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路線バス運転手視点で読む・樺沢紫苑著『集中力がすべてを解決する 精神科医が教える「ゾーン」に入る方法』

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27年間続けてきた「路線バス運転手」集中力の途切れは、大きな事故に直結します。幸い私は27年間無事故無違反を継続できましたが、ヒヤリハットの状況も多く経験しています。

どんな時にヒヤリハットが多かったのか、樺沢紫苑先生の新刊『集中力がすべてを解決する 精神科医が教える「ゾーン」に入る方法』を集中力を必要とする「路線バス運転手」視点で読んでみました。

「路線バスの運転手」視点で読んだ結論は、当書の内容を実践し集中力を高めることで、人生の安全運転も継続できるでした。

折り返し発車時間まで、まだ時間があります。ミラー越しに見える運転手は、ボーっとしている。運転士不足だから寝不足なのかな~大丈夫か!やる気のない運転手だ!みなさんはどのように感じるのでしょうか。

会社にもよりますが、私の会社では乗務中のスマホ携行や、折り返し時間に雑誌等を読むことが、禁止されていました。仮に持ち込めたとしても、使用したり読んでいたりすれば即苦情の電話が営業所に入ることでしょう。

ページをめくっていくと、❝ボーっとしている時間は、注意力・集中力・思考力低下を防ぐために絶対必要なのです❞と書かれています。ただし、ちょっとした問題意識を持っていなくてはいけないそうです。

「ボーっとしている」しかない状況ですが、この時間で、これから走る路線の状況に対する問題意識を持ち、天候やイベント情報などの過去の経験や知識を基に、これからの走行状況を脳内整理していたようです。

遅延が増大し、折り返し時間がない場合、「ボーっとしている」時間が失われ、結果として「注意力、集中力、思考力」が低下し、ヒヤリハットの状況が多発していたので、これは間違いなく「ボーっとする時間」が有効な手段であることを示しています。

もし昼下がり運転手が「ボーっとしていても」安全運転のためと思ってくださいね(笑)眠いだけの時も正直ありますが、そうした時は問題意識が欠如しているため、実際に走り始めるとヒヤリハットの状況を誘発することが多かったです。

私は休憩室でほとんど見かけられない運転手として有名でした。コミュニケーション力の低さも一因ですが、それ以上に別の大きな理由がありました。路線バスの運転手は、一人ひとり休憩時間が異なります。

どこで聞きつけるのかは分かりませんが、なぜか自分がミスをしたことは、みんなよく知っています。戻ってくる運転手がいるたびに、「おー大変だったな!どうしたんだ!」1日何人に忘れたいことを説明したことか。

ページをめくっていくと❝3日連続で同じ話をすると、記憶が強化されるので、忘れられないのは当然でしょう❞と書かれています。

シフトの都合で3日間会わない運転手などザラにいます。ほとぼりが冷めるまで、毎日同じことを聞かれ話すので「アウトプット力」は強化されますが「失敗体験」だけが強化されていきます。不思議なことに無事故表彰など、「成功体験」を聞いてくる運転手は、ほとんどいないからです。

コミュニケーション下手で、休憩室に顔を出さなかったことが、安全運転に寄与したようです。

バス運転手は「怒りの感情」が多くでる仕事です。「駆け込み乗車さえなければ信号行けて遅れなかったのに!」「急に割り込んできて急ブレーキになってお客さんに怒られた!」自分のせいじゃないのに!

一方で、バス停で待っている人を見逃して通過、苦情の電話が、始末書を書きながら「なぜ気づかなかったのだろう」と怒りの矛先は自分に向きます。

ページをめくると ❝人間は怒りの感情を持つと、アドレナリンが分泌されます。アドレナリンは、強力な記憶増強物質です。つまり「怒り」を伴う体験は強烈に記憶に残ってしまう特性があるのです❞ と書かれています。

笑い話にしてしまうのが最も上手な感情の整理法だとも書かれています。こんなことは日常茶飯事ですが、私は怒りに関する出来事もニコニコ笑いながら話すことが多かったです。

自分の感情を他人に知られるのを恐れる性格から、ニコニコ話していたことも安全運転に繋がったようです。

バス停に到着しドアを開けると立て続けに「○○行きますか!」「1日券ください!」「なんで遅れているんだ!理由をおしえろ!」これだけで3つしかないと言われる「ワーキングメモリ」は瞬く間にいっぱいになります。

追い打ちを掛けるように、カードチャージや、車椅子乗降など「ワンマン路線バス運転手」には、無数の作業が襲いかかります。

遅れていると、どうしても見切り発車したい気持ちになるのですが、グット堪えて一人ひとりに対応し「ワーキングメモリ」を開放していきます。

ページをめくると「ワーキングメモリ」を鍛えるには、将棋が有効と書かれています。1手先、あるいは2手先を読むことが必要だからだそうです。

車内のおばあちゃん立ち上がりそうだな、歩行者こっちに渡るかも、あの自転車飛びだしてくるかも?

毎日が将棋のような先を読む世界で「ワーキングメモリ」のトレーニング効果があり様々な要望に対応できたのかもしれませんね(笑)

逆に発車時は、「ワーキングメモリ」「ルーティーン」で占拠していきます。バス停から発車する時は事故が発生する確率が大きいのです。特に遅れて追い込まれているときは、折り返し時刻を心配し、事故の確率は飛躍的にあがります。

ページをめくると❝「ルーティーンを行う」と「心配事を考える」という2つの作業を同時に行うことは出来ないのです❞と書かれています。

追い込まれているときほど、「ドアを閉める、車内ミラーで着席確認、5つの車外ミラーを確認、マイクで一言かけて、アクセルを踏む」この「ルーティーン」を忠実に実行することで、一つひとつの動作が確実になり余計な雑念が減り集中力が高まったようです。

路線バス運転手としての基本動作なのですが、この「ルーティーン」ができない運転手ほど事故が多かったと私は感じています。

毎日様々な刺激や変化がある「路線バス運転手」、私は間もなく引退しますが、これからも『集中力がすべてを解決する 精神科医が教える「ゾーン」に入る方法』に書かれていることを、実践していくことで、人生の安全運転は継続していけると、確信をもって言えます。

最後に、運転に集中し「ゾーン」に入ることができ、苦情やヒヤリハットがなく、車内の雰囲気が良くなるのは、何よりも前日にしっかりと「睡眠」をとれたときでした。


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