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山岳民族戦士ジャローボーの反逆

金正恩も核兵器を持てば米大統領もご機嫌を伺う。世の中「金と暴力」で回っている模様。では、暗黒街ではどうかというと、普段は山岳民族など人間扱いしないタイ警察も「金と麻薬と暴力」を持つとなれば頭を下げる。その実例がワ州連合軍171部隊副司令官通称南ワ軍トップのラフ族左派ジャローボー大佐。

ここ数年、タイ側からの麻薬取締情報で頻繁に名前が出てくるのが「南ワ軍のジャローボー大佐」。かなりの大物なのだが、英語文献にも名前が見つけられない謎の人物。南ワ軍(ワ・ターイ)という言葉は少なくとも2014年から使われているが麻薬マフィアとしてのラフ族グループとは区別されていた。南ワ軍とラフ族グループが同一に語られるようになるのは最近になるが、まず、南ワ軍とラフ族支配地域の関係を地図で示してみたい。

上の地図ではワ州連合軍とラフ族は一応区別されているが、ラフ族はタイ国境近くのプナコー村でヤーバーを生産しているとされている。

今年(2019年1月)イサーン系麻薬マフィアの「マントゥックメット」組員がタチレクに逃亡してから匿われていたのがラフ族支配地域のプナコー村というタイ報道あり。マントゥックメットとジャローボー大佐の関係については拙著「イサーンマフィアは麻薬で自由を目指す」を参考にされたい。

これまでの東南アジアにおける麻薬マフィア大物というとクンサー(張奇夫。2007年没)、ウェイ・シューカン(魏学剛。1952年~)など中国系が多い。

新しいところでも米財務省に資産凍結処分を受け、「多国籍犯罪組織のボス」と名指しされたゴールデントライアングル経済特別区のジャオ・ウェイ(趙偉。1952年~)。とやはり中国人。

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