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200文字散文『日常』



『日常』

放課後のアスファルトは少年達の戦場。
チョークで地面に線を引いて、命がけの陣取り合戦。
その領土の広がり具合に従って、一喜一憂し、膝小僧を擦りむかせる。
だけど、夕方5時半のチャイムが鳴ると、腹が減っては戦はできぬ、一時休戦だ。
「じゃあね〜」という声々は西日に重なり、皆それぞれの家路へ向かって自転車にまたがる。
少年はもう、自転車の下の領土の価値を忘れている。
戦場が夜飯への線路に変わる。
少年とアスファルトを、今日も夕焼けが平等に照らしている。

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