”ミュニシパリズム”が進んだ国で起きている極右の躍進
今回も”右派・極右”についてボソッとさせていただきます。
まず、右派・極右が躍進する事象は、決して権威主義的な国家に起きる現象ではないということです。
なぜなら、民主主義やコミュニティ政策、環境政策でも”優良”と言われた国々でも右派・極右が躍進する事象が起こっているからです。
その優良な国々とは、スペインとオランダです。
実は両国ともヨーロッパ主義の優等生として評価が高い国であるがゆえに、EUヨーロッパ共同体を支えてきた国において極右が躍進するということがどれだけ衝撃的なのか、世界各国がトップで報道したニュースであることがそれを裏付けていることでしょう。
私の過去のボソッとでも、日本でも見習ってみたい政策として取り上げた”時間銀行”や”労働者協同組合”に取り組んでいる国としてスペインとオランダは先進国の位置づけにあります。このような地域主義・自治体主義といったコミュニティを活用した社会発展「ミュニシパリズム」について、今後勉強しようと思っている私にとって、「ミュニシパリズム」先進国であるスペイン・オランダにおいて、極右が躍進した事実をまずは受け止めるべきかなと思っております。
ただ注意することとして極右が躍進したという現象が良いとか悪いとか、そのような判断軸で捉えるのではなく、”力でねじ伏せることが大きな成果を生む”と考えることがトレンドとなっているこの世界で、なぜ極右が躍進する現象が起きているのかを、まずは知ることから始め、しっかりと現実を直視することが大事だと思います。
スペインの極右台頭
この夏に行われたスペインの総選挙において国民党が第1党となったが、国民党と事前に連立を組む可能性が指摘されたのが極右政党ボックス。
極右政党ボックスは反移民や反イスラム、州の自治権停止を訴えており、伝統的な価値や文化を守るとして男女平等への取り組みやLGBTなどの権利拡大を否定してい政党です。
尚、この総選挙で国民党に敗北したサンチェス政権が掲げていたのは、ジェンダーの平等と社会の多様性を推し進めてきた政策です。男女の社会進出の平等に数値目標を定めたり、未成年に性自認の自己申告を認めたりと矢継ぎ早に法律の整備を進めてきたことをサンチェス主義とも言われていたが、このサンチェス路線を転換するとボックスは主張しています。
オランダ 極右政党が第1党
前回ボソッとでもご紹介した「オランダのトランプ」と言われているヘルト・ウィルダース氏が党首を務める極右勢力である自由党がオランダ次期第1党になったというニュース。
オランダをオランダ人の手に戻し、移民を制限すると公約しています。つまり、自国の利益を守り抜く自国第一主義の極右政党がオランダで第1党となったのです。
さらに衝撃的なことに、オランダはヨーロッパ統合を最初からけん引してきた国であるにも関わらず、EUにも批判的な政権がオランダで躍進していることで、EUの団結が心配される状況であると各国のメディアでは報じられていました。
ヨーロッパの右傾化の本質は”国民が変化を望んだこと”で起きた現象である
右傾化はヨーロッパ全体にも広がっていると言われています。
ヨーロッパでは、イタリアのメローニ首相による右派の連立政権が誕生、北欧ではスウェーデンでは中道右派の連立政権、フィンランドでは中道右派による連立政権が発足している。
また、フランスでは議会選挙で極右政党が大きく躍進、ドイツでも新興の右派政党が支持を伸ばしている。
そして今回ボソッとしたスペインとオランダで起きた極右躍進。
なぜいまヨーロッパの右傾化が進んでいるのか?
極右政党ボックスが注目を集める理由について、「政府が労働者の経済的な苦境、移民・難民問題への対応に失敗していること」「ロシアによる侵攻が続くウクライナへの支援疲れ」などを指摘している。
オランダでも難民受け入れ施設の既にキャパは超えており、難民の増加は住宅不足に直結しているなどの不満が背景にある。
これらの極右政党が訴えている共通のこと、それは・・・
この主張に賛同した国民による支持を得た形です。
つまり、”国民が変化を望んだこと”が、極右躍進の本質的な理由なのではないでしょうか。
この”大きな変化を望む声”が、力でねじ伏せるて大きな成果を生じさせようとする思想が広がりつつあるいま、どのような方向へ世界が向かうのか、これから大きな焦点となることでしょう。
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