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エッセイその73. 私に近い六人の他人(8)故ダイアナ妃


「六次の隔たり」、今日は故ダイアナ妃です。

(1)に書かせていただいたエリザベス女王様ですが、
長年の間 公人でいらっしゃり、あちこち活発に出向かれますので、
私のように、「肉眼で見たらもう知り合い」というふうにするなら、
一次かニ次の隔たりの人は、世の中にざらにいらっしゃるでしょう。

でも、今日の故ダイアナ妃は、私がよく知っている人が、
一人、間に挟まっているだけですのですので、濃いといえば濃い間柄。


私のよく知るというのは、私の義理の従姉妹のクレアです。

私 ⇨ クレア ⇨ スペンサー卿 ⇨ 故ダイアナ妃

と、三次の繋がりができました。

どういうことかと言いますと、ニュージーランドに

Women’s Weekly

という薄い雑誌があって、スーパーのレジや、
フィッシュ&チップス他の持ち帰りのお店の待合室
などによく置いてあります。(トップ写真は2007年8月号)

義理の従姉妹は、この雑誌の主宰した、
「私と故ダイアナ妃」エッセイコンクールに応募して優勝し、
ご褒美として、イギリスのスペンサー卿のお屋敷に滞在したのでした。

この、第9代スペンサー伯爵という方が、ダイアナ妃の弟さんなのだそうです。

義理の従姉妹のクレアは、そのお屋敷に泊まって、
雑誌社の人やスペンサー伯爵と晩御飯を食べたのでした。

スペンサー伯爵家邸宅は、故ダイアナ妃の実家であって、
その墓所も、敷地内の人工湖に浮かぶ小島のどこかにあるそうです。


クレアは翌日の朝、その人工湖まで散歩に行く途中、
スペンサー卿と出くわして、しばらく立ち話をしたんですって。

お食事は全て、みんなとても美味しく、また、
お屋敷の中のベッドは高さがあって、「よじ登る」感じとなり、
パリッパリの綺麗なシーツで、ものすごく寝心地が良かったそうです。
一度はそんな体験をしてみたいですね。


雑誌 Woman’s weekly に載ったクレアのエッセイとクレア親子の写真です。

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さて、ここまで読んで、「貴族って気さくなんだね!」
と思われた方も多いかと思います。

もちろんスペンサー伯爵は、大変気さくな方であった(クレア談)。

しかし、貴族には貴族の、人知れぬ苦労があるのだそうです。


私が仕事を通じて知り合った皆さんの中には、
よく聞くと、イギリス貴族の称号を持つ人がいました。


社内には、

「あの人は本当は仕事はしなくても良いぐらいな人なんだ」

という噂もあるのでした。

ジェーン・オースティンの小説に出てくるような、

「年のほとんどを田舎の屋敷で過ごし、
社交シーズンの数ヶ月はロンドン・シティに滞在する」

みたいな人たちは、まさか 今時いないでしょうが、
私の知っている人は、ロンドンと田舎に二軒の家を持ち、
日本から帰るときに、石の太鼓橋と、四阿(あずまや)
などを購入されて帰る人もいました。
なんでも、カントリーハウスの敷地に日本庭園を作るという。

貴族の皆さんは、政治や経済の要職に就かれる方も多いとのことですが、
いろいろ読んだり聞いたりした話では、実はなかなか苦労があるようです。

なぜなら、

貴族のなりわいは、貴族であること

だからだそうです。

家を絶やしてはいけないし、
面倒だから大変だからと、貴族を辞めることもできないそうです。

財産や体面を保つのにはコストがかかりますから、それはそれは大変です。

それで、観光客や、王室・貴族ファンの人々に、
広くお屋敷や、「貴族である自分との時間」を提供することで、
頑張って「貴族であること」を、続けていることが多いのですって。

うゎ・・・・気骨が折れそう・・

ちなみに、スペンサー卿の邸宅は、
一般に公開されていて、入場料は18.5ポンドだそうですが、
やや高めの設定であっても、とても人気があるそうです。
(今日のレートで2783円。私は払って入ります!)
夏の2ヶ月間だけだそうですが、邸内も見学できるとか。

私たちのような凡人には、その日の体調や出来事によって、
好きなだけふてくされたり、機嫌を悪くすることが許されましょうが、
卑しくも爵位を持ち、王室となんらかの関係があり、
世界中の貴族ファンの人が自宅に訪れる立場であれば、
一流のエンターテイナーであり、
おもてなしの心に溢れている必要があります。

例えば、ジャパンから 私のような変な女がやってきて、
ポーチを斜めがけにして廊下をうろうろしていても、
カチン! ときたりしてはならぬのです。


そういえば。

私は目黒にある東京都庭園美術館が大好きで、
帰省すると必ず行くぐらいなのですが、
あそこは朝香宮ご夫妻のお屋敷でありました。

展示物も素晴らしいことが多いですが、
建物そのもの、内装、ライティングまで全て素敵です。
ぜひ、下をクリックして、あちこちご覧になってください。


美術館に行けば、宮様ご夫妻のプライベート居住スペースも、
つぶさに拝見することができます。

奥様の寝室・ご主人様の寝室。
奥様の図書室・ご主人様の図書室。
ご家族全員に、別々に専用の居間があります。
しかし、そこにテレビがあったとしても、
間違っても「あいのり」などは、見られないことでしょう。

アール・デコの、細部まで凝った美しい邸宅です。
けれど寝ていても、本を読んでいても、
とてもじゃないが、落ち着かなさそうではありませんか。

天井も高く、隙間風は冷たくなかったろうか。
(余計なお世話・・)

あのお屋敷で、お風呂上がりに、バスタオルでターバンにしながら
うろうろ歩き回ることなど、できなそうです。

朝ご飯で顔を合わせると、夫婦してお互いに、

ごきげんよう

などと挨拶を交わしていたに違いない。

そう思うと、貴族でなくて、宮家に生まれなくて、ほんと良かった。
(いや全く、その心配いらないから!)

最後までありがとうございました。

存分にイギリス貴族の生活を覗き見たい方は、
こちらはいかがでしょうか。




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