Through the sleepless night I cry for you

夕方ぐらいから
身体が怠くなってきて
そのままだけで終わればいいのだけど
少しずつ少しずつ体温があがって
夜になったら倒れてしまう。
それでも元々の体質もあって
寝付きは悪い。
真っ暗で静まり返った世界で寝るのは嫌いだ。
わたしは多分、眠る方法を知らない。
みんな先に眠ってしまって
永遠に静寂の中に取り残されてしまうんじゃないかって
怖かった。

一緒の布団に転がり込んで
お話をしてよと強請る。
やれやれって顔。
でもどこか少し笑顔で。

いつも戦争の話なんだよ。
子供向けの話じゃなかったかもしれないけど
起きててくれるのが嬉しかった。
20そこそこの青年が飛んだり跳ねたり
楽しいことばかりではないけど
精一杯生きた男の子の話。

たまに、どちらへ?と聞かれると
ラバウルですと答える。
みんな目を丸くして
よくご無事で戻っていらしたわね、と言ってくださる。
何度も何度も死にかけて
そのほとんどをわたししか知らない。
誰にも言っていない話だったそうだ。
そうしたら、わたしは寝付きが悪くてよかった。
彼の苦しみを少しでも砕くことができたのであれば。

今は、今はどうしたらいいんだろう。
微熱があるのに眠れないよ。
恋しい気持ちも、懐かしい気持ちも
どうするのが一番いいんだろう。
かわりなんていないのよ。