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日本語教師日記168.子供生徒と筆ペン

漢字学習は、仕事上とか何かのポジションに応募するためなどで、
「いつまでにJLPTのN1、N2をパスしなければならない」
という上級者でない限り、最初から詰め込む必要はないと考えています。

私はカタカナとひらがなと、基礎的な50〜100ぐらいの漢字は、大人も子供も含めて半年ぐらいの間に覚えてもらうようにしています。
とても多いように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
例えば、一〜十までは、2回のレッスンで入ります。
同時に、「人」なんていう、簡単な漢字も入れますし、レストランでの注文に必要ですから、ひとつ・ふたつ・・も入れてしまいます。
その全てにカードを作ります。
人、を覚えれば、一人、二人・・十人まで、と10枚ぐらいのカードができます。
一つ、二つ、の数詞を覚えればまた10枚。
一月、二月・・で、もう12枚。
カードの大盤振る舞いです。
量で励ますわけです。

東京に住んでいる人なら、一ツ木、三田、四谷、五反田、なんて入れてみます。その場所を知っていて、上野、日比谷、渋谷、新宿、品川、東京、六本木などは、しょっちゅう目にするなら、いくつかはもう知っていたりします。
全然大変なことはありません。

覚えて、忘れるということは、良いことだと思っています。
「筋肉もよく使うと、細かく傷つくのだそうです。それが回復した時は太く強くなっているんですって。だから、漢字を忘れてもいいんです。なんだっけなんだっけと脳みそを振り絞ると、脳もタンパク質ですから、傷がつくでしょう。それが回復するときに、一層丈夫なすぐれた脳になるでしょう。・・・たぶんね」

と、いつも生徒たちに言っています。

ただ、自分が小学1年生から習ってきたのでわかりますが、必要になってから急に詰め込もうとすると、漢字ほど辛いものはありません。
初めから少しずつ覚えていくのが楽ですから、Day1からどんどん紹介します。

「レッスンには、毎回紙と鉛筆を用意してね。
ダイソーがあったら、小学校1年生用の、マスの大きい漢字練習帳を買ってもらってください。
まあ、ないと思うので、ノートを一冊用意してくれればいいかな。
それ専用のものをね。
今、私もそうですけど、入力ばかりしていてあまり字を書くことがないですね。
でも、書くほうが覚えられると思うので、お勧めします」


さっそくいきましょう。

こういうのを、あらかじめ貼り付けておきます。

ちょっと下の方にスクロールして二つ目の「一」を見つけてください。
力強く筆で書いている動画が現れます。

初日は、一、二、三を教えます。
「このままずっと棒を足していければいいけど、そうはいかないのでね、
次からは難しくなりますよ」
と言っておきます。

同じ日に、人、木、林、森、川、山、田 ぐらいは出しておきます。

漢字って可愛いですね、とみなさんおっしゃいます。

「人という字は、二人の人が向き合って支え合っている漢字ですね。
もたれあっているのと違いますよ」

「木は、まんまで、覚えやすいですね。
それがたくさん集まると、林になって、森になります。

これは「口」。
口から何か突き出しました。
「舌」です。
言葉を表す「言」に舌を添えたら、「話す」というわけです

これは、「雨」。
屋根の下の窓から外を見ると雨粒が見えますね。

これは「田」です。
この前新幹線に乗ったら、見えますよとお話ししましたね。

田んぼに降る雨が激しくなったので、お百姓さんが見に行きました。
すると、雨の降り頻る田んぼに、ごろごろという音。
あ、「雷」だ。

見ているうちに雷から⚡️ 光が落ちてきました。
雷が作ったものは「電気」です。

その電気を使って話すのは電話で、動かす車は電車ですね。

というふうに、なるべく関連づけるように入れていきます。
なので、私の教え方は必ずしも、画数の少ないものから多いものへという順番ではありません。

カードは作ってあって、レッスンがだれてきたらフラッシュカードにして答えてもらいます。案外覚えているので、本人は嬉しくなりますし、気分も変わるので一石二鳥です。

カードは「自然編」人編」「場所編」「数編」というふうに分けて束ねてあります。
古いやり方ですが、かなり効果があります。

子供生徒には、太い筆ペンをダイソーで買ってもらっています。
筆ペンで書くと、ハネやトメができる意味がわかります。
みなさん、とても楽しそうに書いてくれます。

小中学生の生徒は、日本デーとか、世界の国デー、みたいな行事が学校であり、日本がテーマのときには浴衣を着たり、習字をしたりします。
そういうとき上手にかけたりして、嬉しいようです。

上級者になると、重箱読みや湯桶読みに翻弄されることになります。
経済の言葉などは、本当に奇妙な読み方が多いです。

漢字の世界は本当に深いですが、
みなさんに楽しみながらたくさん覚えてほしいと思います。

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。