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この人が前を歩いていてくれるから、

彼女に出会ったのは、中学2年生の暮れのこと。最初は、こんなに好きになると思わなかった。追いかけて、もう12年になる。
彼女の名前は、菅野結以(かんのゆい)さん。モデル・ラジオパーソナリティなど多方面で活躍されている人。


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菅野結以
1987年10月6日生まれ、モデル。popteenの専属モデルを経てpop sister、LARME専属モデルになる。現在、アパレルブランドCrayme,ディレクター、TOKYO FM「Radio Dragon -next-」でパーソナリティを務めるなど、活動範囲は多岐に渡る。特技、一人遊び。



今回は、「言葉の企画」第4回の課題である、
"わたしの「素敵な人」"について書く。
わたしの「素敵な人」は、「好きな人」と言い換えてもいい。もうずっとずっと、人生の半分以上、憧れてきたんだから。


ギャルへの憧れと、出会い

自己否定の塊で、「抑圧されて生きてきた」と思い込んでいたわたしは、昔からずっとギャルへの憧れがあった。
小6で、藤井みほなさんの『GALS!』を読んで以来ずっと。

褒められたい、ではなく、どうすれば怒られないか、ばかり考えて生きてきたわたしは、親や先生などいかにも"正しい"とされている"大人"に怒られることなど全く考えずに、自由に自己表現しているギャルたちの姿が、心底眩しかった。

ティーン向けギャル雑誌である、popteenを買い始めたのは、中学2年生の終わり頃のこと。当時、小森純さんや鈴木奈々さん、ローラさん、益若つばささん、くみっきーさんなどと並んで、フェミニン系のファッションに身を包んでいたのが彼女、菅野結以さんだった。

好きなテイストの洋服をたまたま着ていたこともあって、ファッション面からすぐにファンになった。今ではナチュラルメイクの彼女も、出会った当初はバリバリのギャルだった。

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※popteen 2008年6月号より



一概に「ギャル」と言っても、みんながみんな自己表現が得意だというわけではない、ということをpopteen誌面での100質企画(100の質問)を読んで、初めて知った。彼女もわたしと同様にコンプレックスがあり、完璧主義だったということ。

高校を中退し、popteen の撮影に呼ばれるようになってからも、常にコンプレックスと向き合いながら、克服する努力をしていく中で自分の強みを見つけられた、ということなどを知った。

「自分次第で人は変われるってこと、超ネガティブだったけど、こんな風に前向きに考えられるようになったこと…、元々の自分がダメダメだったからこそ、今、言えることや伝えられることが私にはたくさんある。そう気づけたから、今はもう完璧を目指すのをやめました。あえて、欠陥だらけの自分を生かしていこうって思えたから。
(中略)
この人が変われたんだから、私も変われるはず!って思ってくれたら嬉しいなって。」
※URAYUI p062より


コンプレックスの塊だった彼女は、見せ方やスキンケアなど研究に研究を重ね、いつしか「美容番長」と言われるほどに美しくなっていた。

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一番の魅力、それは「言葉」

彼女の魅力は、彼女の発信する「言葉」にある。やさしく、時にきびしく、寄り添ってくれる、言葉。彼女の言葉に、何度助けられたかわからない。人生のすべてのタームで、彼女の言葉が生きている。彼女の言葉によって生かされていると言っても過言ではない。


例えば、コンプレックスが酷かった高校生のわたしを救ってくれたのは、この言葉だった。

「自分を好きになるためには、なりたい自分になればいいんだよ」


大学二回生の時に書いたエッセイでもこの言葉を紹介した(興味がある方は一番最後をお読みください)。
今よりもっと輪をかけて自己否定の塊で、仲良くしてくれる友達にも「友達やっててくれてありがとう、わたしなんかに時間使ってくれてありがとう、でもわたしが友達に提供できる価値何にもないな…」と思っていた時期だったので、「変わらなきゃいけない、変わりたい」と思っていながら何も努力を始められていなかったわたしにとって、この言葉は救いになった。


例えば、ちょうどわたしが二十歳になるタイミングで書かれたこのブログ


「どうしようもないこととか 人とは思えないような人とか
悔しいことも 嫌になることも 沢山 沢山 あるけれど
ちゃんと戦って 負けるのもいい
ちゃんと戦ったのなら何度負けたっていいんです
経験したことは すべて糧になるし
どんなことにも自分の手で意味を持たせてあげればいいんだから
立派じゃなくても 何はなくとも 
すべて自分でちゃんと選んできたんだ、って
自分に胸張って言えるようなそんな大人になりましょう


あ、これはわたしに向けて書かれた言葉だ。直感でそう思った。すうっと、染み入るように身体に入ってきた。


前々回のnoteに書いたこのフレーズも、わたしがずっと大切にしている言葉のひとつだ。

苦しい、悔しいをそのまんまで終わらせてたら報われない。ちゃんと自分の手で素敵な意味を持たせてやらなくちゃ、


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いい意味で〈公私混同〉する

元々完璧主義だった彼女は、仕事に対しても非常にストイックな姿勢を持っている。そんなところも、憧れる理由のひとつだ。

仕事に対しては昔から決め事があって、それは〈公私混同する〉こと。
“やらなきゃいけない”じゃなくて、どうせやるなら楽しめる部分を見つけて、ひとつひとつに愛情をもってやりたい。 ※URAYUI p002より


この言葉に出会ってから、どんなに苦しいことや、やりたくないこと、楽しくないことの中にも「楽しめるところ」を見つけて楽しむ、というスタンスができた。

バイトに行きたくない日、レポートのテーマが難しいとき、ちょっと眠たい日の講演会…どんなときも、「楽しめるポイント」を見つけて頑張れることは、わたしの中で強みになった。


モデルとして自身のキャリアをスタートさせた彼女は、やがて趣味である音楽や美容方面にも活動の幅を拡げていく。好きなことを突き詰めていたら、いつの間にかそれが強みになり、仕事になっていたそうだ。

音楽方面では、TOKYO FMのラジオ番組「Radio Dragon」や、その継続番組としての「Radio Dragon-next-」のメインパーソナリティーとして、2012年からずっと深夜作業のお供を務めている。このラジオきっかけで好きになったバンドもたくさんいた。

パーソナリティーとして、ゲストのお話を引き出す技術やコメントを返すバランスが絶妙で、こんな風に言葉選びができるようになりたい、と思ったものだった。


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彼女のアパレルブランド、Crayme,では、デザインや生地選定に至るまで、すべて一人でディレクションを行っている。
毎シーズン、新しいコレクションが発表されるのが待ち遠しくてたまらない。
Crayme,のお洋服は、身にまとっているだけで気分が上がるし、自信を持って外に出かけることができる。

ディテールへのこだわり、生地のこだわりなどひとつも手を抜かず、何度もテストを重ねながら製品化に取り組んでいる様子を、ブログを通して見守ってきた。
時間をかけて、絶対に良いもの、納得したものしか世に出さないという強い信念が感じられる。


このように、モデルの仕事だけでなく、ラジオパーソナリティやアパレルブランドの立ち上げなど、次々と"好きを仕事に"しているところ、強い信念を持ってひとつひとつ丁寧に仕事していくところに、惹かれてきた。

文化系偏愛女子である彼女が好きな映画や本はなんでも試してみたし、音楽も聞いてみたし、スキンケア用品や私服など、とにかく何でも真似てきた。


2017.11月、自身初の『Halation』という写真集を出版された。
Halationとは、「写真の像で、特に強い光の当たった部分の周りが白くぼやける現象。」という意味。
 "人生、どれだけ正気を失っていられるか"だと言う。そのくらい夢中で、なんでもやっていきたい、という決意の現れだと感じた。

そんな彼女の座右の銘は"メメント・モリ(死を想え)"いつでもまっすぐに、愛の向く方へ。情熱の向く方へ、狂いながら、やりたいことだけを、好きなものを好きなままで、突き進んでゆくのだろう。


彼女が前を歩いている限り、わたしは安心して後ろを追いかけることができる。
わたしは結以ちゃんにはなれない、だけど、結以ちゃんの言葉は、わたしの中で確かに生きている。
わたしは、彼女と彼女の言葉とともにこれからも生きていく。

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↑フォトブックが発売される度、2ショットチェキを撮りにかけつけていた。



大学2回生(19歳)の時に書いたエッセイはこちら。

おまけ:「あのときの一言」

「自分を好きになるためには、自分がなりたい自分になったらいいんだよ。」


 私がこの言葉に出会ったのは、3年前の夏だった。当時、私は酷くネガティブで、部活も人間関係もうまくいっておらず、自分のすべてが大嫌いだった。周りに比べて容姿や発言が悪く、周りに対して酷く劣等感を感じていたからである。しかし、それを自覚していても努力しようとしない自分に嫌気がさしていた。この言葉に出会ったのは、そんな時だった。


 私は雑誌を読むことが好きである。小学生の頃から毎月必ず一冊はファッション雑誌を買っているし、買わなくても本屋さんで月に5~6冊は立ち読みをしている。そしてその時たまたま、この言葉に出会った。一人のモデルの言葉だった。当時、私は「それができないから困ってるんじゃん!」と思い、初めは素直に受け取ることができなかった。


 しかし、彼女が発する言葉には理由があると思った。気になったので詳しく調べ、そうしているうちにいつしかファンになっていた。すると、彼女にもどん底の時期があったこと、私と同じようにネガティブで何事もポジティブに捉えられなかった時期があったことなどがわかっていった。

「コンプレックスだらけだったからこそ、自分のコンプレックスを生かしてよりよく見せられるようにしていけばいいんだよ。完璧な人なんていないんだから。」と彼女は言っていた。私はこの人の考え方に感動し、少しずつあの言葉を受け入れていけるようになった。人は誰しも自分だけのコンプレックスを持っている。コンプレックスだらけだった彼女が変われたなら、今同じ状況にある自分も変われると思った。


 その結果、今自分が100%変われているかと言われれば、そうではない。未だに自分を好きになることは難しいけれど、以前に比べてネガティブではなくなった。今、私は100%全て上書きするように生まれ変わる必要はないと感じている。なぜなら、ネガティブで自分が嫌いでどん底の時期があったからこそ、今の自分があって、今の考え方ができているのだと思うからである。自分のなりたい自分になるための努力は終わることはないけれど、辛くはない。何事も周りと比較して劣等感を感じすぎていたのかもしれない。今では、コンプレックスの中にこそ他人と違う自分らしさが潜んでいるのだと考えるようになった。誰かと比較して劣等感を感じるのではなく、自分らしい自分だけの自分になりたい。自分のなりたい自分は自分にしかなれないのだから。


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