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チキン65

ハンバーガーにサンドイッチ、アールグレイにシーザーサラダ。名前を聞けばみんなが何のことを言っているのかわかる。ハムが入っていないのにハンバーガー。ジュリアス・シーザーが作ったわけではないけどシーザーサラダなどなど、不思議な名前が多い。

アナンで長年販売しているカレーパウダー。正式名称はカレーパウダーN21B。45年以上も販売しているとたまになんの数字だが聞かれることがある。カレーパウダーを日本で発売する際に試作品をたくさん作った時に振り分けられたナンバリングの一つがN21B。そのまま通称になると思いきやカレーパウダーと呼ばれ、N21Bとは誰も呼んでくれない。十数年前に輸入して販売していたスパイスふりかけはシャネルの5番に憧れて「55番」と命名したら、こちらは55番で定着していった。

ナンバリングがついたインドの有名な料理といったら「チキン65」(チキン・シクスティーファイブ)であろう。南インドで生まれたスパイシーな唐揚げは今やインド全土のレストラン、スナック、バー、ダバと様々なところで愛されている。ビールや炭酸飲料との相性は抜群である。このチキン65、名前の由来がしばしば物議を醸している。ある人は65日間鶏肉をマリネしているから、とか。またある人はインド軍の兵士のために1965年にレシピが考案されインド各地から来た兵士たちが違う言葉を話すためわかりやすく数字で「65」と名前をつけたそうだ、とか。鶏を65部位に切ったからとか、生まれてから65日目の鶏だからだとか、65種類の唐辛子を使っているからだとか、いろいろな説がある。最も有力な説は南インドはチェンナイのBuhari Hotel(ブハリ・ホテル)にてA.M ブハリ氏が1965年に考案したものであるというもの。その後ブハリ氏は1978年にチキン78、1982年にチキン82、90年にチキン90を開発しているらしい。

なんとなくつけた名前が浸透して定着していくのは料理などには多いような気がする。鎌倉のMIKE’S BARの「ブルドッグ」というカクテルは、ソルティードッグの塩をまぶさないのを客に提供した時に名前を聞かれて「ブルドッグ」とつけたのが浸透していったそうである。

シーザーサラダはメキシコのティフアナで1924年にイタリア系アメリカ人のシェフ、シーザー・カルディーニが考案したものなんだとか。

不思議な名前の料理はまだまだあるけど、ちょっとジャンキーで庶民的な料理の方が愛称が付いているような気もする。

冷えたビールに揚げたてのチキン65でも食べながら不思議な名前の由来を妄想していたいものである。

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