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論文検索サイトを使いこなす|『エビデンス仕事術』

本日は、『エビデンス仕事術』から実践したいポイントを紹介します。

著者は、矢野経済研究所やインフォプランという「調査会社側」と、リーバイスやシャネルといった「クライアント側」の両方で、計30年以上にわたって情報を扱う仕事をしてきた光成章さん。

ビジネス上の意思決定を支えるためのエビデンスを、仕事としてリサーチしてきた情報収集のプロフェッショナルです。

エビデンスとは?

エビデンスとは、ビジネス上の判断の元となるような「根拠となる事実」のことを言います。

統計データや科学的研究はもちろん、メールのやりとりや1枚の写真、消費者のなんてことない一言なども「根拠となる事実」であればエビデンスとなります。

どれだけ論理的な主張をしていても、それがエビデンス(事実)に基づいたものなのか、個人の思いつきや憶測を元にしたものなのかによって、説得力は大きく変わってきます。

取引先や上司、同僚を説得するときは、確たるエビデンスを用意できているかが、その提案が通るかどうかのカギとなります。

たとえば論文検索で手に入れた1万人規模の統計データを、プレゼンに添える。それだけでプレゼンテーションの説得力は格段に変わるでしょう。

本書では、エビデンスの集め方について、Web検索や書籍リサーチによる「二次情報」と、取材・アンケートによる「一次情報」に分けて紹介しています。

また、集めた情報をどのように分類・整理・分析すれば、説得力・信用力を高めたプレゼンができるのか。そのノウハウも記されています。

エビデンス仕事術とは?

本書のタイトルである「エビデンス仕事術」とは、以下の4つのステップで構成されます。

  • STEP1 何がエビデンスとして有効かの検討をつける

  • STEP2 簡単に集められる二次情報から集める

  • STEP3 さらに精度の高い一次情報から集める

  • STEP4 分類・整理・分析・まとめの上、仲間にプレゼンし、協力を得る

要するに、「まずどんなエビデンスがあれば相手を説得できるか?」を考えてから、Web検索や書籍リサーチによる「二次情報」検索を行い、その後、取材・アンケートによる「一次情報」収集を行う。

最後にそれらのエビデンスを添えた説得力のあるプレゼンを行い、相手を納得させる、という仕事術です。

Web検索で信頼できる情報を探す

最近は、ネット検索による「二次情報」の収集のみで簡単に済ませたいと考える人は多いと思います。

ただ、漠然と"ググる"だけでは、自分が求めている情報はなかなか出てきません。信頼性に足る情報なのかもわからない。

プレゼン資料をつくるためのデータを探していたら、延々とネットサーフィンをしてしまい、いつのまにか1日経ってしまっていた…という経験のある方も多いでしょう。

本書では、グーグル自体の検索オプションを使いこなしたり、グーグルスカラーなどの論文検索サイトを使ったりすることで、素早く信頼できる情報にたどり着くコツが紹介されています。

私が実践したいと思ったのは「論文検索サイト」の活用です。

論文を引用して、エビデンスのある主張をする人って説得力がありますよね。

ビジネス書を読んでるとよく論文が引用されていますが、「著者はその論文をどこから見つけてきたんだろう」「論文を引用できる人って、どこで情報収集してるんだろう」と思っていたんです。

本書では、複数の論文検索サイトが紹介されています。

論文検索専門サイトの種類と特徴

論文検索サイトであれば、検索できるコンテンツがそもそもスクリーニングされているため、より専門的で信頼性のある情報を探すことができます。

著者は、論文検索サイトを利用するべき理由として、下記のポイントを挙げています。

  • 研究者・権威が誰であるかを知ることができる。

  • その分野の研究者の見解について触れることができる。

  • 研究者の視点は「課題・問題」に向いていることが多いので、書かれている内容は都合の良いことばかりだとは限らず、今後ビジネス等を計画する上での注意点として読むことができる。

一番の魅力は、「誰がその分野の専門家なのか」を知ることができるという点。

論文検索だろうと、ネットでの情報収集はあくまで「下調べ」の範疇であり、本格的なエビデンスの収集は、その後の直接取材にかかっています。

「では誰に聞きにいけばいいのか?」という時に、論文検索サイトを活用すれば、その分野の研究者や権威が誰であるかがわかるというわけです。

以下、本書で紹介されている論文検索サイトです。

①グーグルスカラー

https://scholar.google.co.jp/

世界を対象とした論文検索サービスです。

「アラート機能」があり、「キーワード」を設定するとそのキーワードを含む新たな論文が掲載された際に、メールで通知を受け取ることができます。

以下、試しに先日紹介した『GRIT』の著者・アンジェラ・ダックワース氏で検索してみました。

画面左側で、期間の指定をしたり、日付順に並び替えたり、「特許を含める」「引用部分を含める」の項目を選んだりできます。

②J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja

「国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST)」 が運営しているデータベースサイトです。

日本の「学協会」が出版した論文をほぼ無料で閲覧できます。

③サイニー(CiNii)

https://ci.nii.ac.jp/

日本の論文を探すサイトです。(日本の論文とはいえ、英語で書かれているものもあります)

「日本の論文をさがす」「大学図書館の本をさがす」「日本の博士論文をさがす」の3つから選んで検索を行います。

その際、「すべて」「本文あり」のいずれかを選択します。「本文あり」を選ぶと、連携サービスへのリンクがある論文のみを検索でき、論文の中身を読むことができます。必要に応じてダウンロードも可能です。

④国立国会図書館サーチ「NDL Search」

https://iss.ndl.go.jp/

国立国会図書館をはじめ、全国の公共図書館、公文書館、美術館や学術研究期間等が提供する資料、デジタルコンテンツを統合的に検索できるシステムです。

論文専用ではなく、論文以外の一般の書籍まで対象に含まれます。このシステムで検索できるものは、上記の施設に所蔵されているものなので、資料の信頼性も高いと言えます。

今後、新しくビジネスを始める際や、クライアントやビジネスパートナーに提案をする際、何かを主張する文章を書く際には、これらのサイトを活用して有効なエビデンスを探す癖をつけようと思います。

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