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イヌの台詞 24~シッポの巻~

ウチのベリーには尻尾がありません。最初から、なかったわけではないのです。生まれてすぐに尻尾を切られたのですね。コーギー種の犬に対して行われる、断尾(だんぴ)という昔からの習慣のためです。

どうしてこうなったかというと、原産地 英国のウェールズ 12世紀まで遡ります。牧畜犬のコーギーは、放牧された牛を追う仕事をしており、牛の蹄を咬み、牛の脚の間を縫うように走っていたのです。その時に尻尾があると、牛に踏まれ命の危険があるということで、生後4-5日で断尾を行うようになったのです。

しかし、現在では本場の英国においてもコーギーは「牧牛犬」としては飼われておらず、お役御免となっているのですが、昔からの断尾の習慣だけが残ってしまったというわけです。

イヌにとって尻尾は大切です。動くときにバランスをとる機能もありますし、尻尾を振って喜びを表現したり、尻尾を立って怒りを、尻尾を巻いて恐れを-いろいろと表現できます。悲しいかな、それがベリーにはできないのですよ。

尻尾のないコーギーは、バランスをとるために左右にお尻を振って歩きます。それをモンローウォークとか言って、「カワイイ!」という人もいるようですが、とんでもないことですよ。これは彼が好き好んでやっている動作ではないのですから。

ヒトの身勝手で「尻尾を切られた恨み」というわけでもないでしょうが、
ウチのベリーはカワイイ顔に似合わず、気性が荒く、よく怒って咬んだりします。それでも許せるのは、決して本気ではなく、かなりオーバーな演技だと、お互いにわかっているからでしょうね。

その証拠に、間違って咬んだ時に「痛いじゃないの!」と怒ると、この
シッポのないコーギーは、本当にスマナソウに謝ってくれます。まずは
シッポを巻く代わりに、大きな両耳をピッタリと寝かせ、いかにも申し訳なさそうな目で近づいて、私の顔をペロペロ舐めるのです。<本気じゃなかったんよ。ゴメンね>という感じで。

本当に反省しているかどうか、怪しいものですがね。もしかしたら、それも演技かもしれません。コイツ、なかなかの「役者」ですよ。
シッポはなくても、その演技力で十分にカバーしているのですよ。
 

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