江原ニーナ

1997年熊本生まれ。ANRIでベンチャーキャピタリストとして主にtoCサービスや女性…

江原ニーナ

1997年熊本生まれ。ANRIでベンチャーキャピタリストとして主にtoCサービスや女性の起業家への投資に注力していました。スタートアップ業界のジェンダーギャップ是正に向けて動いていたい。ダイバーシティ&インクルージョン、テクノロジーと倫理

最近の記事

わたしから伝えたいこと

まず初めに、件の女性が亡くなられた事件に関して、心からご冥福をお祈りするとともに、決してあってはならない、どんな償いを以ってしても許されない出来事であることをここに明記しておきます。 何者も、他者の命と尊厳を脅かす権利などあっていいはずがない。たとえいくら資本を持っていようと、たとえいくら名声があろうと、それは言わずもがな至極当然であり明白なことだと考えます。 そこに、可視/不可視の特権・力関係や経済格差があればなおのことです。自身の発言や行動に加害性がないか、 “任意”とい

    • 次なるリーダーシップ像の鍵はauthenticであること?

      先月のCOMEMOは"メンタルヘルス"を切り口に、現状や米国などを中心に新たに支持を集めつつある価値観の胎動や新興サービスを紹介した。また、私自身とメンタルヘルスと葛藤については、正直どんな反応があるか予想できず恐る恐る投稿したが、その後多くの方々から直接メッセージなどで共感を示す反応をもらい、書いてよかったと感じている。 わたしが先のnoteを書くきっかけになった大坂氏の告白に対して、日本国内では否定的、あるいはときに差別的な反応さえ見受けられた(こういった反応こそが、メ

      • スタートアップとD&Iのイベントを開催しました。おすすめの書籍も紹介

        先日16日、スタートアップはDiversity & Inclusionにどう向き合うか?「今まで」と「これから」をホンネで話します と題したイベントを実施した。想像以上の申込数からはこのトピックへの関心の高さが伺えた。また、イベント後に公開したアーカイブ動画も徐々に視聴数が伸びているほか、Twitterで #スタートアップDI で検索すると、感想などをツイートいただいているので、あわせて参照されたい。 今回は、先日実施したイベントの感想とあわせて、D&Iやジェンダーにまつわ

        • 急斜面を、全速力で、自転車で駆け下りるような

          ふと思い返すと、ここ数年のわたしの生活とメンタル不調は切っても切り離せない関係にあったと思う。大学二年生のときに初めて鬱だと診断されて以来、「いかに再発させないか」が人生のトッププライオリティの一つである。身近な人には伝えていたり、話の流れで時々ライトに話したりしているので、知っている人もいるだろうが、今回はわたしとメンタル(アン)ヘルスをテーマに筆を執ってみたい。 なぜこのnoteを書くのか先日のnoteで、大坂なおみさんのツイートを取り上げた。彼女が、2018年のUSオ

        わたしから伝えたいこと

          「メンタルヘルス」の現在地

          今月のはじめ、世界的に活躍するテニスプレイヤーの大坂なおみさんが全仏オープンのシングルス2回戦の棄権を表明するとともに、自身が長らくうつの症状に悩まされていると明らかにした。彼女のツイートはまたたく間に拡散され、さまざまな反応が寄せられている。(もっとも、反響の多くはポジティブであったように見える。そう願いたい。)彼女のツイートのリプライ欄に寄せられた、あたたかくサポーティブなメッセージや、ゆっくり休んでね!といったコメントは、まるでそれらが私に向けられているかのような安心感

          「メンタルヘルス」の現在地

          より良いスタートアップ・エコシステムを求めて

          PolitechスタートアップPoliPoliが、今月新たにスタートした有識者機能で、「ジェンダー」「ベンチャー」の領域の有識者として登録されることになった。 PoliPoliは、「政治家に直接意見を届けられる」政治プラットフォームだ。ファウンダーの伊藤くんは、年齢も近くイベントで一緒に登壇した経験もあるため、個人的にもすごく応援している起業家の一人である。 これまで、スタートアップ業界のジェンダーギャップの是正に向けて、ここCOMEMOでの発信を行ったり、イベントに登壇

          より良いスタートアップ・エコシステムを求めて

          「自分の背中は見えない」ことから

          先月、オンラインハラスメントについての経験を綴ったnoteを書いた。今回は、同ブログ以降の反響をふまえ、具体的なアクションについて考えてみている。(※なお言うまでもなく、この記事は誰しも利用できるガイドラインを目指しているわけではない。わたしとわたしの周りの人達が、オンラインハラスメントの現状に対し取りうるのではないかという行動の方向性をまとめているが、もしかすると参考になるかもしれないし、ならないかもしれない。もはや、私の取扱説明書になるのかもしれない。) 前回のnote

          「自分の背中は見えない」ことから

          自分の背中は見えない。

          物心ついたときからずっとインターネットが大好きだけど、このところずっとネットストーキングやTwitter等でのオンラインハラスメントに苦しんでいることを告白したい。匿名での悪口、Twitterでの迷惑行為や執拗なリプライ、DMでの嫌がらせ等、あげればキリがない。 言うまでもなくこういったハラスメントは頭に来るし、集中力を削がれることもある。誰にも言えずもやもやした気持ちになったり、相談しても「見なければいいよ」と言われて釈然としない気持ちが積もる。でも、そうする他ないのだ、

          自分の背中は見えない。

          ポジティブ・アクションから見えた、4つのインサイト

          昨年11月に、ファンドとしてのD&I推進のための取組の一環としてポジティブ・アクションをスタートしてからもうすぐ5ヶ月が経過します。ありがたいことに、女性の起業家の方々はもちろんのこと、同じように業界のD&Iの課題を感じていた・方針に共感したと属性を問わず様々な起業家の方々からご連絡を頂く機会が増加しました。これまで長らく見過ごされてきた問題に対し風穴を開けるのは容易ではないものの、必要なイニシアチブであることを日々実感しています。 今回は、ポジティブ・アクションをはじめと

          ポジティブ・アクションから見えた、4つのインサイト

          駆け抜けた大学4年間を振り返って

          こんにちは、江原ニーナです。 気づけば3月もあっという間に終わり、年度が変わる節目のタイミングになりました。度合いのグラデーションこそあれど、来る日々に気持ちを新たにしている人も多いのではないかと思います。 実は私自身も、今月大学を卒業した身であり、明日からの日々はなんだか今までとはちょっと一味違うような、どこか落ち着かないような嬉しいような、そんなソワソワした気持ちでいます。 今回は、いつもとは少し毛色を変えて、この4年間の振り返りとやってよかったこと・やればよかった

          駆け抜けた大学4年間を振り返って

          「無意識バイアスワークショップ」でわたしたちが乗り越えられないこと

          こんにちは、ANRIの江原ニーナです!少しずつ暖かくなってきましたね。 先日、ANRI全メンバーに加え、小売・流通事業者向けに開発不要のネットスーパー立ち上げサービス「Stailer」を提供する株式会社10Xのメンバーで、「無意識バイアスワークショップ」を開催しました。 今回は、メルカリが先月末無償公開した「無意識(アンコンシャス)バイアスワークショップ」研修資料をもとに、同社から講師を招いて(Thanks Liz-san!)実施。誰しも何らかのバイアスを無意識に持ってい

          「無意識バイアスワークショップ」でわたしたちが乗り越えられないこと

          「何でもかんでも"○○ハラ"って、正直やりすぎでしょ」に返答する

          こんにちは、ANRIの江原ニーナです。 先日、「新しいかたちのハラスメント」についてのあるツイートがバズっていたのがとても心に引っかかったので、今日はハラスメントについての話をしようと思います。(ちなみに前半部は、ハラスメントとは・何かをハラスメントと呼ぶことの意義は、といった概要の説明なので、そこは分かってるよ!って方は後半まで読み飛ばしてください。) 「これを考えた人は暇そう」「さすがにやりすぎ」「生きづらい世の中」「屁理屈」 先のツイートの背景としては、"新たなタイ

          「何でもかんでも"○○ハラ"って、正直やりすぎでしょ」に返答する

          「見たことがないものにはなれない」

          こんにちは、ANRIの江原ニーナです。今月から、日経COMEMOさんのKOLとしてnoteで発信していくことになりました! 個人的に強い関心&情熱のある、スタートアップやビジネス業界におけるダイバーシティ&インクルージョンおよびジェンダーの問題を中心に、ベンチャーキャピタリストという視点からあれやこれや綴っていこうと思います。 よろしくお願いします! 少し前に、Netflixで『ミス・レプレゼンテーション: 女性差別とメディアの責任』という映画を観ました。(調べたところ、N

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          なぜ今、ANRIが、ポジティブ・アクションを行うのか

          ANRIの江原ニーナです。 Twitter等で既にご覧になった方も多いかと思いますが、日経「有力スタートアップ、女性役員6% 上場企業と同程度」および、今朝公開のプレスリリースにもあるように、新たな投資方針として、現在運用中の4号ファンドでは、全投資先のうち女性が代表を務める企業の比率を最低でも20%に引き上げる投資方針を発表しました。 ANRIでは、多様なバックグラウンドを持つ人々が関わり合う環境や、異質な他者の存在に想像を働かせ、そして受け入れる姿勢が、従前には不可能

          なぜ今、ANRIが、ポジティブ・アクションを行うのか

          なぜダイバーシティのオフィスアワーをやるのか

          ANRIの江原です!来月11月6日に、D&Iオフィスアワー第二弾をやるにあたり、なぜこれをやるのか改めて発信したいと思いこのnoteを書いています。 日時:11月6日(金)17時-19時(一人あたり20分程度) 場所:オンライン(参加者の方々には別途リンクをお送りします。) 対象:①女性をターゲットにしたサービスを提供中/構想中の起業家の方(男女問わず)②女性の起業家の方 ①と②のどちらか、または両方にあてはまる方を対象にしています。 内容:DCMベンチャーズ本田・ANRI

          なぜダイバーシティのオフィスアワーをやるのか

          IVSのプレスリリースをめぐる議論:何が問題だったのか?

          昨日から、こちらのプレスリリースを巡ってtwitter上でいろいろな意見が散見されていますが、論点が食い違っている気がしたので、私の意見含めて整理してみました。 〈このnoteの目次〉 1. Twitterではどんな議論があったか 2. 問題点はなにか 3. 私が運営ならどうするか&よくある反論への反論 4. 【番外編】ジェンダーについて勉強するのにおすすめの入門書紹介 5. なぜこれを書いたのか 1. Twitterではどんな議論があったか Twitter上での意見は、

          IVSのプレスリリースをめぐる議論:何が問題だったのか?