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ことばで人に会いに行く、心をつかむ超言葉術



阿部広太郎さんは、パワースポットみたいな人だ。
初めて阿部さんのことを知ったのは、2016年の夏、恵比寿の『感想文庫』の時。
そして、縁あって通い始めた『企画でメシを食っていく2018』そして『言葉の企画2019』。


どちらも、阿部さんの言葉のスキルや「伝える」力、企画力を学ぶぞ!と意気込んで通っていたのだけれど、いつの間にかいつでも励ましあえるワクワクする仲間たちと繋がる、わたしにとってのひとつの居場所になっていた。

阿部さんの周りには、阿部さんと同じくらいの熱量を持った、熱意もやる気もあり、周りの人を尊重しながらも自分のことを大切にする姿勢の人たちが集まってくる。

そして何より一生懸命やることを笑う人がひとりもいない環境が、一緒に進みながらもライバルとして切磋琢磨できる空気感が、ヒリヒリしつつも心地よくてとても居心地が良かった。



さて。
2020年3月5日、阿部さんの二冊目の本が出版された。
その名も『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』
この本は、『企画メシ』や『言葉の企画』で阿部さんから学んだことのエッセンスがぎゅっと詰まっている。


この本の冒頭に出てくる「I love you」の訳し方
企画でメシを食っていく、の最初の課題は、こうだった。


夏目漱石は、「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳しました。
2018年、現在のあなたは何と訳しますか?


月が綺麗な夜は、いつもこの課題のことを思い出す。
コピーを書くとはどういうことか、阿部さんからのフィードバックに打ちのめされた回。

"言葉をもっと繊細に取り扱わなくては"と言葉に向き合うきっかけになった、始まりの回。


わたしはこのとき、"「愛する」は「好き」から始まる"という前提に基づいて、コピーを考え始めていた。
そして、最終的に「あなたのこと、もっと知りたいんですけど」というコピーを提出した。


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▼こういう学びの講座で、手書きのフィードバックをもらえることが嬉しすぎて、大事にファイルに綴じてある…



一番驚いたフィードバックは、語尾の「けど」の部分について言及されたこと。
「語尾はもっと粘れる」という指摘にハッとさせられた。

わたしの意図としては、「あなたのことをきちんと知りたい、でも伝えるのは恥ずかしい」という思いから、「けど」で濁している、ということを伝えたかった。

けれど、「けど…」のように「…」がついているわけでもないし、意図が伝わらないのも頷けるな、と思う。
この時のわたしにとってはこのコピーが精一杯だった(伝えるのが恥ずかしいから、あえて「けど」をつけている)

けれど、このコピーと、そのコピーに至るまでの説明では一切その「照れ」の部分に言及していなかったことも相まって、自分の意図が全く伝わらないコピーになってしまっていた。

そして、一番の気づきは、"「愛する」は「好き」から始まる"という"思い込み"からスタートしてしまっていたこと。
「本当にそうか?」という吟味を自分の中で整理できていなかった。


当時のわたしは、今よりさらに考えが凝り固まっていて、思い込みからスタートしてしまうことが非常に多かった。それに気づかされる最初の講義が、この企画メシの第一回だったんだった。



人と人が100%理解し合えることなんてきっとない。
血のつながった家族でも、だいすきな恋人でも、長い付き合いの友人でさえも。
人には人のバイアスがあるし、人には人の地獄がある。


それでも、「歩み寄りたい」「理解したい」「どうにかしてわかりたいとおもう気持ち」が「愛」なのではないか。
それをコピーに落とし込みたかった。
この気持ちは1年以上経った今でも変わっていない。



ざっくりするけど、わたしは人がすきだ。
アメリカに留学していた二十歳の時くらいから、「どんな環境で、どの時期に、どういうものに影響を受けたら、どんな人間ができあがるのか」ということに非常に興味を持っている。
だから、一教員といて生徒に接するときも、よく観察して、生徒のことを知ることから始めている。


人は変わり続ける生き物だ。
だからこそ、大切なひとたちのことを「知り続けたい」と思う。


***


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ちなみに…
「この中に、わたしの書いたコピーがあります。どれでしょう」
って何人かの友人に聞いてみたんだけれど、だいたいみんな分かるらしい。そんな分かりやすいかな?笑
でも、分かってくれるひとがいることは、とてもしあわせなことね。


阿部さんは、「言葉で人に会いに行く」を体現したひとだなあと思う。
伝えたい想いがある、すべての人に読んでほしい一冊です。


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