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辛さで手が火傷する!? 唐辛子との戦いの末にできた、だるま顔の人気調味料

こんにちは!
美観堂』の久保です。

9月に入り、少しずつ涼しくなってきましたね...!
私は夏の間、毎朝5時に起きて愛犬の散歩をしていたのですが(地面が暑すぎて)、それもあと少し。

ゆっくり起きれるぞ〜と思うと、嬉しさが止まりません(笑)

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さて、今日は『美観堂』でお取り扱いをさせていただいているブランド。
ピリリと辛い調味料づくりを得意とされる『佐藤紅商店(さとうべにしょうてん』さんをご紹介します。

調味料づくりのきっかけには、『地域おこし協力隊』として赴任した、一人の男性の存在がありました。

1. 佐藤拓也さん、高梁市にあらわる

2012年。
『地域おこし協力隊』として、大阪から一人の男性が赴任してきました。
佐藤拓也(さとうたくや)さん、当時26歳。

京都府長岡市に生まれ、幼いときの夢は水族館の飼育員。
憧れを叶えるために高校・大学では水産業を学び、卒業後は観賞魚飼料メーカーに就職されました。

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しかし、学生時代は地方での生活を送ってきた佐藤さん。
社会人になってからの都会暮らしに、心と身体が窮屈さを感じはじめます。

「自分には都会暮らしより田舎暮らしの方が肌に合うのではないか」

そう思ったことがきっかけで、旅先で魅力的だった岡山県高梁市の『地域おこし協力隊』に応募

見事採用され、高梁市への赴任が決まったのでした。

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2.赴任したのは、ベンガラの町

佐藤さんが赴任した、岡山県高梁市。
その山間部に、「吹屋(ふきや)」と呼ばれる地域があります。

標高約500mの高原上にある吹屋。
かつては、酸化鉄から取れる天然の紅い顔料・『ベンガラ』の名産地でした。

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吹屋で作られた良質のベンガラは、東大の赤門や鳥居に。
また、九谷焼や伊万里焼、輪島塗りにも使用され、日本のイメージカラーである『ジャパンレッド』を創出していきます。

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しかし、安価で大量生産ができる工業用ベンガラの普及に伴い、吹屋での生産は徐々に衰退。
昭和の末期には最後のベンガラ工場が廃業し、町は衰退していきました。

そんな吹屋の歴史に触れて、「ベンガラに変わる、新しい紅をイメージした特産品をつくりたい」と思った佐藤さん。

その思いは、赴任から2年後のある出会いをきっかけに、更にエンジンがかかることとなります。

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3.地域の宴会で出会った赤柚子胡椒

2014年のある日。
『地域おこし協力隊』の佐藤さんは、地域の宴会に参加しました。

そこで出てきた、赤色の柚子胡椒
その時の衝撃を、佐藤さんはこう振り返ります。

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「華やかな柚子の香りと目の覚める様な唐辛子の刺激は今まで出会ったどの柚子胡椒とも違い、衝撃的な美味しさでした。この柚子胡椒で地域を盛り上げ、私たちが味わった感動を届けたいと思いました」

佐藤さんのエンジンが着火した瞬間でした。
そこから、地元の青年団を巻き込み、新しい特産品づくりが始まります...!

4.ヒリヒリ!唐辛子との戦い

宴会後。
すぐに、隣町の生産者さんにレシピを聞きに行った佐藤さん。

教えてもいいけれど大変だぞ」とダンディなおじさまがニヤリと放ったその意味は、すぐに分かったそう...!

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まずは、唐辛子の加工。
フレッシュさを出すために、乾燥させた唐辛子ではなく、生の赤唐辛子を使います。

一つひとつ手作業でヘタを取っていくと、辛味成分が爪の中に染み込みヒリヒリビリビリ...!
その火傷のような痛みは、手を洗っても、お風呂に入っても、翌日になっても、取れることはありません。

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特産品としてお土産にするならば、数千個の唐辛子の処理が必要。

青年団として、林業や農業でバリバリと働く男性たちの手を持ってしても10分と持たず!
佐藤さん含め、唐辛子を持っていたはずの手は、いつのまにかビールを掴んでいたそうな...。

その後、なんとかヘタを取り終えた唐辛子に少量の塩を加え、細かくするためにミキサーのスイッチをオン!

しかし次に待っていたのは、喉を刺すような痛みと止まらないくしゃみでした。

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スイッチを押した途端やってきたその刺激。

佐藤さんの脳裏には、”昔、社員旅行で行ったホノルルで 催涙スプレーをかけられた思い出” がよぎったといいます。
(いやはや、それもそれですごい思い出ですよね...!)

5.続く、柚子との長い戦い

赤柚子胡椒のもう一つの主役、「柚子」。
この作業にも、とてつもない労力がかかりました。

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なぜなら、使用するのは柚子の薄皮だけだから。

その薄さは、目に当てると向こう側が見えるくらい。
もっと量を取ろうと欲張ると苦くなってしまうのだそうです。

一つひとつ、手作業で剥いていく柚子の皮。
風味を守るため、白い部分は一切入らないよう、慎重丁寧に。
それゆえ、柚子1個から取れる皮は、わずか数グラム。

唐辛子同様、柚子との長い長い戦いが待っていたそうです...。

FotoJetのコピー

労力をかけて剥かれた柚子皮は、ペースト状に。
佐藤さん曰く、彼が一番好きなのはここからの作業、”唐辛子と柚子、2つのペーストを混ぜ合わせる瞬間” だといいます。

赤と黄色、これまで別々の世界を歩んできたものが一緒になって、少しの塩が加わり新しい味を生み出す。
「柚子胡椒の生産過程に、人生に似た部分を感じる」というから、素敵ですよね。

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こうしてできた赤柚子胡椒。

佐藤さんの苗字をとった『佐藤紅商店』のブランド商品として、販売が始まりました。

6.どうして「ダルマ」なのか

赤柚子胡椒の商品名は、『吹屋の紅だるま』。

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紅だるま』、不思議なネーミングですよね。
私も最初聞いたときは、「あれ、名前に柚子胡椒は入っていないんだ!」と意外に思ったのを覚えています。

この名前にいたった理由は2つ。
まずは、他の商品に埋もれないようにするため

数多くある柚子胡椒の中で生き残っていくため、元々インパクトのある名前にしたいと思っていた佐藤さん。
丸い瓶の形がダルマに似ているね」とのアドバイスが、大きなヒントになりました。

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そして、「ダルマ」がもつ縁起のよさも理由。
これからの吹屋を繁栄に導く存在になりますようにとの思いも、しっかりと込められています。

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7.これから佐藤さんが目指すところ

『地域おこし協力隊』として3年の任期が終わったあとは、『移住コンシェルジュ』として活動されている佐藤さん。

美味しい!から始まった赤柚子胡椒の取り組みも、片手のビールはなくなり、今では本気と根気をもって作り続けられています。

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そしてその味は地元にとどまらず、県内外を越えて愛されるように...!

今では、北は北海道・南は福岡県まで幅広く流通。
新たな吹屋の特産品として、たくさんの人にピリリと辛い感動を届けているんですよ。

今後の目標は、店舗兼加工場を立ち上げること
吹屋の空き家を活用した店舗づくりを想定されているそうで、わたしも今からとても楽しみ。

令和も進化しつづける吹屋の町と佐藤拓也さんから、目が離せません...!

『美観堂』で出会える吹屋の味

◆吹屋の紅だるま
蓋を開けた瞬間に、広がる柚子の香り...!
パスタや餃子、焼き鳥やお鍋など...ピリッと美味しい刺激をプラス。
私は、マヨネーズと混ぜてディップソースにするのにハマっています。

吹屋の紅てんぐ
佐藤さんが生み出した第2弾!
爽やかな柚子果汁と唐辛子を混ぜたペースト状の調味料は、いわば「和風タバスコ」。
辛党なわたしが最高に大好きな調味料で、『紅だるま』よりも強い刺激を味わえますよ...!

今日も最後までお読みいただきありがとうございました!
いつもハートを押してくださることが、とても励みになっています。

まだまだ残暑が厳しいですが、どうぞ体調にお気をつけてくださいね。
以上、久保でした!

















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