限りなく気持ち悪い悲劇ポルノとマネタイズの関係性

うんざりするくらい繰り返すテンプレート記事の意図

幻冬舎ゴールドオンラインという媒体をご存知だろうか。
この媒体には大きな特徴が存在する。

以上の記事は氷山の一角に過ぎないが、この媒体は人生を踏み外して失敗した人間(特に40代が際立って目立つ)の事例をこれでもかとばかりに、中には嘘松も相当入り込んでいるのではと思しき描写も含めて取り上げるのを得意としている。
そのくせに、文末は大体「我々は嘆く事しかできないのだろうか」とか「時代の流れには逆らえない」などと賢しらに語り、決して具体的処方箋を書かない。

何故なら、彼らのビジネスモデルは全うなビジネスサイトの様に有料記事を買ってもらって運営していくというより、これでもかとばかりに悲惨な境遇の人間を取り上げる事で「自分たちはまだマシ」という上を見るな下を見て我が身を安心させよという心理、「そうだよな、俺等の様な人間は多いんだ」という同調を利用し、アクセス数を伸ばすというアフィリエイトサイトに近い。
具体的に解決されたら、アクセス数は減って困る…だから、彼らは今日もテンプレートの如き悲惨な境遇の記事を書く。

その有り様は、まるで「貧困問題が完全に解決されたら自分たち食い扶持がなくなるのでわざと貧困問題を完全に解決させないように持っていく日本の自称リベラル」とコインの表裏のようだ。


貧困論壇をマネタイズせよ

全うな出版社の系列サイトすらアフィリエイトブログじみた商法に手を出さざるをえないレベルで、出版不況は深刻化している。

その原因については色々と細部のテクニカルな部分もあるだろうが、数十年前に比べて個人の情報発信が容易になった結果、参入障壁が極端に下がったというのもあるだろう。

中には、幻冬舎ゴールドオンラインがやっているような「ロスジェネの悲劇ポルノ」を個人でやっているような人間すら存在する。

確かに、本朝は言論の自由が保障されている。
しかして、彼らのような「他人の不幸は蜜の味」とばかりに悲劇ポルノを売り歩きマネタイズする存在を見れば、果たして人倫というものは存在しているのだろうかと、ふと考え込んでしまうのだ。

彼らは明らかに善意で、不幸に見舞われた人々に対して「人生指南をしているつもり」なのだから、もっとたちが悪い。


ゲンロンの死の商人たち

往々にして日本の社会問題というのは、完全には解決されない。
何故なら、社会問題が完全に解決されてしまえば「狡兎死して走狗烹らる」という中国の故事を引用するまでもなく、彼ら社会問題を飯の種にして食ってきた活動家は職を失うというジレンマを根本的に抱えているからだ。
(個別事案に関しては色々と思い当たる節があるが)

かの如き風潮にあって、人生指南をやっているつもりで「他人の不幸は蜜の味」とばかりに悲劇ポルノを売り歩きマネタイズする存在は経済的には非常に合理的である。

だが、もっと合理的な方法が存在する。
それは、対立する存在双方に言葉の大量破壊兵器を与え、双方に対立させるやり方だ。まさにゲンロンの死の商人とも呼ぶべき方法だが、合理的経済人としてはこれ以上にない稼ぎ方だ。

具体的には、上に向かって下層の人間の怠惰さを吹き込み、下に対して上層の人間の脱法行為を暴露する。左の人間の世間知らずさを糾弾し、右の人間の整合性のなさをあげつらう。
男にミソジニーを植え付け、女にミサンドリーを吹き込む。

個人としては、非常に合理的なビジネスモデルだと思う。
しかし、ゲンロンの死の商人たちはその節操のなさ、前後のゲンロンの整合性のなさなどにより、軽蔑されるだろう。

我々は彼らの意図を読み、取捨選択をしなければならない。
ゲンロンという武器に、己の生き方までを捧げる必要性は微塵もない。


【追記】
自分は「ゲンロンのマネタイズ化」に関しては全否定、という訳ではありません。
ただ、「他人の不幸な人生を換金して美味いメシを食っている」という自覚やわきまえくらいは持ってほしいと思います。

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