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小説の雑感まとめ『幕末まらそん侍』『チャップリン暗殺指令』『ぬしさまへ』『それからはスープのことばかり考えて暮らした』

みんな猫が好きなんです 恥ずかしがらないで


・土橋 章宏『幕末まらそん侍』

『痛快』そのものだった。貧乏の足軽が邪魔立てされつつ走る場面なんか、まさに土橋節。かと思いきやミステリー要素もうっすらと。良い塩加減なんだこれが。あと何よりオチが良い。もうあのオチは言っても良いんじゃないか?血迷わされる土橋節。


・土橋 章宏『チャップリン暗殺指令』

土橋作品ふたつめ。時代が変われど、読み味の軽快さは変わらず。「でもどうせ、チャップリン日本で死なんしなぁ」という有りがちな印象を抱いてしまっていたが、そんなジレンマなんのその。私の歴史には、この作品の登場人物の心情までがしっかり刻み込まれた。
あと表紙がカッコいい。ベッドに置いといたら映画のシーンかと思った。


・畠中 恵『ぬしさまへ』

若だんなが可愛かった。
仁吉の人間らしいロマンスは不思議なムズムズさがあった。千年生きてる妖のギャップ、千年分だからなぁ。中々かつてない。


・吉田 篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』

吉田作品に心酔しつつある。読み心地が堪らなくふんわりしていて、まるで雲の上を歩くような白昼夢感がある。好きであることは間違いないのだが、読者に伝えようとしている意味があるとすれば私は1%も理解できていないと思う。それでもいいやと思わせてくれる、良さ。


─おわり─

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