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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

映画マッチング感想

初日舞台挨拶ライビュ付きを鑑賞。そして昨日小説を読了して即再鑑賞。パンフレットは入手できていないので製作陣の意図とは違っているところがあるかも


この映画は「自分に合った鑑賞方法」によって何倍も楽しさが変わってくる作品じゃないかと思う。もちろん他の映画もそうなんだけど、本作は特にそんな印象。

⚫︎ミステリ・サスペンスに親しんでいない方
ネタバレ厳禁、小説未読のまま素直に鑑賞するのがおすすめ。本作の脚本はフラグを立てたら早めに回収、後から回収するフラグは忘れないよう大きめに設置されているので、「どういうこと??」となることなくストレスなく観られます。
また、恐いシーンも音だけだったり、BGNでわかりやすく演出されたりと親切仕様です(比較的)

⚫︎海外ドラマのシリーズものに慣れている方
本作が続編前提で作られていることだけ念頭において鑑賞するのがおすすめ。本作では登場人物のバックボーンやミステリで言う5W1Hが全て明かされるわけではなく、人によってはストレスです。しかし、「マッチング」というシリーズのseason1(cliffhanger仕様)と思ってみれば自然に受け入れられるのではないかと思います。

⚫︎ミステリ・サスペンス大好きな方
小説必読で鑑賞するのがおすすめ。
ミステリ大好きな人にありがちですが、本作のような作品は最終ルートを複数想定しながら、シチュエーションによって想定ルートを追加していく鑑賞方法をすると正直驚きは少ないです。むしろストーリーで明かされないままの情報が気になってノイズと化すので、先に小説で情報を仕入れたうえで鑑賞するのがいいかと。
私はこれに該当するのですが、小説を読んでからの方がずっと楽しめました。映画では明かされない情報も小説では明記されているので、それを踏まえて映画と小説の違いを味わうのもいいですし、文字で明記された情報がさりげなく画面に映っているのに気づいたときはテンションがあがります。

全体としては、脚本にいくつもの穴(大半はおそらく続編のために意図的に開けられたもの)があるものの、内田監督ならではの映像と神がかったキャスティング、俳優陣の演技力という力技によって単品でも十分に楽しめる作品でした。

以下ゴリゴリのネタバレで主要キャストの感想







⚫︎りんか(土屋太鳳)
マッチングアプリの恐怖というよりネットリテラシーの大切さを教えてくれる主人公。ハンドルネームを使っているのに本名が写り込む角度で自撮りin自宅。個人情報ダダ漏れです。
土屋太鳳さんの奥手というより今の環境を変えることに抵抗のある独身アラサーの演技がリアルで、同世代として冒頭のあらゆるシーンで共感した。ビジュアルを除けば私や友人の仕事や生活もまさにこれ。ビジュアルを除けば。
そして、何度も出てくる絶叫シーンのリアルさが凄かった。人が叫ぶときの種類はいくつもあるが、恐怖によるストレスで固まった身体をリラックスさせるために本能的に叫んでしまうシーンと悲しみで泣き叫ぶシーンだけでも全く違う。仕事柄悲しみで泣き叫ぶ人を見ることがあるがすごくリアルな演技だった。

⚫︎吐夢(佐久間大介)
あまりにも神がかったキャスティングその1。斉藤由貴と血が繋がっています、と言われて納得できるビジュアルと実力派俳優陣に見劣りしない演技力。下手をすると作品をシュールギャグで終わらせてしまいかねない気持ち悪いストーカーを、芝居力とどこか人間離れした色気によってストーリーに説得力を持たせた。ジャニーズはたまにいい役者を生み出すから油断ならない。
ちなみにこの映画を観て1番怖かったのは、舞台挨拶で印象に残ったシーンにりんかとお父さんのやりとりをあげて、杉本哲太さんを「お父さん」って何度か呼んでいた彼を鑑賞後の夜道で思い出したときです。

⚫︎影山(金子ノブアキ)
期待通りの豹変っぷり。観たかった金子ノブアキが詰まっていた。どこか飄々とした大人の色気と落ち着きから安心感を感じていたのが、いつのまにか不穏な空気を漂わせている切り替えの演技がさすがでした。
1回目に観た時は影山がりんかを見つけたことに偶然が過ぎるのでは?と思ったけど、小説を読んでからだと探すために大量の個人情報を自由にできる職に就く→りんかが登録→りんかの職場にコラボ持ちかけ、の順かなと思った。見つけられたのは偶然だけじゃなくて本人の執念もあったんだろうな。
そして神がかったキャスティングその2、子供時代の影山役の子。顔がネタバレレベルの子をよく探してきたね!?そのうえでこの子の演技力も確かだった。すごい。

⚫︎りんかの父(杉本哲太、藤本タケ)
諸悪の根源。キャリエール(ファントム)。未就学児の子育てに忙しい時期に出会い系チャットをするな。だけど娘を理解する良き父親でもあるから憎めないし、哀しい。
一本の電話をきっかけにじわじわと追い詰められていく姿がこの作品のじっとりとした恐怖を表していた。
そして神がかったキャスティングその3。藤本タケさんは実際の若い頃の杉本哲太さんに似てるわけじゃないのに、同一人物といって違和感のない容姿。動揺した時の瞳の揺らぎや振り向く瞬間などの細かな仕草を似せていく演出で、現在と過去を丁寧に繋いでいた。

⚫︎節子(斉藤由貴、寉岡瑞希)
斉藤由貴さんの節子は短いシーンにも関わらず、圧倒的な存在感。物語の全てを統べるような人だった。
寉岡瑞希さんは終わった瞬間に速攻でお名前を調べた。お二人の妖艶さが幸せな家庭で満たされているはずの男性を好奇心から不倫に走らせたことへの説得力をもたせていた。
節子の容姿や拗らせや1人の人への尋常ではない執着、新しい愛(執着先)を見つけたらこれまでのものをあっさり捨てる残酷さなどを遺伝した吐夢に、四半世紀の時を経て父親と同じ傷を負わせた節子。図らずして親子を完成させて完結させてしまったように思えた。

⚫︎西山茜(真飛聖)
映画と小説で1番差がある人物。映画ではりんか視点で描かれているため、警察側の事情が一切出てこない。それゆえに「仕事してない」という印象になってしまう。とても良いキャラなので、警察視点での続編を是非観てみたい。
個人的にメランコリック・ジゴロや哀しみのコルドバの真飛聖さんの低い相槌が大好きなので、相棒とやりとりする西山刑事を見るたびにときめいていました。

このほかにもいろいろあるけど、総じて俳優陣もキャラクターも素敵でした。早く続編がみたいです!!


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