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「痛みを伴わない節約」で貯蓄する|『FIRE 最強の早期リタイア術』

「実践読書」20冊目は、『FIRE 最強の早期リタイア術』です。

本書は、幼少期に「1日44セントで家族全員が暮らす」という貧困生活を過ごした著者が、弱冠31歳でミリオネアになり、仕事を辞めて「FIRE」するまでの半生について語った一冊です。

「FIRE」とは「Financial Independence Retire Early」の略で、「経済的自立と早期退職を目標とする人生戦略」のことを言います。

わかりやすく言うと、投資から得た収入によって生活費を賄うことで、仕事をせずに暮らしていく生き方です。

仕事を辞めるタイミングは、65歳の定年退職が一般的かもしれませんが、投資収入だけで生活できるようになれば、もっと早くリタイアできるというわけです。

著者は31歳でリタイアし、いまでは世界中を旅行してまわり、プロとして文章を書いているそうです。

そんな夢のような生き方を手にするためにはどうすればいいのか。本書には、著者の経験をもとにした具体的な方法が書かれています。

「いやいや、自分は低収入だから投資もFIREも絶対無理」と思い込んでいる人にこそ、ぜひ読んでいただきたい。

なぜなら本書の一番の読みどころは、「FIREできるかどうかは年収は関係ない」という教えだからです。

リタイアできるタイミングを決める唯一最大の要因は「貯蓄率」です。年収ではありません。

底辺1パーセントの貧困家庭にいた著者が、上位1パーセントのお金持ちになれたからこそ、そのやり方は「誰でもできて、再現性のある方法」と言えます。著者がやったことをまねすれば、きっと同じ結果を得られるはずです。

だから本書を読むと、「自分もこの通りにやればFIREできるかもしれない…!」とワクワクしてくるでしょう。

ちなみに本書は、『勝間式 金持ちになる読書法』の巻末袋とじで、勝間さんが選書した「お金持ちになるための最強本15選」のうちの1冊でもあります。

FIREを目指して「貯蓄率」を高める

リタイアまでの期間は、年収に左右されるのではなく、貯蓄に左右されます。

年収1000万円でも、年に1000万円使えば、当然リタイアすることはできません。

一方、年収400万円でも年に300万円しか使わず、残りの100万円を毎年貯蓄に回せば、FIREに向けて歩み出すことができます。

本書では「貯蓄率」を基準に、リタイアまでどれくらいの年数がかかるのかをプロットしたグラフが掲載されています(p.170)。

このグラフによると、上記の年収400万円で100万円を貯蓄に回す例(貯蓄率25%)では、投資ポートフォリオのリターンが年間6〜7%であれば、30年前後でリタイアできる計算になります。

24歳から働き始めたと仮定すると、54歳でリタイアできる計算なので、通常の退職年齢である65歳よりも11年も早く仕事を辞められます。

貯蓄率を上げていけば、さらにリタイアを早めることも可能です。

たとえば

  • 年収500万円

  • 支出400万円

  • 貯蓄100万円(貯蓄率20%)

の人がリタイアまでにかかる年数は30〜35年です。

この人が転職して、年収800万円になったとしましょう。もし昇給に合わせて支出も増やしてしまうようだと、リタイアできるタイミングは変わりません。

しかしアップした収入の大半を貯蓄に回せば、リタイアできるタイミングを大幅に縮めることができます。

たとえば年収500万円の時と生活レベルを変えずに、昇給した300万円をすべて貯蓄に回したとしたら、

  • 年収800万円

  • 支出400万円

  • 貯蓄400万円

となり、貯蓄率は50%。リタイアまでにかかる年数は15〜18年まで縮まります。

昇給した際に「支出を増やして今の生活レベルを上げる」のと、「生活レベルを変えずに貯蓄率を上げ、早く仕事とおさらばして悠々自適な生活を手に入れる」の、どちらの生き方がいいかは人によって異なるでしょう。

もし後者がいいと考える人は、すぐにでも本書を読んでみることをおすすめします。

現在まったく貯蓄ができていない人でも、これから貯蓄を大幅に増やすことで過去の穴埋めができるのです。

たとえば純資産ゼロで初めても、明日から6〜7割を貯蓄にまわせば、およそ10年後にはリタイアできます。(6〜7割も貯蓄に回すなんて無理ゲーだと思われるかもしれませんが、本書では貯蓄を増やす戦略についても書かれています)

尚、貯蓄率と比較すると、投資リターンはそれほど大きな影響がありません。そのためリタイアの時期を早めたいのであれば、運用成績をよくすることよりも、貯蓄率を上げることを考えた方が効果的です。

今の収入を何%貯蓄すれば、何年後にリタイアできるのか、そして貯蓄率を上げるにはどうすればいいのか、知りたい方はぜひ確認してみてください。

「痛みを伴わない節約」で貯蓄する

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