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まだまだ自粛って空気だから「年金風来坊シゲさんの地球ほいほい見聞録」って本でも読もうぜ

 新時代になったというものの、当時の日本は食うや食わずの状況でした。私はすぐにでも東京に出ていきたかったのですが、移動証明(当時はこんなものが必要だったのです)が取れないので、そのまま故郷で働くことになりました。古い価値観がガラガラと崩れ、生まれ変わっていく激動の社会の中で、男女平等、そして主権在民など新しい時代の空気を呼吸していました。

 緊急事態宣言が解除されましたが、まだまだ自由に移動していい空気とは言えない気がする。

 冒頭で引用した文に書かれているような、移動証明の必要な世の中ではないですが、人々の心の中に「見えない心の移動証明」みたいなものがあるのではないかと思っている。

 ルールが明文化されていない、今のような状況は苦手なのだけど(去年、うっかりツイッターでよその県に旅行に行くと言ってしまい、フォロワーを減らしてしまった)、個人的には、「ルールがないのになぜ従わなくてはいけないのか?」というのが正直なところですが。言う相手がいないし、空気を読むふりくらいはできるので言いませんが。

 もちろん、むやみに外出してはいけない理由として、コロナウイルスの感染を増やさないためという、明確な理由はあるだろう。それは理解しているつもりである。

 ただ、現在の空気は「感染対策をしさえすれば外出していい」という空気ではなく、「なにがなんでも外に出てはいけない」という空気な気がするのは自分だけだろうか。

 完全に推測になってしまうけど、「なにがなんでも外に出てはいけない」と思っている人の胸中を文章化すると、

「とりあえず、外に出なければ間違いないだろう。コロナが怖いしな。マスクを買うのもするのもめんどくさいし。移動? とんでもねえ! よその県に行く? もってのほかだ!」

 そんな風に思っているのではないだろうか。自粛警察的な人がそのあたりをきちんと文章にしているのを見たことがないので、全て推測になってしまうのだけど。

 感情的になっている人の考えていること(何も考えていない、としか言いようがないけど)をあれこれ推測しても時間のムダだし、自分と正反対の考えの人を理解しようとするのは気持ちが腐ってしまいそうなので、この本を手に取った。余談になりますが、旅行記やガイドブックの類は危険思想として、時代が時代なら発禁処分になったり、焚書されたりしていたのだろうか。今のところそういう声は聞かないので、現代はまだましななのかもしれない。

 この本はアマゾンで中古を買ったのだけど、パラフィン紙のカバーがついてきた。大事にされてきたし、これからも大事にしなさいということかもしれない。原文は1991年発行。かなり古い本ですが、内容は現代でも通じる、普遍性があると思う。だから、今読める。タイトル通り、著者が「地球」を旅して感じたことが綴られている。今見せる人に見せたら、怒るか発狂してしまいそうな内容である。

 少し話が変わってしまいますが、温暖化など環境問題に関心がない人は、あまり旅行に行ったことがないのではないだろうか、と考えることがある。移動する経験が少なすぎて「地球」どころか、「アジア」、「日本」、下手したら「自分の住んでいる都道府県」ですらピンと来ないのではないだろうか? そう考えると、合点がいく気がする。当然、温暖化の影響を受けているところなど見たこともない。実際に行かなくても、地図などで知識を得ることはできるし、自分も海外は学生時代の研修でロサンゼルスに行っただけで(しかもお金を出してくれたのは親)、国内も行ったことがない都道府県がいくつかあり、行ったことのある所の方が少ないので、えらそうな事は言えないのですが。

 幸運だったと思うのは、母親が旅行好きでいろいろな所に行ったことがあって、家族旅行も国内だけながらいろいろな所に連れて行ってもらったことだ。「世界が広い」と知っているかどうかで人生がだいぶ違うのではないだろうか。知識だけでもよいけど、体感しているとより違う。

 まだまだ自粛という空気ですが、旅行記を読んで空想旅行というのも悪くないのではないでしょうか。

 

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