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Gloomy Wednesday

プレミアムフライデーが上手く浸透しない昨今、次はシャイニングマンデーなんて話題が出てきております今日この頃。単純に週休3日で水曜日を休日にしてくれたら全部解決するのに。

そんな訳で記念すべき1発目の分析は、我らが明治安田生命J1リーグは第19節、横浜F・マリノスvsサンフレッチェ広島でございます。

マリノスは4-3-3
飯倉–山中、中澤、ドゥレ、松原−扇原、天野、喜田−遠藤。ウーゴ・ヴィエイラ、仲川


サンフレは4-4-2でスタート。
林−和田、水本、千葉、佐々木−柴崎、青山、稲垣、柏−渡、パトリック

【オフェンス】
Ⅰ ビルドアップ
マリノスのビルドアップはGKの飯倉を含めて、数的優位を作って前進していく。広島が2トップということもあり、アンカーの扇原が1列降りて後ろ3枚+4枚の形を作る。この形では、2CBが2トップの脇に進出、またはインサイドハーフの天野、喜田がこの位置まで降りてボールを引き出すことが多かった。
キーパス(相手のプレッシャーラインを越えるパス)を出すのは松原、山中の両SB、天野、扇原が多い傾向になっている。
また、マリノスは3トップで相手DFラインを牽制し、ビルドアップの場面において、8vs6の状況を作り出していた。
広島はボランチが縦関係になって前から3枚でプレスに来る場面もあったが、マリノスは飯倉を上手く使ってプレスをいなし、局面を進めることに成功していた。

Ⅱ ポジショナルな攻撃
マリノスはいわゆるポジショナルプレーを使うチームである。ということは、自然とピッチを縦に5分割して考える5レーン理論を取り入れることになる。
(ここらへんの専門用語は近いうちにまとめたいのでとりあえずここでは詳しい説明は割愛します。)

広島戦の前半は松原にアラバロール( 大ざっぱに言うと、SBながらボランチの位置でプレーさせること)をさせ、山中を大外に張らせて幅を確保。それに連動して、山中と同サイドの遠藤はハーフスペースに陣取り、右サイドでは松原と同サイドの仲川が大外に張ることで幅を確保していた。
それに対し、広島は4-4ブロック、または4−3ブロックで対抗。圧縮することでブロックの隙間でボールを受けさせないということを徹底していた。

後半になると、前半と役割がひっくり返り、山中がアラバロールし、松原が大外で幅を確保、遠藤がライン際に張り、仲川または交代で入ったオリバーがハーフスペースに陣取ることが多かった。
広島の対抗策はというと、4−4、または5−3のブロックで中を締め、外に誘導という対抗策を実施。マリノスは内側にボールを入れるのすらままならないといった有様であった。

マリノスの狙いとしては、アタッキングサードまでボールを運んだ後は、サイドを起点にそこからコンビネーション、ドリブル突破を駆使してクロスからゴールを狙うという算段だろう。
しかしながら、サイドで前を向いて仕掛けられる局面でも相手SBに対してこちらのWGが圧倒的な質的優位を持っているという訳でもないので、単純な1vs1の形では局面打開は難しい。また、パスコースが中を経由せずに外を通るのみになっていることが多く、相手は守備を準備しやすくなっていることも相手の守備を崩せないでいる1つの要因である。
そもそも起点にするのはハーフスペースにしたいよねとも思うのだけれども。

【ネガティブトランジション】
いわゆる攻撃から守備へ切り替える局面。
マリノスはゲーゲンプレスによる即時奪回を目指すやり方を採用している。
この試合では、ゲーゲンプレスが後手に回ることが多く、プレスに行っても剥がされ、裏のスペースを狙われてしまっていた。切り替えの意識が全体として1つ遅れているために前で奪いきれなくなっている。
ボールを失うことに備える予防的カバーリングという部分でも、相手に速攻を許す場面が多く、不十分であると言えそうだ。

【ディフェンス】
Ⅰ プレッシング
レナード・バルティ氏による分類では、超攻撃的プレッシングを行っている我が軍。相手陣内の高い位置からプレッシングを開始し、相手がGKまで下げれば、GKまで深追いして行く。ただ連動しているかと言われれば怪しいところもあり、パスコースを限定することができていない、全体のラインがそこまで押し上げられないという点から広島に前進されるシーンも見られた。高い位置での奪回を狙うのならば、前のスペースへ詰めて行く意識がより求められる。

また、ラインが十分な高さまで上げられていないので、間延びが起こる。すると。選手間の距離が広いので、セカンドボールが拾えなくなり、カウンターを繰り出せなくなっている。
切り替えの意識も高いとは言えずプレスが後手に回るシーンも散見された。

Ⅱ 組織的守備
相手にボールを保持されているときの守備陣形は4−4−2でセットされている。インサイドハーフにいる天野が一列前に上がり、扇原と喜田で中盤センターを組む形だ。ボックスの手前、ペナ幅で4-4のブロックを組み、相手を待ち構えている。ボールサイドに圧縮して奪いに行くというより、相手のミスを待っていることが多い。ボールと味方を基準点にするゾーンDFを採用しているのだろうか。

ポイントのひとつとなる裏への対応では、CBに絶対的なスピードが無いことからDFライン裏のスペースを警戒し、ラインを下げるタイミングが早くなってしまっている。この際に中盤の戻りが遅いためにライン間のスペースが空くこともあり、このスペースを広島に使われてしまっていた。

【ポジティブトランジション】
守備から攻撃へ移り変わるフェーズである。
マリノスは高い位置でボールを奪うことができれば、WGを使って速攻を仕掛けることが多い。ただ、この試合では相手を嵌めて高い位置で奪い切ることができなかったために、ショートカウンターを繰り出す場面は皆無であった。

一方で自陣でボールを奪った際にはポゼッションの確立を選ぶことが多く、ダイレクトに裏へアプローチをする頻度は低い。奪った後はサイドにボールを逃し、相手のプレッシャーを回避する。そしてパスを繋ぎながら相手陣地へ侵入していくのである。

【セットプレー】
・ゴールキック:GKの飯倉からショートパスを繋ぐことが大半である。前線にターゲットとなるFWがいないこともあるが、大きく蹴り出すことは少ない。ロングボールを使うにしても、SBに出すぐらいのものであり、ポゼッションして攻めていくという意思表示をしていると言っても過言ではない。

・FK&CK:Jトップクラスのプレースキッカーである天野を擁することから、得点への期待自体はあると言える。
特に直接狙える位置からのFKは、今や立派な得点源の1つである。この試合でも、惜しくもクロスバーに阻まれたが、惜しいシーンがあった。
CK、遠い位置からのFKは。狙いどころとして相手のストーンでもあるパトリックを回避するためにファー狙いが多かった。

被FK&CK

相手のCK時はゾーン+マンツーマンの併用を選択している。上の図が基本的な配置で、天野はショートコーナーへの対応、仲川はこぼれ球の対応を担い、その他でゾーンを形成している。また、上の図に載っていない選手はマークを担当している。
この試合に限れば、扇原がパトリックのマークについていたのは適切だったか疑問符は付く。いくら空中戦が向上しているとは言え、あのパトリックである。また、ファーサイドで相手を余らせてしまうことがあり、広島にそこを狙われていた印象がある。

【雑感】
トライアングル、ロンボを作る動きに乏しいためにパスコースが少なく、結果として相手が守りやすいようになってしまっている。
特にアタッキングサードに入る段階でのパスコースの選択肢が限られていた。サイドに運んだはいいが、そこからハーフスペースで受ける動きもないのでゴールの可能性の低いクロスを放り込むことに終始することになる。さらにさらに相手CB-SB間のスペース(チャンネルと呼称される)に走り込む動きが無いので、相手のマークのズレを生み出すことができない。相手の2ライン間で受ける動きが見られない問題も含めて、これらの問題にはインサイドハーフの責任が大きいと思うのだが改善はされるのだろうか。


次戦以降に向けては、ポジショナルプレーの基本とも言える位置的優位を確保すること、勇気を持ってそこにつけること、ボールをしっかりと収めることの3点が必要になるだろう。


ということで今回はここまで。こんな感じで進めて行きますが、少しでも試合で何が起こっているのか、理解を深めていけたらいいなと思ってます。

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