いつだったか
香川県のS出市にある
行列が出来るラーメン店が
テレビで放送された

ちょっと遠いけど食べてみたいなぁって
クルマで出かけた

確か11:00オープンだったので
30分ぐらい前に着くとすでに
駐車場は満タン御礼

店の前も数人すでに行列になって老若男女がお腹を空かせた子ゴリラ状態で待っている

いつもなら行列に並んでまでと思うタイプなのだが折角此処まで来たんだから食べて帰ろうと行列の最後尾に並んだ

ワシのひとり前に作業ズボンにベルトを限界までキュッと締めてびろびろTシャツのおじいさんが周りを見回しながらニコニコしながらうんうんうなずいてる

関係者かな？と思ってると
「にいちゃんテレビ見たんな？」
「え？」
「おとといのテレビよワシ映ったんで〜でも撮影は1ヶ月ぐらい前じゃったわハハハ」

知らんがな

しかし大人なワタシは

「すごいですね〜」
「ほじゃろ？家それじゃ」

ホントに目の前の家を指さして
ニコニコ笑顔がこの辺りの王様ばりに
うんうんうなずく

ワタシは心の中で
「自分とこのトイレ並みに近いのにわざわざ混んでる時間とこさらに混むように並ぶなよ」

「ジョーレンジャー」
「え？」
「ワシここの常連じゃ」

そうでしょう間違いなくそうでしょう
お店の電話がなったら5回以内にじいちゃんが電話取れるくらい家近いんやから

このままオジイの自己紹介を延々聞かされるのも辛いなぁと思ってると何故かそのオジイとワシのコンビが店の中に案内されて隣同士に座らされる

やはりオジイは店内を見回しながら満面の笑顔でブリュンブリュンうなずく
なんか腹立つ

そういえばテレビで人気だと言ってたメニューはなんだったっけと満面オジイに

「ここなにが美味しいですか」
「ここか？ここはアレじゃがアレ〜炒めもやしラーメンじゃが」
「あ〜ありがとうございます〜そうでしたね〜」

テレビでもこのオジイも
炒めもやしラーメン激推しだ

ちょうどお店のオネイサンが我々コンビに注文を聞きに来た

オジイは
「いつもの一丁！」

オネイサン
「いつものってなんですか」

オジイ小声で
「ｲﾀﾒﾓﾔｼﾗｰﾒﾝ」

覚えられてない勝手常連だ
悲しい
ジョーレンジャーちゃうんかい

そしてオジイが壁を見つめてる時に
ワシのターン

「えっとチャーシュー麺」

オジイの首がもげるかと思うくらいグリュンとこっちを向いて目ん玉飛び出すトムとジェリー状態でこちらを見てるのが横目でわかる

オジイはテレビに出てそれを見て並んだ初見らしき男に自分と家と店の名物を自慢したにもかかわらず店のオニャノコに覚えてもらえず挙句に伝授したメニューじゃないものを平然とオーダーされたのである

ワシは独り言がギリギリ聞こえる
ボリュームで

「急にチャーシュー食べたくなったなぁ」

オジイがまだコッチ見てるのがたまらなくワシの肩は意思に反して上下運動が止まらない

#おじいさんのラーメン
#おじいさんの時計
#名物