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11.高次脳機能障害と長時間ミーティング~脳出血を患った旅行会社社長が一組限定宿をつくるまで

2022年9月13日、長いzoomを経て、ついに平屋建てプランに決定してから、いよいよ忙しくなってきた。
9月26日月曜日、ブランディングを一任しているMCOさんとのミーティング、コンセプトを固めるための大切なワークショップ1回目。お題は「今まで良かったと思った宿、レストラン」をそれぞれが出し合って共有し合う作業だ。miro、全く使い慣れないバーチャルなホワイトボードツールを提示される。若者は難なく素晴らしくまとめられていて驚く。ミーティングは白熱し、2時間半は超えた。
皆遠隔のためなんとかスケジュール調整し、急だが翌日27日火曜日にはMCOさん実地視察をアテンド、同行した。また、運転を代表の西さんに託す。
大室山リフトを案内し、伊豆の空気感を体感してもらう。
そこまでは良いが、肝心の別邸敷地は思ったより景観に魅力が・・・という率直な感想。伸びきった雑木たちをどこまで残すか、課題が残る。

机上でのイメージとのギャップに直面するMCOさんたち
MCOの皆さん、大室山頂上へ
安産祈願のお地蔵様が見守るパワースポット

翌週10月4日、建築士のふたりにオフィスに来てもらい、図面や資料を広げながら、ティースタイルチーム(僕、恵莉菜さん、千春さん)と突っ込んだ話し合い。これは、建築の見積もりを待つ間、大塚夫妻とも、細かい部分の希望、取り入れたいデザインなど、お互いに出し合い切れていなかったからだ。今のうちに率直に出し合い、すり合わせておく必要がある。
私たちの意向は、ナチュラルで温かみのあるデザインに和のテイストを取り入れたもの、うまい言葉を知らなかったが、「Japandi」というそうで、しっくりくる。
大塚夫妻は、どちらかというと和の要素を多く取り入れたい。長い海外生活をしているので気持ちがわかる。MCOの西さんからも、「愛子さん(奥様)は誰よりも日本人らしいですね」と言われるほど。本当に僕たちよりよっぽど日本の粋な要素をうまく捉えていて脱帽する。
この、すり合わせの作業ってとても大事だ。チームは思ったことを率直に出し合いながら、同じ方向に向かっていきたい。
ここまで振り返ると、相当なミーティング時間だ。
僕の脳は?・・相当疲れた。
サッカー前半線11人で戦うところ、2人レッドカード退場で9人で走りまくっている状態だ(同じ病状経験者よりうまい例えを聞いたので引用する)。
10月8日、脳出血で倒れてからほぼ1年。MRI検査の結果を見て、ドクターからの言葉もちょっと嬉しい。再発の心配はなさそう。これからもっと自分をいっぱい甘やかせてください。休み休みで、水分をしっかり摂って、と。
このままの生活で良いということだね。
水泳とテニスと歩くこと、食べること(塩分管理のことは言われなかったな)、ちょっと飲む、ストレスフルな激務をしない、リラックス、別邸事業をじっくり取り組んでいく。
倒れる前までの旅行業での働き方は、血圧アップそのものであった。やりがいもあった。今はそのパフォーマンスはできない。さみしい部分はある。高次脳機能障害の特徴、注意力の欠如と、計画実行能力が落ちること。以前のスピード勝負とは縁を切ったぞ。
今の生き方がいいよ。神様がそう言ってる。(千春さん)

翌週の10月12日、このミーティングが一番重要だったと思う。
チーム全員で、すり合わせのzoom。ここに、MCOさんも参加したいとのこと、1時間に10分ぐらい、休憩を入れてもらいながらの長丁場だった。
まずは、愛子さんたちの率直な希望をきく。キッチンのカウンター、和室、玄関などなど。続いて私たちからのJapandiに寄せたスタイルの希望。階段と寝室のレイアウトのところがネックになり、建築士ふたりからの説明が入り、議論は白熱し・・そこへ静観していた西さんから一言。「ちょっと方向性が見えなくなってるんですけど。どこに向かいたいのかなあ。」
ハッと気づかされた瞬間であった。西さん、うまい進め方ですね、敢えてぶち壊そうという作戦ですね。それによって僕たちが自身のことばでコンセプトの突っ込んだ部分を確かめ合うように引っ張って。まとまることを想定して。西さん苦笑い。
そんなこんなで、私たちの本当に決めたいこと、コンセプトにつながる要素を見つけ出すことができた。初心に戻ったということだ。第二の我が家のように安心してくつろいでもらいたい。温かいスタッフのおもてなし、そこでしか食べられないようなお料理を楽しみたい。僕が別邸事業を思い描いていた当初の夢物語を思い出したわけだ。設計上の細々は、後からなんとでもなるよと。それ以前に、皆はどうしたいのか?西さんからの一見突き放したような一言により誘導された、究極の別邸コンセプトのゴール。
さすがです、西さん。
というわけで、その後の2回目のワークショップ。「別邸で得られるもの・こと」このお題には、安心した、皆の気持ちの確認するような形で穏やかにまとまったと思っている。

ところで、10月は誕生月。去年は家族で熊本へ行ったなあ。
10月14日、結婚28周年。週末は椿山荘でイタリアンランチ。ささやかなお祝い。
10月15日、脳出血発症1周年。無事生きてこられた。
建築会社から見積もりが出るまでの、皆のあがきの時間である。

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