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エッセイ402. 「エルマーのぼうけん」への長い道


今日は目的地まで遠かったお話をさせていただきます。

立川のPLAY!というところにあるミュージアムで、
子供のときに好きだった「エルマーのぼうけん」の原画展があるとのことなので、行ってみることにしました。

で、この暑い中 出かけるので、気になっていたことを一回の外出で終わらせようと思い、朝から準備をしました。

まず、締め切りが昨日だった、賃貸の駐車場の更新書類を封筒に用意し、
ネットバンキングで更新料を払って、投函するまでにして一安心。
近所にポストがないので、出かけるときはぜひ、出せるものは出したい。

次に、娘が病気のときに世話になった人たちへ送るいろいろなもの。
大きすぎる箱を、カッターであちこち切ったりして小さくして、カードも入れて、出せるまでにしました。
面倒くさがりなので、ここまでくるのが大変です。


今日の「お出かけ一筆書き」は、まず自転車で郵便局へ。
娘への荷物を出し、駐車場の書類を投函すれば、さぞほっとするでしょう。
次に、駅までの中間地点の市役所の分所で、「マイナンバー記載のある住民票」を取得する。
一応、マイナンバー制度に反対してきたので、マイナンバーカードは作りません。
それで、必要な時にマイナンバー記載の住民票を取ります。
住民票は6ヶ月以内にという「消費期限」があるため、何度も行かなければなりません。

それが終わって最寄り駅に着いたら駐輪場に自転車を入れ、近くのジムで軽く運動し、
京王線と南武線を乗り継いで、立川の「エルマーのぼうけん」原画展へ行く。
ミュージアム・カフェで「エルマーのぼうけん」ランチか、デザートかドリンクを頼む。

最後に渋谷に行き、店舗・期間限定のほしかったものを手に入れ、
念願の小田急バスで地元まで涼みながら帰るという、素敵な旅程でした。

んが、涼しい家の中で呑気に作った計画なので、
明らかに盛り込みすぎなのに、本人は全く気づきません。
よくあることです。

日焼け止めをスプレーし、帽子を目深にかぶって、意気揚々と家を出ました。

すぐ挫折しました。

大きな箱を持って、郵便局の窓口へ歩いて行くと、二人並んだ局員さんがにこにこしながら、
「いらっしゃいませ。お荷物のご送付ですか?」
と、聞いてくれます。
「はい、オーストラリアへ。一番早くて安いのはEMSですか?」
と言ったところ、前の人と、すぐ後ろに立っていた人の両方が、
「ああ〜〜・・」と、残念そうな声を挙げました。

そうです。
ネット上でいろいろ登録して送り状を家でプリントしなければ、
今は海外へ荷物を送れなかったのでした。
わかっていたはずなのに。
ネットでの登録のやり方を書いた紙をいただいて、
しょんぼり、ギコギコと、自転車を漕いで帰ります。
暑いです。

箱を玄関内に入れ、
「そうだ、渋谷からの帰り方によっては、家から自転車に乗らない方がいいかもしれない」
と、そう思い、自転車を置いて、バスで最寄り駅に向かいました。
バス停でバスを待っている間もじりじりと照りつける日光にめまいがしそうです。
最寄り駅に着きまして、ジムで運動をし、
空いた京王線の電車に乗り込み、余裕でどかっと座りました。

「ああすずし。寝ちゃおかな」
と思った途端、住民票のことをすっかり忘れて電車に乗ってしまったのに気づきました。
さすがに電車を降りて戻るのは嫌だし、帰りに行こうとすると、
窓口が4時半までなので間に合いません。
実は、前日にも地域センターに住民票を取りに行ったのですが、
センターは5時まで、証明書発行は4時半までで、5分違いで取得できませんでした。

でもまあいいです。
電車の中の方が、家にいるよりずっと涼しいです。
ゆっくり行きましょう。

と思ったのですが、なんだかいつまでたっても、
乗り換え駅の『分倍河原駅』に着かない気がしてきました。
嫌な胸騒ぎを覚え、車内の停車駅の表示をよく見ると、
調布で乗り換えるべきところをそうしなかったので、間違った方向へ、
もう7駅ほども、涼しがりながら乗っていた私なのでした。

調布まで戻り、乗り換えて分倍河原に行き、また南武線に乗り換え、やっと着いた立川。
心なしか立川の風は涼しく、優しいのだった・・。

展示は、音響と、面白い仕掛けもありますが、
とにかくたくさんの原画に、その場面の文章がついているのです。
何十年も全く思い出さなかったのに、きれぎれに文章を思い出します。



挿絵は鉛筆画なのですが、表紙などは彩色がしてあります。
子供の頃、本棚の横に布団を敷いて寝ていて、ちょうど目のところにいつも、
「エルマーのぼうけん」「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」
と3冊並んでいました。
ぷりぷりのかわいらしいりゅうが大好きだったし、
りゅうとエルマーの会話が、「明治の書生っぽ」のようで、とても気持ちがいいんです。
訳した人は天才だと思います。
最後に「ぼうけんの図書館」があり、自由に読めるようになっていたので、
1冊目の「エルマーのぼうけん」だけ読んで、ミュージアムを後にしました。

渋谷の用事は別の日に譲り、疲れたけれどもなんとなく 満ち足りた気持ちで家に着きました。

それにしても、暑いとはいえ、もう少ししゃんとしたいものです。

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。