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どんな願いでも叶えてやろう(テンプレ

 よくあるやつ。王様の課題や試練を達成したら叶えてもらえるやつ(じゃあその力で自分の課題を克服すればいいんじゃね?っていつも思う)、逆に、敵ボスに仲間になるならとそそのかされるやつ、または、魔法少女として戦う使命を与えられる代わりに、どんな願いでも1つ叶えてやるというもの。または、7つのドラゴンボールを集めると神龍があらわれ一つ願いを叶えてくれるものも。
 ディズニーの新作アニメ「Wish」観てないけど、どんな願いでも叶えてくれるっぽい。観てないけど。

 この、どんな願いでも、という魔法の力、どのように作用するんだろうっていつも気になってる。

 今回はそれについて掘り下げてみたい。けど、すでにそれについて語ったアニヲタWiki(仮)がすでに、あった。

 …よく考察されているから、ぜひ読んでくださいなので、私のほうは読まなくてもいいわ(T_T)


「王様になりたい」「世界征服」などあいまいな願いの場合

 これを叶える物語はあるが、願いの要件定義が曖昧でしょ。それなのに実現して、主人公が「ほーこんなふうに実現したんだ」と、新しく自分のものとして与えられた設定に、キラキラしながら感心していくやつ。これは、願いを叶える主(魔王とか)本位でアドリブで解釈したそれを実施して、与えたのだろう。このケースの場合、その実現した世界にスキ(隙)がある場合が多い。例えば、王様になったけど、周辺国の間で最強というわけでもない程度の国を与えられたので、その後周辺国からの侵略や、いやがらせ(なかには部下の宰相からのとか)を受けて苦労する、というやつ。「世界征服」だとしても、自分自身はそのままであって最強の魔王になった、とかではないから、その後勇者にやられて命乞いするはめになる、とかがある。

 また対する別のパターンとして、どんな王様になりたいのかとか、どんなふうに世界征服したいのかを、願う当人が願いの言葉ではその一言(「王様になりたい」)だけだったにもかかわらず、願いを叶える主がその心を読み取るサービスまでして、思い描いていたとおりの世界を構築するタイプ。この場合、その直後のシーンとして、主人公が「ほー、こんな風に」とは言わず、「はっはっはー俺が王様だ!」とすぐにすべての詳細まで叶ったことを察して豪語する場合が多い。しかし、にしてもその設定項目が膨大なはずで、願うものはすべて網羅して考えていたわけではないであろうから、やはり願いを叶える主(魔王とか)本位でアドリブで解釈して補完していると考えられる。この場合でも、やはりその設定のスキによってほころびが出始め、その後窮地に立たされることになるのであろう。

「大金持ちになる」「何か(あるもの)を手に入れたい」

 これらの、現実にある物体を一つまたは大量に欲しい系はどのように解釈されるのか。これも、二つパターンが考えられる。一つ目は、すでにあるそれを自分の手元に転送するタイプ。この場合で大金持ちになるの条件の場合は、世界中の人から(もしくはアドリブで、主人公の属する国民から)その蓄えている貯蓄から何パーセントづつかを徴収・転送して主人公に引き渡すのであろう。または銀行口座に入金というものもある。この場合、その後にお金を取られた人々によってその事件が明るみになり、主人公のもとにそれがあるとバレて、集団訴訟になったりするのであろう。願いが、あるもの、であったとしても、盗みには違いないので同じような展開になると思われる。やっかいである。
 やっかいさを解消するために、大金持ちになるは、まだ地中に眠っている「金」を魔法で採掘し目の前にどんと表す、というほうが無難で効果的であるけれど、それは願いを叶える主(魔王とか)のアドリブが親切すぎるし、主人公が「金投資はしない」主義であった場合「嘘つき!これじゃ願いを叶える詐欺じゃないか!」という展開になりがちなので、やはりそんな親切アドリブは起こりえないと思われる。

 もう一つのパターンは、すでにあるものを、複製する場合である。「大金持ち」の場合は特にこちらの実現のほうがスタンダードに思われる、その後盗人呼ばわりされる展開が無い場合のシチュエーションのほうがが多いので。しかし、懸念されるのは、銀行券(お札のこと)には通し番号というものが刻まれているので、その番号もすでにあるお札から複製されていた場合、「ある番号のお札がこの世に異常に増えた」ことは大蔵省の察知するところとなり、「その番号のお札は使用禁止」となり、一気にお金持ちでなくなる展開になると思われる・・と、いつも思うんだけど、そういう描写をするお話は見たことないでしょ。
 お金で無く、何かの物品の場合、それが「唯一であるから価値がある(ゴッホの絵画とか)」でなければ、気にされることもなく、無難なように思われるが、それが高級品であれば、あまりそれをひけらかすと、税務署ににらまれて贈与税か所得税を払えとか、やっかいなことになりそう。

 お札ではなく、コイン(硬貨)の複製または生成ならば、盗んだと疑われる事態はさけられそうであるが、それを大量に運んで銀行に持っていくのはやっかいだろうし、やはりどこから入手したかが疑われそうだし、人目が気になるので嫌である。…マネーロンダリングの話しを真剣にしている犯罪記事になりそうなので、この話題はこの辺でやめておく。

「不老不死になる」「死者をよみがえらせたい」

 これらは、どのように実現するかは叶えてくれる主(魔王とか)がひねくれていなければ、言葉通り実現しそうである。不老不死の場合、今の若さで(老いていればもしかしたら若返りのオプションも無料でつけてくれるかも)。死者の蘇りは、もちろんある人を指名されている前提であるが、死ぬ前の、死因の事故が発生する前の健康な状態で復活してもらえるのだろう。

 しかし、どちらの願いにしても、その異常さに周囲が気付き、国家の秘密機関に追われて不老不死またはよみがえった手法についてあらゆる実験をされてめちゃくちゃにされるのだろう。「亜人」というコミック(アニメ化も)でも不死身になったものがあらゆる手段で研究される、という描写がしっかりとあり興味深かった。「不老不死」「死者の蘇り」を実施したら、人里離れて暮らしたほうが良さそうである。ところで「不老不死」についてはやはり詳細を考えねばならない。その人物が絶食を続けた場合、どのような状態になるのか。生きてるというのは最低限の定義をさせてもらうと、心臓の脈動によって血流が全身にいきわたり、かつ呼吸から肺が活動し血を綺麗にする必要がある(最低限の定義。もちろんこれだけでは生存できない)。なので絶食し続けるとか、窒息し続けるとかにチャレンジした場合、限度を超えると普通には生き続けられないため、その瞬間から最低限の生命活動を継続させる何やらの親切な魔法が再度発動しそうである。また、体を木っ端みじんにされた場合でも不死、という設定ならば、木っ端みじんになったからだが集まって元の姿に再構成されるのか、またはばらばらなまま、機能不全のままで生き続けるのかは、設定する必要がある。

「過去のやり直し(時間遡行)」

 人間、だれしも過去に負い目があり、その選択をやり直したいと思う事件は幾つかあるものだろう。その選択の直前に時間を戻したいという願い。その場合もちろん、オプションとして「今の記憶・人格は保持したまま」というサービスが言わずとも付加される。そうでなければ・その後の結果の記憶が無ければ何度過去に戻っても、人は、自分は同じ選択をとり続けるだろう。
 叶えられる願いは1つであるのが前提の場合、一つの選択の場面にしかもどれないのであるが、普通の人は過去の負い目なんていくつもあるに決まっているので(私だって重大な選択ミスの事件10はある)、そのどれを修正するかを選び、願いのことばに添えなければならない(「妹とけんかして負けてからずっと仲が悪いので、あのけんかの前にもどりたい。けんかを自制するために」等)。するとその後に起こったその他の「負い目があった事件」は、どうなるかが分からない。願いを叶えた一つ目の事件を解決したら、バタフライエフェクト(影響が広範囲に及ぶという考え方)によってその後の負い目を担わされる事件は、そもそも回避できる・発生しない等になってくれればよいが、逆にかえってひどい状況になってしまうかもしれない。

 ところで「過去の自分をやり直す」ということであるが、これはタイムリープというか、過去の自分の記憶・人格すなわち精神を書き換えるということであるので、作用としては単純なものに思われる。過去の一つの汚点を消すためだけであれば、かなり現実的な願い通り実現可能な願いに思える。アニメ(もとはゲーム)「シュタインズ・ゲート」「マブラヴ」はこれでした。

「未来に行く」「未来を知る」

 未来に行くは、実は壮絶なオプションがある。まず、未来のどこに行くのか。いま立っているその場所そのままだとしたら、そこに未来ではビルでも立っているかもしれないので、ビルの構造物と合成されてしまい一瞬で死ぬのでアウトである。なので、願いを叶える主(魔王とか)が親切にそうはならない未来の場所に移動させておいてくれるサービスもついている。それだけではない。地球は自転し太陽の周りを時速11万キロメートルで公転しているし、その太陽と地球を含む太陽系自身も、天の川銀河の中を秒速220キロメートル(時速79万キロメートル)で移動している。そのため、その自転・公転・太陽系の移動を考慮せずに未来の1秒後に行くとしても、宇宙空間に放り出されるに違いない。そういう言いがかりは無しにすべく、「同じ場所(足元)」に出現するにしても高度な計算が必要となっているが、願う者はそんなこと考えもしないであろうが、それを願いを叶える主(魔王とか)は親切にそれを計算してくれていると思われる。いやー、魔王って親切だなぁって。
 「未来を知る」こちらは、未来に行くわけではないが未来を覗き見て、自分の選択を考慮する材料にしたいのだろう。この場合、それによって自分の行動が結局のところ変化するなら、未来も変化するであろうから、この願いの契約は瑕疵責任は発生しないというお断りをされそうである。かなり無責任なのでこの願いはオススメしない。また、この願いによる未来の「場所」についても、「未来に行く」と同じようにどの場所かが厳密に計算されるサービスはついていると思われる。

「世界平和を実現」「争いがなくなりますように」

 これも「王様になりたい」と同様、曖昧なので、いじわるに解釈されて、全人類がいなくなる、そうすれば平和、などと解釈されないように祈らねばならない。なのでこれも、願いを叶える主(魔王とか)本位でアドリブで解釈してくれていると思われる。
 どのように「世界平和」を実現するのか…、とりあえず今この瞬間に起こっている戦争や争いが停戦すればよいのか。それだけならまだしもだが、原因を根本解決しないとまたすぐに争いが始まりそう。それを封じた意味合いの「争いがなくなりますように」のような恒久的な願いの場合、人間から争う火種となる精神を無くすということに解釈されると思われ、するとその原因の原因、妬み・恨み、競争心も失われると思うが、すべての人間が腑抜けのようにならないだろうか。競争なければ、進歩も無い。すべての国で経済が漸減していき、いずれ全人類原始時代みたいな生活に戻ってしまいそう。

 「分け与える気持ちがあれば平和になるのに」みたいなことをバラエティ番組でアイドルぽい子が言うことがあるが(たぶん本気)、ならまず自分のすべての財産や持ち物を分け与えてみてほしいものである。それをしないのはたぶん、「ほかの全人類も同時に分け与えを実施するなら」という条項があるのだろう。ヒトに、キビシイ。

 「世界人類が平和でありますように」という看板が、地方の街道に立っているのを見かけることがある(ピースポールといって宗教ではないらしい)。これについては、どのように実現するのかを、真摯に自分で考えたいものである。でなければ、ただ祈るだけであれば、これほど無責任な願いがあるだろうか。私は腹が立ってくるわ。

魔法使いの魔法も似たようなもの

 世の中のファンタジー小説やコミック・アニメで魔法を使うシーンがあるものはもちろん数知れない。その魔法は「なんでも思ったことを叶える」系は少数派で、対してその原作者による設定で「魔法体系」「なんでも出来るわけじゃない」など制限されていることが多い。制限があまりになければ(なんでも出来る等)、お話にならない。または、登場キャラクターの成長がなくなってしまうので、魔法モノはその使用者たちはけっこう勉強・研究にいそしんで努力して身に着けていることが多い。

 ファンタジーものの魔法は、派手で便利なものとして描写されることが多い。それらを見て私は思う、「今の魔法発動のしぐさ{呪文とか)で、ここまで細かい制御を仕込んでいるって、すごい」と。魔法を念じたり魔法文字を書いたりする際にどこまで制御を考えて・呪文やルーン文字にその設定文を込めているのか。コミックや、アニメや映画では、とてもそういった設定を詳細まで込めている系は少ないように思える。となると、やはりこれは、願いを叶える主(魔王とか、精霊とか)本位でアドリブで解釈してくれていると思われる。

フェルンVSリュグナー

 いま放映されていて人気がある「葬送のフリーレン」、序盤を見たらけっこう大人しいファンタジーものかと思いきや、8話目あたりから激しいバトルも描写されるようになり、ガラリと雰囲気を変えるのがすごいのだが、そのあたりの話数で、主人公サイドの魔法使いの少女フェルンと、敵である魔王の部下「断頭台のアウラ」の配下の魔法使いリュグナーが激しく戦うシーンがある。そのリュグナーは、誘導弾のような魔法を使うのでその「誘導する」というのは、「どのような条件によって起動をどのように変更するかのようなプログラミングしたような命令を込めて発射するのか」をリュグナーが考えて呪文にしっかり込めているのか、または「精霊(のような知的物体)に魔法を運ばせているのか」どちらかだろうかと、すごく興味がある。フェルンもリュグナーも、短い時間で沢山の魔法を放つので、呪文や考えてる暇もなさそうなので、後者、精霊か何かが親切にアドリブを聞かせてくれてるような気がする。「魔法」が大きなテーマである本作なので、それがどうなのかばかり気になってしまってストーリーラインはあまり入ってこない。なんで旅してるんだっけ?w

結論:魔王は親切

 以上、「どんな願いでも叶えてやろう」というチャンスに恵まれた場合に選択しうるいくつかの願いのパターンを考察してみたが、多くのパターンで願いを叶えてくれる主の、アドリブで補完してくれる親切みがにじみ出ていることがお判りいただけたでしょうか。結論、願いを叶えてくれる主(魔王とか)は、相当な親切屋さんなのである。

以上
 皆さんの叶えてほしい願いを教えてほしいな。どのように親切に解釈して実現しうるかを私が魔王に代わってお答えしますわ。

追記:私なら…

 大金持ちになる!でしょ。


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