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何かに呼びもどされて 4

何かに呼びもどされて 1
 何かに呼びもどされて 2
 何かに呼びもどされて 3
 からの続きです。)



 

永年置き去りにさていたであろう、「装苑」と「ドレスメーキング」。

装苑 ドレスメーキング Wikipediaより)

その救出作業をさせてほしいとお願いした先生は、そこに現れた「装苑」と「ドレスメーキング」を、興味深く見てくださった。

そして、大学の附属図書館への蔵書の手続きをとりましょう、と言ってくださった。

数日後、附属図書館のスタッフの方が実習室を訪れ、その1冊1冊に、蔵書と確認するためのスタンプを押し、とりあえずは研究室の棚へ時系列に並べられた。
その後、新しく建て替わった新品の附属図書館へと、全ての号を移動させてくださった。

・・・

約50年分の「装苑」と「ドレスメーキング」は、どれくらいの間、その棚の中に眠っていたのだろう。

歴代の研究室の先生の名前宛てで、以前大学近くにあった書店からの納品書が、一緒に挟まっていた。
この時取り出した中の一番新しい号は、1980年代初めだった。
その頃に研究室の先生が変わっていたようだ。その時ご退任される先生が、この場所に蔵書されていたのだろうか。

そして私が学生時代を過ごした1990年代、私がロックミシンを使ったあの時も、この棚の中に、静かに眠っていたのだろうか。

約50年分の「装苑」と「ドレスメーキング」を取り出した後、
空になった棚の中の埃をとり、雑巾で拭いた。

直後の取り壊しが決まっているけれど、その棚への慈しみの気持ちが抑えられず、最後に丁寧に掃除をした。

こうして、校舎の解体工事を前に無事に救出作業は完了し、さらに附属図書館へ行けば、それらに会えるようになった。

・・・

それから更に10年が経つ。

忙しい日常に追われ、心が乾き、ときめく心を忘れそうになると、

私はときめきを思い出しに、そのお宝たちに会いに行く。

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