34歳 マルコ・キムラ・バーナー

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34歳 マルコ・キムラ・バーナー

はじめまして、こんばんは。
食パン6枚さえロクに保存できない俺が何を言っても、多分どうせ何も信じないだろうけど、最近はなんか、こんな毎日のおかげで世界が誠実になっていっているかもって思うことがあるんだ。“世界”とか、たいそうなことを言ったけど、当然だけど解像度をあげれば世界なんてその、ひとりひとり、俺たち人間で構成されていて、例えば昨日テレビを見ていて、急にストレッチしたくなったけど、体を柔らかくしたところでなんなんだろうとか、決められたご飯と指定されるシャワータイムにうんざりすることとか、そういう日常はまだ残されていてさ。今後の日常がどうなっていくかとか、そりゃ映画の中でもずっと主人公がマスクしてる世界が良いなんて言わないけど、でも長期的に見たらそれもまあ時代を表すにはいいかなって思うことにしてる。仕事はなくなったよ。最初は混乱していたけど、数週間経ってみるとやけに冷静な自分がいてさ。母親の代わりにスーパーに行って、それが人数制限でなかなか入れなくても、ああそういえばミルクもなくなってたなとか、親父のためにタバコも買っていってやろうとか意外と考えるもんでね。受け入れるしかないんだと思う。俺が好きなバンドのTwitterは最近更新されないよ。シネフィルのインスタばっかりが更新される。確かに、それであってる。でも、今俺たちがしなくちゃならないのは、俺たちが好きなものは俺たちで守らなきゃってことなんだ。それは誰かにとっての日常だったから。想像なんてできなくていい。取り戻すためには、まずは俺たちが自分自身のことを知らなきゃだめだ。何が好きで、何を守りたいか。法律とワイドショーのコメンテーターが基準のやつはだめだ。すべては自分で決めるべきだ。決められないなら、決めているやつにとやかく言うことはできない。そこはお前の場所じゃないからだ。"人それぞれ”なんて言葉は使うな。あれはすべての前提にあって、逃げるために使う言葉じゃない。俺は俺が好きなものを守るよ。まずはこの食パンからね。柄にもなく熱くなった。悪いね。それじゃ。

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