人にはしっかり刺さってたっていうのもライブ後のTwitter見てて思った。

SWORDの余韻に浸りながら転換時間を経て、BRAHMAN。お馴染みのSE「Molih Ta, Majcho I Molih」が会場に響き渡り、その瞬間に転換の雰囲気も一気に変わる。そしてTOSHI-LOW以外の3人がステージに姿を現し、SEが鳴り終わると同時に、KOHKI(Gt.)が弾き始めたのは『FOR ONE'S LIFE』のイントロ。そしてTOSHI-LOW(Vo.)がついに姿を現し、「IF EAGER, I ACCEPT ALL DELUSIONS」と歌いだし、50分1本勝負のステージ、始まる。

自分が初めてBRAHMANのライブ映像が2008年のロックインジャパンフェスの映像だった。そのライブの1曲目もこの『FOR ONE'S LIFE』だった。その動画から一気にBRAHMANの世界に引きずり込まれたのもあって、『FOR ONE'S LIFE』から始まるBRAHMANのライブにもどこか憧れがあった。なので函館ARARAでこの曲を聴いてるとき、初めどこかテレビの中の画を見ているような感覚になったけど、曲の終わりの方では完全に目の前のライブに吸い込まれていた。

『Epigram』と続き、『賽の河原』の間奏終わりでは、持っているマイクスタンドを真上にに思いきり突き上げ、天井を直撃。その横でMAKOTO(Ba.)は束ねた髪を思い切り振り乱し、全身でベースを弾いている。勢いそのままに『CIRCLE BACK』が演奏されれば、続く『AFTER-SENSATION』では、TOSHI-LOWのあの抒情的に歌う姿に心を奪われた。

この日はステージとフロアの境界となる柵はない。いわば、ゼロ距離。なのでダイバーもステージ目掛けて飛べば、再びステージダイブで飛んで戻る。この日、身体の割と大きい人が飛んでいた印象が演者側でもあったのか、後にTOSHI-LOWが「ダイブしたかったらダイエットしろ」とツッコミを入れていた。

『CHERRIES WERE MADE FOR EATING』からはもうBRAHMANの得意技とも言わんばかりに、組曲のように曲が畳みかけられていく。BRAHMANを知らない人が見たら『BOX』~『BEYOND THE MOUNTAIN』の繋ぎなんてどこで次の曲に入ってか判断がつかないくらい、それくらいに芸術的な繋がり。そしてRONZI(Dr.)のノンストップで畳みかける恐ろしい体力、ドラミング。体力に関してはRONZIに限らず全員。2008年のライブ映像を飽きるほど見ていたので、この繋ぎが「BRAHMANのライブ」と言えばこれ、と思う瞬間でもあった。

そして続く『警醒』。以前のBRAHMANのライブでは、この曲と言えば、イントロが徐々に加速し、歌い始めの瞬間でTOSHI-LOWがフロアに降臨するのがある種の決まりのようなものだった。が、この日はフロアに降臨することなく、ステージで歌い終えた。『不倶戴天』では「もっとこいよ!」と更にフロアを煽るTOSHI-LOW。そしてフロア最前に身体がのめりこむような状態でのKOKIのギターソロ。最後、「すなわち 赦すってことだ」の所では、TOSHI-LOWがピースサインを両手で頭上に突き上げ、それを合図にフロアにピースサインが広がる。

わずかな静ののち、RONZIのドラムから始まった『CAUSATION』。サビの泣きのメロディにTOSHI-LOWのボーカルが乗っかり、エモそのもの。ラスト「I saw a shadow dying behind」の絶叫、マイクスタンドをへし折ったシーンは、間違いなくこの日のハイライト。

と思っていたら、次の『Slow Dance』もまたとんでもなかった。コロナ禍に発表されたシングルであり、どこか映像とセットで演奏されるのがデフォルトみたいに勝手に思っていたこの曲。けれども、TOSHI-LOWが一人でステージで魅せる動き、ダンス、気迫めいたものを感じる。迫ってくるとかではない。ただ「静かに 踊れ 激しく Slow Dance」その言葉をまるで体現しているかのように見える。そして最後突き抜けていくサビの感じ、小さく狭いハコも超似あう。

「もっと温まる方法を知ってる。それはみんなで歌うこと。」そうフロアに投げかけ、始まった『今夜』、そして『鼎の問』はとにかく沁みた。「あぁ今夜 終わらないで」と歌うTOSHI-LOW。自分も全く同じ気持ち、こんな夜は一生続けばいいのに。でも一生続くとこんな有難みも感じないのか、なんて思いながら曲を聴いていた。

そしてこれも初期の大名曲『ANSWER FOR…』を演奏し、ラスト『The Only Way』。震災以前は、BRAHMANのライブにMCなんて概念すらなかった。震災が起きて話すようになり、映像作品がでれば、MC DIGESTという特典までつく時もあったくらい話すようになった。この日、必要最小限のMCしかしていなかったライブはどちらかというと、個人的には震災以前のライブを彷彿とさせるところがあった。ただ、最後わずかな時間フロアに言葉を投げかけ、「迷わない唯一の方法、それは迷い続けること」そう言い放ち、曲を演奏し、BRAHMANはこの日のライブを終えた。

家庭用エアコン1台のフロアは灼熱と化していた。僕はPA卓の前くらいの位置で見ていたのだが、この位置でしてもここまでの汗の感じは久しぶりだった。でもこの感じを求めていた。開演前、少し冷房効きすぎじゃないか、なんて思っていた自分を横殴りしてやりたい。

そしてハコを出て身を襲うような寒さ、視界を遮るレベルでの雪も、まあ悪くないなと思った。

BRAHMANを小箱で見る、という経験が必要だった。そしてそれを「Tour -Hands and Feet」で、更に函館ARARAで見れたことの意味は計り知れないくらい大きい。何年先まで自慢できる夜。

最後に、この日のハコの看板がめちゃくちゃ良かった。今回のツアーのフライヤーのイメージを維持してるし、文字のフォントの感じとか、もう全部良い。こういうのもライブハウスの良さだと思う。またそのハコに行きたくなるきっかけにもなると思う。最高っす。



BRAHMAN Tour -Hands and Feet 9-
2023/11/29 at 函館ARARA
w/SWORD
1.FOR ONE'S LIFE
2.Epigram
3.賽の河原
4.CIRCLE BACK
5.AFTER-SENSATION
6.CHERRIES WERE MADE FOR EATING
7.BOX
8.BEYOND THE MOUNTAIN
9.警醒
10.不倶戴天
11.CAUSATION
12.Slow Dance
13.今夜
14.鼎の問
15.ANSWER FOR…
16.The Only Way

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