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みんな違ってみんな良い

ここ数ヶ月と毎月のように埼玉県は飯能に足を運んでいる。栗農園で定期的に料理教室を開催しているのだが、飯能の観光の一環として地域の資源を活かして観光客、特に台湾やタイの方々を呼ぼう!というのがあり、台湾の多くの人たちがベジタリアン(オリエンタルビーガン)だということで玉ねぎ、ニンニクなどを使わないスパイスを使ったメニュー開発を地元の飲食店の方々と共に行なっている。飯能は山間部に囲まれていることもあり、交雑しないということで古くから種の採種が行われていた。そんな豊かな土壌で生まれた野菜や種たちは「固定種」と呼ばれしっかりとした味と美味しさが評判を呼んでいる。持続可能な野菜なこともあり、ここ近年では各地で評判を呼んでいる。

アーユルヴェーダの教えの中にも、豊かな生活習慣の一つとして近隣で取れたエネルギー豊かな食べ物を取ることの重要性を訴えているので、今回の観光のテーマとしても固定種野菜を使った料理を各飲食店がスパイスを合わせて提供することになった。

そもそもの固定種野菜と聞いても私はあまりわからなかったので、固定種野菜の第一人者でもあり、種屋さんを3代に渡り飯能で営んでいる野口さんという方の話を聞く機会を設けていただいた。専門的な種の話を伺いながら印象的な話としてはやはり同じ親から生まれる子でもみんな違うというものであった。当たり前のことでもあるが、やはりみんな違うから種族として生き残れるのであろう。

そんな話を聞いているとふと昔聞いた料理教室のことを思い出した。あるレストランですごく人気のカレーがあり、そのレストランで出している料理を再現できるレシピとその材料を揃えていただき、作り方も細かく教えてもらって作るというものであった。料理教室は人気のカレーの作り方を学べるということでたくさんの人が集まった。当日は各テーブルにみんなに同じ量の材料が配られ、それぞれが一斉に作り始めたそうである。同じ材料、同じ機材、同じレシピ。

しかし出来上がったカレーは全て違う味だったという。

様々なところで料理教室を開催しているとそこで学んだ方々がお店を開いたり、間借りでカレーを出したり、キッチンカーでカレーを提供したりしている。それが全て同じ味ではなく、良い感じでそれぞれの個性を出しているのである。
「みんな違ってみんな良い」

よく言ったものである。そして特にスパイスを使った料理というものは個性が出やすいような気がしている。

同じ味を再現するのも素晴らしいが、偶然が生み出す奇跡というものには変えられないのかもしれない。

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