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2023.08.11 RSR 2023 in Ezo "くるり"

自分が初めて「くるり」というバンドの演奏を目の当たりにしたのは、2008年のライジングサン。あの時は1日目のSUN STAGEのトップバッター。曇り空の中、1曲目に「ワンダーフォーゲル」を鳴らしていた。

あれから15年、「くるり」というバンドは、いまだに自分の音楽の中心的存在に君臨し続けている。ゆえにいつでも見たくて見たくてたまらない存在。まして、私情で今年のツアー、7月2日の札幌公演を観に行けなかったので、その欲は爆発寸前。

今年のライジングサンのアーティスト発表、「くるり」の名があった。そして、どこか自分の中の暗黙の了解みたいなものから、"SUN STAGE"、もしくは"RED STAR FIELD"だろうなあと決め込んでいた。しかし、いざタイムテーブルが発表されてみると、バンドの名前があったのは"EARTH TENT"。正直、イメージが湧かなかった。「ストレイテナーがEARTH TENT」なのはなんかしっくりくるんだけれども、「くるりがEARTH TENT」なのが、なんかしっくりこなかった。(決してテナーを悪く言ってるわけではないです、なんならテナーも大好き。この感じ伝わるかどうか…)

そのまま当日を迎えた。

このどこかしっくりこなかった感覚、ライブ後に思い切り覆された。

前のバンドが終わり、バンドの機材が運び込まれたのち、メンバーがステージに現れ、そのまま音の確認。

「じゃあ曲で。」というスタッフの声掛けから、まず鳴らされたのは『ワンダーフォーゲル』。まだリハーサルではあるものの、客席エリアの盛り上がり方は、それはそれはもう。この曲の持つ高揚感、これから始まるライブにより期待が膨らむ、そんな作用がある気がする。

続けて『太陽のブルース』。こちらもフルコーラスで演奏される。
2017年、ライジングサンに大トリで出演していた時もこの曲は演奏されていた。あの朝方の時間帯に聴いたこの曲がすごい良くて、この曲を聴くたびに当時の様子を思いだすきっかけになっている。

そして諸々を確認し、バンドは一旦袖に捌けていく。

21:20、オンタイム。ライジングサンの登場SEが流れ、中心が照明で照らされたステージに、メンバー一同が現れる。

この日のくるりは、岸田繁(Gt,Vo)、佐藤征史(Ba,Cho)に加え、石若駿(Dr)、松本大樹(Gt)、野崎泰弘(Key)というここ数年ではお馴染みの鉄壁の布陣。

岸田「くるりです、よろしくお願いします。」

『In Your Life』からライブは始まった。

あの場所へ向かえば
あの場所へ向かえば
あの痺れるような出会いを
思い出せるかな

『In Your Life』サビ

自分の気持ちを全部代弁されてるのかと思ってハッとした。
2007年に初めて行ったライジングサン。そこで知ってしまった、色んなバンドとの痺れるような出会い。今年もまたそれを求めて石狩に行ったのは間違いないのだ。あとは一緒に行ってくれる友達、会ってくれる人との再会。

まだ1曲目なのに、この曲を聴くと、過去の記憶が走馬灯のように脳内を駆け巡ってた。だけどこの曲が1曲目で良かったとも思った。

『In Your Life』終わり、そのまま岸田がギターを徐に弾き続け、そのまま雪崩れ込んだ『Morning Paper』。

毎度のことながら、サビ前のブレイクでは歓声がこれでもかというくらいにあがる。

昨年のツアーでもこの曲は演奏されていた。なんか足りない。これだった。拍手じゃない、この歓声あって成り立つ『Morning Paper』、これを聴きたかった。普段、あまり声を上げない自分が、気づけば無意識に声をあげていたのがその証拠。

2回目のサビ前のブレイクでは、岸田が「くるりです、よろしくお願いします。ベース、佐藤征史。」と改めてバンドを名乗り、とにかく唸るあのベースソロに入る流れ、控えめに言って最高。

サビ終わりは、見せ場といわんばかりに松本のギタープレイがステージ前方で炸裂。そしてその横で岸田もステージ前方まで出てきて、腕を大きく振り上げアグレッシブなギターを弾きまくる。そして、それを見守るかのように佐藤、石若、野崎の3人。これこそ『Morning Paper』の完成された構図だと思う。個人的に早くもこの日最初のハイライトである。

最初のMCでは、やはり北海道らしくないこの暑さに触れる。そして遠くSUN STAGEから微かに聞こえるback numberの音が岸田にも聞こえたのか「すごい楽しそうな音が聞こえますが、くるりらしく、バラードやります。」。横で笑う佐藤。

そう言って演奏されたのは『奇跡』。

少し脱線してしまうが、最近いろんなバンドのライブに行って思うことがあって。昔だったら「あの曲やった、この曲やった」とその曲が演奏されたされなかったこと自体に対して思う気持ちが強かった。しかし、今は、「この曲この曲順でやるの!?」と、セットリストの組み方に気持ちがいくことが多くなった。勿論、普段やらない、通称”レア曲”が演奏されたときは嬉しい。しかし、普段演奏されてる曲でも、セトリの位置が違うだけで面白く感じ、故に新鮮に感じる時もあり、そういう楽しみ方も最近はできているなあと。

この”3曲目、『奇跡』”がまさにそれだった。良い意味でさっきまでの『Morning Paper』の余韻を消し去るような、圧巻の演奏。また、この時間に野外で聴く『奇跡」がたまらない。アウトロは、松本のギターソロにボーカルのコーラスがハモるように乗っかってくるのが聴いていてマジで気持ちいい。

そして先日解禁されたばかりの『California coconuts』が続く。

この日はギターの交換の頻度も多かった。ほぼ毎曲で岸田、松本どちらか、あるいは両者交換している勢いである。『California coconuts』の最後も岸田が弾いている後ろで松本がギターを交換する。そして、曲が終わり、その松本のギターから鳴らされるは、『琥珀色の街、上海蟹の朝』のイントロのあのギター。曲中、黄緑と赤の照明がステージ上を照らしていて、どこか上海の夜の屋台の出店が連なっているかのような雰囲気の色してた。上海行ったことないけど。

曲の最後では、岸田がステージ前方で”岸田ダンス”なるフリースタイルな振りまで繰り出される。まさに、”東の後藤正文、西の岸田繁”といったところであろうか。

ただ、これは振りを決して否定しているわけではなく、自由に楽しんでいいんだ、ということをフロントマン自ら体現してくれてる、ということであって、アジカンのゴッチがいつもライブで言っている「皆自由に、誰の真似もせず楽しんで」ということだと思っている。要は最高なのである。

そして石若のカウントから雪崩れるように『ワールズエンド・スーパーノヴァ』に突入。イントロ開始2秒でテント内に湧き上がる歓声。最初のサビ終わり、何かを掴み取ったかのように拳を頭上にあげる岸田の姿が印象的、そしてその姿にまたあがる歓声。そして、青い照明がステージ上を照らし、どこか浮遊感漂わせる曲の感じ、夏の夜の野外ということすら忘れ、どこかクラブにいるような錯覚、とても20年も前に作られた曲とは到底思えないほど現代でも鳴り響くこの曲のポテンシャルの高さたるや。

”ドゥルスタンタンスパンパン”のブレイクの所では、岸田をフィーチャーするかのように一瞬赤い照明がステージ上を照らす。かっこいい。

曲が終わっても歓声がなかなか鳴りやまない。そんな中で岸田があの曲のイントロを弾き始める。そして、一度聴いたら確実に耳に残るあの鍵盤のフレーズがギターに重なる。多分この先も『ばらの花』は名曲なんだろうなあ。そんなこと思いながら聴いていた。
アウトロはバンドでびしっとキメて終わるスタイル。

二度目のMC。

まず、バンドメンバーの紹介。最後に「北海道出身にして初ライジング、無事ライジング童貞を卒業」と岸田から紹介された石若の表情がめちゃくちゃ楽しそうだったのが印象的だった。

「ここまで爽やかな感じの曲とかやったので、こっからは泥臭いのをやります。逃げたらあかんよ。」

そんなこと言うもんだから、このあと「こ、のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、街わぁぁぁぁぁぁぁ」って来るのか!?、なんて淡い期待をしたが、バンドが鳴らしたのは『虹』。正直、そこまで泥臭くないじゃん?なんて思って聴いていたが、本番は歌い終わりからだった。

雰囲気が一変し、ブルースセッションのような様相に変化、それが体感5分以上続いていたと思う。まさか『虹』がこんな展開になるなんて誰が想像できただろうか。泥臭いの領域をはるかに超越し、そしてこれを持ち時間50分のフェスのステージでやり遂げるバンド、くるり、最高の一言に尽きる。

最後は『ロックンロール』で大団円。何度聴いても、イントロがなった瞬間、待ってた!、という気持ちになる。そうさせてくれる。
そして年に一度、更に今年に関しては、”コロナ禍が明け、声出し解禁後初のライジングサン”という祝祭に鳴り響くには十分すぎたかもしれない。

この曲のギターリフ、まさに”ロックの発明”だと思っている。ふと口ずさんでしまう。永遠に聴けてしまう。

メンバーがステージを降りた後、アンコールを求める手拍子がしばらくの間鳴りやまなかった。

結局ステージなんてどこでも良かった。

次は、夏のクソ暑い真昼間に「How To Go」を聴けたらなあ、なんてことを思ったりもした。


RISING SUN ROCK FESTIVAL 2023 in Ezo
21:20~22:10  EARTH TENT
くるり

リハ1. ワンダーフォーゲル
リハ2. 太陽のブルース

1 In Your Life
2 Morning Paper
3 奇跡
4 California coconuts
5 琥珀色の街、上海蟹の朝
6 ワールズエンド・スーパーノヴァ
7 ばらの花
8 虹
9 ロックンロール



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去年行ったツアーの記録もついでに。

あと、昨年のライジングのナンバガのnoteもついでに。

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