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Favero ASSIOMA Pro MXを自腹検証(後編)最終回

はからずも三部構成となってしまったPro MXのレビューだが、気をとりなおし、問題を整理して再度実走の検証を行った。

前編がこちら
中編がこちら

前回までに分かったこと


まず事実の整理

  1. 前回の実走でTSSで5-10%ほどの差分が出た。

  2. インドアでKICKRv5と比較してELSA RSは2-3%ほど高かった。

  3. ProMXはKICKRv5と比較して前回は0.4%, 今回は0.7%ほど高かった。

  4. ELSA RSのAUTO ZEROがOffになっていた。

3 に関しては無視してよいと考える。この程度のブレはあるものだし、前回はDA9000 のロード、今回はRIVAL AXSをシマノ12sチェーンでM8100 XTカセットを回している。ドライブトレインがまるで別物だし、チェーンの状態でこの程度はズレる。

問題は2である。とりあえず今回はELSA RSのスロープをいじって-2.5%補正することにした。他のバイクに付け直す手もあったがすでにELSAの差分まで確認できたしここからさらに不確定要素を増やすのはヤメ。ついでにAuto zeroもオンに。

あらためて実走


実走をしたグラフがこちら。一晩バイクを屋外に放置し、Zeroingを行ってからの走行。

2回目の実走

TSSがこちら。

Elsaを合わせこんでいるので、TSSが合うのは当たり前といえば当たり前なのだが、日をまたいだ完全に別のコースで合ったことには価値がある。つまりどちらのパワメも条件が異なってもコンスタントであるといえる。(または偶然同じ方向にズレたか。)上振れ、下振れ、はともかくCR2032世代のQuarqをこの点で疑う人は(年寄りには)いないと思うので、ProMXはコンスタントという点で少なくともQuarq並みには優秀である。

さらに細かく見ていく

ここからはズームして区間をみていく。

前半の停止がない部分

平均は0.05%差

後半の停止がない部分

平均は0.9%差

どちらもキレイに追従できている。このあたりの200-300Wが揃っていれば、Z3-Z5付近のパワートレーニングで失敗の原因にはならない。

ケイデンス

ぴったり重なる

当たり前だが、ぴったりあってる

中央のスパイクの部分

ProMXだけに記録された820W

これはProMXのエラーである。この区間は30センチ大の石がゴロゴロしていて、とても乗車できる区間ではなかったので歩いていた。もっと言うと、やや遭難の気配があった。(最悪歩いて来た道をもどればよかったが、家族旅行の朝食には間に合わなかったと思われる。幸い通過できて生還し、泥付きレーパンで朝食。)

こんな感じのとこ

おそらくペダルをどこかにヒットして800Wとかを記録したとおもわれるが、その時のケイデンス記録はゼロ。これは面白いポイントだ。

これはProMXが整数のケイデンスではなく、より細かい角速度を元にパワーを計算している証左かもしれない。メーカー公式にはInstantaneous Angular Velocity (IAV)と紹介されている。訳すと角速度の瞬時値といったところ。

どういうことかというと、クランクが1回転する間の回転速度の変化を細かく検出してパワーの累積計算をしているということである。実際は定速と見なしてもほとんど結果に差は出ないはずでそのようなパワメも多数あるが、実は楕円リングで差がでる。 IAVや同等の方法では楕円リングを用いた場合により正確なパワーが計算されると考えてよい。そのデメリットは今回のようにペダルをぶつけたりした場合にこのようなスパイクを記録しがち、ということである。
(自分は楕円リングに興味はないので、このようなスパイクをフィルタできる機能があるとありがたい。TSSやCTLにほぼ影響はないがパワーカーブが汚れる。)

まとめ


常用区間でELSA RSに対してきちんと、いやそれ以上に追従できているのがわかると思う。 自分にとってはロードAssioma, Power2Max等に並んで信頼できるPMである。 今回予想外にもELSA RSのズレを確認してしまった。手持ちには次の世代のDZEROやDFourAXSもあるので、Pro MXを用いて改めて精度の再確認をしていきたい。

おまけ

この機能もちゃんと確認しといた。


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