須賀正俊

北海道札幌市出身。閲覧して下さった方が、仕事、プライベートなどでのストレス、プレッシャ…

須賀正俊

北海道札幌市出身。閲覧して下さった方が、仕事、プライベートなどでのストレス、プレッシャーを、ほんのひと時でも忘れることが出来るような記事を綴っていければと思います。

マガジン

  • 超短編コメディ小説集

  • エッセイ未満

  • スベっる心理学(後編)

    やることなすこと“スベる”男を心理学で救えるか?

  • スベっる心理学(中編)

    やることなすこと“スベる”男を心理学で救えるか?

  • スベっる心理学(前編)

    やることなすこと“スベる”男を心理学で救えるか?

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人間に化けたタヌキの見分け方

 よくタヌキは人間の姿に化ける、なんて聞きますが、これ、絶対に事実です。会話中のワードに、「シッポ」「こげ茶色」「タヌキ最高!」などと言っている人を見かけたら、疑ってみる必要が大有りです。  しかし、怪しいと思って問い正そうとしたところで、人間の姿となったタヌキもバレまいと必死ですので、絶対に白を切り通そうとして平行線のままです。そこで、いい方法があります。そうです、あの名童謡『げんこつ山のたぬきさん』を歌ってみれば、人間かタヌキかは一目瞭然、判別が出来てしまうのです。

    • ラーメン・フュージョンフェスティバル

       ラーメン屋の近くを通りかかると、たいして食欲が無い時なんかでも、まるで、三ヶ月前に自宅から脱走したウサギのチチロウを、買い物帰りに偶然に見つけた時のように、反射的に追いかけるようにして暖簾をくぐって店内へと入ってしまう……。なぜそのようになってしまうのか、それはニオイであると考察する。  店内で仕込んでいる塩ラーメンに醤油ラーメン、味噌ラーメンに豚骨ラーメン、チャーハンなどの、様々なメニューのニオイが混じり合ったモノが、厨房から店外へと流れ漂う。そして、そのミックスされた

      • スベっる心理学・最終話〜坂本クエストの向かう先〜(長編小説)

        後日、元気は詩織と会って話をする機会を得ることが出来た。 二人っきりでは心配ということで、洋平と麻衣が同行するという条件付きではあるが……。 四人は土曜日のお昼時に、予約しておいたレストランの個室で待ち合わせをし、全員そろったところで、雑談を交わしながら食事をしていた。 元気はこれまでのように、詩織を前にしても緊張することなく自然体であった。 服装も普段着のスウェットにカーゴパンツであり、話す素振りも会話の内容も、普段洋平と二人で話す時のようである。 そんな元気の振

        • スベっる心理学67〜坂本クエストの向かう先編〜(長編小説)

          池沼はその後、従業員の無礼を謝罪したいと本谷に申し出た。 何度も必死にお願いをし、なんとか謝罪の場を得ることが出来た。 元気は、池沼が『PZグループ』の本社に後日、謝罪に行くことを知ると、自分もその場に同行させてほしいと願い出た。 池沼は、短距離走の選手のスタート時の反応の如く、即座にそれを拒否した。 しかし、元気は引き下がることなく、しつこく懇願する。 池沼は、「駄目だ!」と激怒したように一喝したが、元気は臆することなくお願いし続けた。 池沼は、元気の熱意という

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        人間に化けたタヌキの見分け方

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        • 超短編コメディ小説集
          9本
        • エッセイ未満
          6本
        • スベっる心理学(後編)
          11本
        • スベっる心理学(中編)
          29本
        • スベっる心理学(前編)
          28本

        記事

          スベっる心理学66〜坂本クエストの向かう先編〜(長編小説)

          「まずは申し訳ないことをしてしまったという、心からの謝罪が大切だと思いますが。謝罪の言葉がいっさいなくお金で解決しようとするなんて、実に不愉快です。申し訳ありませんが、今日は帰らせていただきます」 本谷は、元気の顔を見ることはなく、池沼の目を見ながらそう言うと、失望したような素振りを見せて椅子から立ち上がった。 「本谷さん、申し訳ございません」 池沼も慌てたようにして立ち上がると、深く頭を下げて謝罪した。 「池沼さん、顔を上げて下さい。……私が取引先との関係で一番大切

          スベっる心理学66〜坂本クエストの向かう先編〜(長編小説)

          ひとり居酒屋・考察会議(たい焼き)

           小説やドラマなんかに時折出てくるシーンに、1個のたい焼きを半分に割って、2人で食べるというものがあります。紳士的な男性が、半分に割ったたい焼きの1つを彼女に手渡す時なんかは、決まって大きくてあんが多く詰まった胴体の方を差し出し、自分は小ぶりなシッポ側を食べる。  優しさとはこういうことであり、紳士たる者、こうあるべきである……いやいや、それは渡す相手のその時の状況により、どちらをあげるのが適切かは変わってくるだろうし、100パーセント相手を思いやっているのとは違うんじゃな

          ひとり居酒屋・考察会議(たい焼き)

          スベっる心理学65〜坂本クエストの向かう先編〜(長編小説)

          元気にとって、最悪の一日となってしまったあの日から三日が過ぎた。 元気は会社でいつものように業務に励んでいる、というよりは消化していた。 大好きな人に嫌われてしまったことによる心の傷は、たった三日ではどうこうなるものでもなく、彼は惰性でなんとか仕事をこなしていた。 そんな中、我が社の命運を握っていると言っても過言ではない、『PZグループ』本社の代表取締役である本谷(モトヤ)がご来訪していた。 五分ほど前から応接室では、我が社の創業社長である池沼武夫と、大事な取引の交渉

          スベっる心理学65〜坂本クエストの向かう先編〜(長編小説)

          スベっる心理学64〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く編〜(長編小説)

          詩織の姿が見えなくなると、元気は辺りを見回して、自動販売機の横に設置してある三人掛けのソファーを見つけた。 元気は、誰も座っていないソファーの右端に浅く前のめりに腰掛けると、両手を組んで下を向いてしまった。 そして目を瞑ると、一度、大きくため息をついた。 しばらくすると立ち上がり、不安定な足どりで外に出ると、タクシー乗り場に向かった。 元気は車に乗り込むと、運転手に行き先を告げた。 もちろん行き先は、自宅ではなく友の家である。 到着すると元気はドアの前に立ち、もう

          スベっる心理学64〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く編〜(長編小説)

          スベっる心理学63〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く〜(長編小説)

          「坂本さん、もっと思いやりのある心をもったほうがいいと思います」 詩織は、元気をにらむように見てそう言った。 元気は詩織のほうには顔を向けずに、正面を向いたまま黙っている。 (――よし、これでいいんだって。今おこなっているのは『ゲインロス効果』というテクニック。これは、一言でいうと“ギャップ”なんだって。人はプラスの感情とマイナスの感情の変化量が大きいほど、より強く影響を受ける。ただ単に良い人になるよりも、始めにマイナスの印象を与えておいて、後から良い人になったほうが、

          スベっる心理学63〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く〜(長編小説)

          スベっる心理学62〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く編〜(長編小説)

          次に係員は、フラフープを三本、イルカの演技するプールに投げ入れた。 三頭のイルカは、輪っかにクチバシを通すと一斉に回し始めた。 「すご〜い! 人間より器用に回しますね」 「桜井さんもよく道に迷ったりなんかして、同じ所をクルクルとまわったりなんかしてるんじゃないですか?」 「分かりますか。コンビニなんかでも一瞬、迷子になっちゃったりすることがあるかもしれません」 「桜井さんみたいなお嬢様だったら、特別な事情でもない限り、コンビニでは買い物をしないんじゃないですか? ト

          スベっる心理学62〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く編〜(長編小説)

          スベっる心理学61〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く〜(長編小説)

          薄暗い中を抜けて元気は時間を確認すると、次は「イルカショー」の行われる会場に向かった。 到着すると、二人は席に座ってショーが始まるのを待った。 「――桜井さん、ちょっといいですか?」 「はい、どうかしましたか?」 「席を替わっていただきたいんですが」 「いいですよ」 元気は詩織の承諾を得ると、座る位置を左右に入れ替わった。 日本車であれば、詩織が運転席で元気が助手席の位置である。 (――これは『人の顔は左右非対称であり、右側と左側で相手に与える印象が違う』とい

          スベっる心理学61〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く〜(長編小説)

          スベっる心理学60〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く編〜(長編小説)

          「――桜井さん、一つお願いがあります」 元気は、先ほどとは違うマンボウを見ている詩織の横顔を見て言った。 「どういったお願いですか?」 詩織はマンボウから元気に視線を移すと、先ほどの一件があってか、警戒をしているような表情と口調で尋ねた。 「今からボクが『第八話』って大きめの声で言いますので、そうしたら桜井さんは、ボクと同じぐらいの大きさの声で、『マンボウ一家、一人息子に千匹の母親が名乗り出た。この一人息子の魅力とは?』と、続いて言ってくれませんか?」 もちろん、こ

          スベっる心理学60〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く編〜(長編小説)

          スベっる心理学59〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く〜(長編小説)

          「おはようございます。坂本さんと会う時は、いつも天気がいいですね……坂本さん、トレードマークの黄色いジャージ姿は、とても素敵だと思います。でも、頭に巻いているのって?」 詩織は握手に応じると、必死で笑いを堪えるような素振りでそう尋ねた。 どうやら、元気が頭に巻いている物が気になって、遅刻のことなど忘れてしまっている様子である。 (詩織さんの興味津々な顔――『希少性の法則』は成功だって。そして続けざまの『メラビアンの法則』。人はなんだかんだ言っても外見は大事。オレにはこの

          スベっる心理学59〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く〜(長編小説)

          スベっる心理学58〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く編〜(長編小説)

          詩織との待ち合わせの時刻のちょうど五時間前、セットしておいたスマートフォンのアラーム音が鳴り、元気は目を覚ました。 元気は布団から出て灯りを点けると、用を足して座布団の上にあぐらをかいた。 (……静かだって) 元気は立ち上がると、探偵が気付かれないないよう、外の様子をうかがうように、カーテンの端っこを少しだめくった。 「……世界が眠ってるって」 元気はそうつぶやくと、笑みを浮かべながらカーテンを手から放した。 そして、布団に戻るとスマートフォンのアラームの時刻をセ

          スベっる心理学58〜“坂本テクニカル・心理学メソッド”、不死鳥の如く編〜(長編小説)

          ドラマスチック·カップ焼きそば

          タツヤはこの日、愛犬コリーに喜んでもらいたく、近所の人工物で覆い尽くされたいつもの散歩コースではなく、車でニ時間ほど移動した場所にある、とある森へとコリーを連れて来ました。 車を駐車し降りて外に出ると、タツヤはコリーに向かってこう言いました。 「コリー、これが本当の大自然だよ。いつもみすぼらしい散歩コースでごめんな。今日は主人であるオレが、コリーに最高の散歩を提供してみせるよ。さぁ、行くぞコリー!」 「ワンワン! ワンワン! (ご主人様、いつもの散歩コースでいいよ。嫌な

          ドラマスチック·カップ焼きそば

          スベっる心理学57〜河川敷は不思議スタンダード編〜(長編小説)

          翌日、会社の昼休憩時に元気と洋平は、テーブルを挟んで向かい合わせに座り、自分で用意した手作り弁当を食べていた。 「……吉沢の弁当、毎日から揚げが入ってるな。学生みたいだって」 「そういう坂本さんこそ、お米のボリュームのわりには、極端におかずの量が少ない気がします。なんか、おかずが壮大な海の上に、ポツリと一羽休憩しているアヒルのようです」 「それじゃあ、オレの壮大な海を少し持っていっていいから、そのエビチリと交換だって」 「イヤです」 二人は、互いに自分で用意してきた

          スベっる心理学57〜河川敷は不思議スタンダード編〜(長編小説)