掌編小説風・車内トラブル【創作日記】
三月下旬、平日の午後の車内は春の陽気を思わせるような暖かさがあった。
「あんたぁ! なんやのん!」
非難するような、中年女の声が聞こえてきたような気がした。
座席でまどろんでいた私はその声に目覚めて、伏せっていた顔を思わず上げてしまった。
対面する座席に向かって、黒い眼鏡をかけた小太りの中年女が仁王立ちのような感じで立っている後ろ姿が見えた。そして対面する、座席に座っている女子大生風の女と睨み合っていた。十代に見える若い女の脚は長くてスタイルは抜群、脚を組んで座りスマ