メタバラッツ

鎌倉・極楽寺にあるスパイス屋・アナン㈱3代目。 オリジナル商品の開発や、スパイスの面白…

メタバラッツ

鎌倉・極楽寺にあるスパイス屋・アナン㈱3代目。 オリジナル商品の開発や、スパイスの面白さを伝えるため料理教室などで全国を飛び回ったりしている。 好きな映画は『男はつらいよ』シリーズ。 アナン公式サイト:http://www.e-anan.net/

最近の記事

アナンのレッドホットミックス


最初にアナンが販売し始めた商品は「カレーパウダーN21B」、「コリアンダークミンミックス」、「ガラムマサラ」そして「レッドホットミックス」である。  カレーパウダーがカレー全般の味や香りの要をしているとして、ガラムマサラが味の奥行きや香りの深みを料理に与えているような気がする。コリアンダークミンミックスは小回りがきく万能選手であり、故郷西インドのグジャラートの味を彷彿とさせるものを持っている。とろみを効かせたい時にも、辛みを抑えたい時にも、カレーの香りや味をもっと高めたい時

    • オンライン料理教室で伝えてみたいこと

      コロナ禍で始めたオンライン料理教室も気づけば丸々4年が終わろうとしている。 始めた頃は試行錯誤が続いていたが、一日に開催する数も3回から4回に増え、様々な企業や団体からも貸切の依頼まで来るようになった。スパイスを使う料理やスパイスから作るカレーは常々「香り」が大事だと伝えきたので、その香りの立ち方や、どのような香りがしてきたら次の材料を投入するのかを伝えるのがオンラインだとどうしても難しいなと思っていたのでオンライン料理教室ではなるべく言葉で色々なものを補えるように開催中一時

      • 大きな河と灯された火


        灯った火が消えないようにずっと見守り続けなくてはならない。  鰻屋さんや焼き鳥屋さんの秘伝のタレは何十年、百何年と継ぎ足し、継ぎ足しで味に深みや代え難いものを作っていると聞く。    始めてしまったものを続けていくことは地道な日々の営みがあってこそなのだが、やめてしまったものをまた始めるのは難しい。  誰かの一言や思いつきで始まったことが徐々に大きくなり、それを通じて多くの人々の助けもいただき段々とともに歩むものも増えていく。  思い描いた形とは違ってくることもあるかも

        • お父さん

          大きな手だなぁ。  闘病で少しやせ細っているにも関わらず、病院で握ったあなたの手はとても力強く大きかった。  1,000gにも満たない生まれたての私を包み込んでくれたのもその大きな手だろう。  肩車をしてくれた時に落ちないように支えてくれたのもその大きな手であろう。  公園でなかなか他の子どもたちの輪に入れなかった時にそっと押してくれたのもその手であろう。  私の腕を強く握り、叱ってくれたのもその大きな手であろう。  暖かくて力強いその手があるだけでいつも守られ

        アナンのレッドホットミックス


          スパイスというメディア

          昔からスパイスは世界中を旅してきた。たくさんの人によって遠くに運ばれてきた。その土地土地で価値や形を変えながらそれぞれの理想の調合になったり、お守りになったり、薬になったり。 昔、アラブの商人はヨーロッパの人々にシナモン鳥の話をよくしていたそうだ。遥か遠くの国の人が登れないような高く険しい崖の上に大きなシナモン鳥が巣を作っている。この巣がシナモンスティックでできていて、とても人は登って取りに行くことができないので崖の下に大きな肉の塊を置いておくのだとか。そうしたらシナモン鳥は

          スパイスというメディア

          ヨーグルトとトマトの大喧嘩

          インド料理に今や欠かせない唐辛子やトマト、じゃがいもなどがやってきたのは今から約500年前の大航海時代。コロンブスがアメリカ大陸を発見したことによって、ヨーロッパ経由でインドに伝わってきたと言われている。簡単に育てられる美味しい辛味の唐辛子やインド料理をさらに美味しくしてくれるトマトは酸味で味を引き立ててくれるしトマトの旨味が料理に深みを与えてくれる。トマトや唐辛子の登場はインド料理に劇的な変化をもたらしたものだと思うし、今や「スパイスから作る基本のチキンカレー」のレシピには

          ヨーグルトとトマトの大喧嘩

          ジャガディアの病院

           我々のインドでの故郷はインド西部に位置するグジャラート州にあります。何年かぶりに訪れたグジャラート州は道路や街が綺麗になっており、人々の情熱や活気は以前にも増して自信と誇りに満ち溢れているようでした。そんな人たちを見たり、彼らの話を聞いたりしているとワクワクしてくるものです。そしてそのワクワクの中に自分達も入ってみたいと思うものです。  わずか3日間の滞在でしたが、多くの商売をされている方々や社会貢献をされている方々に会うことができました。どの人も場所も印象的だったのです

          ジャガディアの病院

          スパイスと白神山地

          1時間と少しのフライト。機内ではテレビモニターが付いており好きなものを観れるというので観ていたらハーバード大学が研究していることがやっていたのでそれをなんとなく観ていた。なんと75年もやっている研究で700人もの人々を1930年代から現在まで追跡調査しているものだという。何を調査しているかというと「人間の幸福と健康について」。結論からいうと幸福と健康を高めてくれるのは良い人間関係だということが力説されていた。  約20分くらいの番組だったが、このハーバード大学の長年にわたる

          スパイスと白神山地

          小さなインド

          大阪に行くような感覚でインドに行きたい。  2020年2月にインドに行ったのを最後になかなかインドに行けないでいた。スケジュールの都合やら、コロナ禍の行動制限やらで重い足を動かせずにいた。昨年から行動の制限はほとんどなくなり、活動や行動の幅も徐々に広がり、今では日本のあっちに行ったりとこっちに行ったりとするようになり、今度はインドに行きたくても予定を立てるのが難しくなってしまった。  そんな中に思いついたのが大阪に行くようにインドに行ってみよう。というものであった。大阪に

          小さなインド

          ブランコがある家

          遮るものもない澄んだ青い空。たまにゆっくりと小さな雲が横切っていく。時間はゆっくりと流れ、空を眺めている私はゆっくりとブランコに揺らされている。ベンチのようなブランコは横になってもゆったりできるくらい大きい。ジョーラ(Jhoola)と呼ばれる西インドのグジャラート州の家でよく見かけるブランコ。そこに来たら誰もが座りたくなる。そよ風が頬にあたり、花の香りが漂う。時期になると様々なハーブやスパイス、フルーツが育つ。そのまま食べることもできるし、ブランコの隣にある家に持って行って何

          ブランコがある家

          エレガントなガラムマサラ

          ガラムマサラ。 ガラムとは暑いや熱いといった意味がある。マサラはスパイスやスパイスが混ぜられたものをさすことが多い。ガラムマサラはスパイスミックスの一つだが自分で作る場合はそれぞれのスパイスをローストして香りに深みや香ばしさを増させてからそれぞれをパウダー状にしてブレンドすることが多い。この深い香りがするスパイスミックスをカレーの仕上げに加えると美味しさがグッと引き締まり、上品な仕上がりになる。 アナンのカレーパウダーが誕生したあとに3種類のスパイスミックスが登場した。コ

          エレガントなガラムマサラ

          アナンのカレーが美味しくなる香辛料

          横浜の元町の商店街を海の方に進んでいくと100年近く昔からやっている小さなお店があった。小さなお店には所狭しと世界各地の調味料や食品が並べられていて奥の方にはワインなども置いてあった。港町横浜に異国の文化や物が入ってきた頃にそのお店はオープンしたらしく、古くから近隣のお店へワインやコーヒー、スパイスやその他の調味料を配達していたそうである。お父さんとお母さんがとお嫁さんがお店番を息子さんが各地に配達にいっていた。暖かい雰囲気のご家族でお客さんに親切丁寧に世界各地の調味料の使い

          アナンのカレーが美味しくなる香辛料

          アナンのコリアンダークミンミックス

          カレーパウダーN21Bが誕生し、販売が始まってまもなく3種類のスパイスミックスの販売が始まった。カレー作りの仕上げや食材の下味などにも使える上品な香りが特徴的な「ガラムマサラ」、角のない辛さが人気があり、美味しい辛味を足したいときに重宝する「レッドホットミックス」そしてアナンの故郷でもある西インドはグジャラート州の味「コリアンダークミンミックス」  コリアンダークミンミックス、レッドホットミックスそしてガラムマサラは約45年以上前に誕生し今も多くの方々に愛用されている人気商

          アナンのコリアンダークミンミックス

          アナンのチャートマサラ

          大きなヤギ肉の塊をニンニク、生姜、スパイスとたっぷりの油でマリネしてそれをチャパティで包み、バナナリーフでラッピングしたものを紐で結びあげ、だだっ広い砂漠の真ん中で大きな穴を掘りその中に放り込んだ。その中には熱々に焼いた石が何個か入っており、肉の塊を放り込んだあとは周りの砂漠の砂をかぶせ数時間待つ。真っ赤な夕焼けが辺りを覆い、満点の星空のカーテンがかぶさる頃にまた穴を掘り起こす。ほろほろに焼けた肉の塊が出てきた。  タンドリーチキンのルーツを辿る旅に出た時にラジャスタンの砂

          アナンのチャートマサラ

          アナンのカレーパウダー

           生まれは日本なので幼い頃から日本で育った。10代の頃に南インドの学校にいたが、言語は英語だったのでインドの言葉を習わずに今に至ってしまった。最近になって故郷の言葉を習っている。母国語は日本語になるが、インドの母国語はヒンディー語ではなく主に西インドはグジャラート州で話されているグジャラート語である。何度も訪れた土地なので聞いたことがある言葉や単語はいくつかあるが文法などを習ったことがないのでとても面白いし、話せるようになってくると新しい扉がまた開けるのではないかとワクワクし

          アナンのカレーパウダー

          スパイスラビリンス

          細い小道の先に見える微かな光に向かって進んでいく。ゴールが見えたかと思うと違う景色が広がっていて様々な道に広がっている。進めば進むほど道は増えていく、見えていたゴールはどんどんと増えて、終いにはゴールなんかどうでもよくなってくる。進んでいった先にはきっとまた違う道が増えているのであろう。たまに同じような道を通ることがあるが、進んでいくとまた違う道にたどり着くので同じ道は二度と通らないのであろう。  知れば知るほど、学べば学ぶほど、そして経験、体験すればするほどに新たな景色を

          スパイスラビリンス