16歳 中島菜穂

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16歳 中島菜穂

はじめまして、こんにちは。
7月で16歳になった中島です。部活は帰宅部で委員会には入っていません。友達は…親友と呼べる人はまだいません。でもまだ入学してから3ヶ月しか経っていないですし、別に焦っているわけではありません。親友は、作ろうと思って作るものではありませんから。あそこの女の子たちを見てください。キャッキャキャッキャしてる。キラキラしているでしょう。仲が良いことは羨ましいです。親友なのでしょう。運が良いと思います。あそこの男子たちはまだどこかぎこちない。笑ってはいるものの、真ん中の男子に周りが振り回されてるだけに見える。周りは運が悪いですね。そして私。普段は1人です。これはどうでしょう?運勢的に。私はですね、親友ができるのも、ひいては友達ができるのもすべて運だと思ってるんです。縁とも言える。あそこの女子たちのようにさっさと親友ができる人もいれば、頑張って友達を見つけようとしても、あそこの男子たちみたいになってしまうかもしれない。縁とは怖いもので、社会人になればわかりませんが、高校生の私たちにとっては1度会った人をなかったことにするのはとても難しいことなんです。それを中学の時にまざまざと感じました。だから私はわざわざ誰も私を知らない高校へ来た。中学の時には部活も委員会もやっていました。クラスの学級委員でしたし、成績でも目立っていました。ですが、気づいたのです。余計なことをしたと。積極的な学級委員は煙たがられ、文武両道な生徒は嫉妬される。ブスだと言われる。親友だと思っていた人にも裏切られ無視され続けました。その子だって裏切りたいわけじゃないことくらいわかっていますが、それでも、その渦に巻き込まれたこと時点で、もうすでに私とその子の負けは決まっていたのです。渦の名前はスクールカースト。私は、知らず知らずのうちにそのトップクラスいたのかもしれない。嫌味では決してなく。そして引きずり降ろされた。でもそのときは気づかなかったんです。ただ嫌がらせを受けていただけなのだと思っていました。ただ、卒業して気づいたんです。自分はスクールカーストの上の方にいたから裏切られて、みんなに無視されたのだと。そしてもう一つ気づいたのです。その渦を形成するのは縁だと。すべては縁の仕業だと。だから高校では部活も委員会にも入らず、勉強もそこそこできるくらいに保つ。平穏に生きたいんです。スクールカーストの外側で生きたいんです。いまはそれができている。誰からも疎まれず、嫌がらせもない。まるで誰も私のことが見えていないみたいなんです。でも縁とは恐ろしいもので、これだけ気をつけていてもどこに縁が落ちているかわかりません。消しゴムひとつ落とせない。油断はできないんです。だから真面目に、中立に、何も言わず、ずっと平気な顔で、どこにでもいるような顔立ちで、誰でもできることしかやらず、正確に、エラーを起こさないように、平穏に生きることが、そうやって生きることが、自分の幸せに、あの頃とは違う幸せに、本当の幸せに、いまはなっている。ええ、なっている。なっているはず。なっている。なっている?なっているんでしょうか?

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