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セリエA 第29節 ユベントス vs ジェノア 〜選手起用に疑問符

ジェノアとのホームゲームも0-0の引き分け。ここ数試合失点していたため、無失点だったことは悪くないのですが、得点が遠く勝ち点1を獲得するにとどまりました。その原因について思うところを書いておきます。

キエーザとコスティッチ

試合を見ていてまず疑問に思ったのはキエーザの起用です。ナポリ戦、アタランタ戦ではハイプレスを積極的に仕掛けてカウンターを狙うプランだったため、キエーザのスピードが生かされていました。相手の守備陣形が整う前にキエーザが突撃してシュートに持ち込む、クロスを送り込むシーンが多くありました。しかし、ジェノアはユベントスにボールを持たせ、引いて守ってきました。ユベントスはボールを保持して押し込む時間が増加し、堅い守りを崩すことに。敢えて右サイドでボールを動かしてジェノアの守備を右サイドに寄せた上でキエーザにボールを渡して仕掛けさせますが不発。シュートは枠外に飛んでいき、スピードで抜くにもスペースがなく手詰まりになってパスを下げるばかり。ミレッティがハーフスペースで受ける場面もありましたが、ミレッティは右利き。右足に持ち替えている間にジェノアの守備が立ちはだかりチャンスにつながりません。コスティッチが駆け上がってくれればそのまま左足でクロスに繋がるのですが、コスティッチは元々左アウトサイドを起点に高精度のクロスやシュートでチャンスメイクするタイプの選手です。その左アウトサイドにキエーザが鎮座しているため、コスティッチの攻め上がりが制限されていました。ボールを持たされたユベントスは、コスティッチの攻撃への関与がほとんどなくなってしまい、実質的、自主的に1人少ない状態で試合を進めているようなものでした。

カンビアーゾの位置

ボール保持がメインになるのならば、ウディネーゼ戦で試した通り、キエーザのプレーに合わせてうまく動けるカンビアーゾを左WBに置くのがベストでしょう。キエーザの仕掛けに合わせてポケットへと侵入してそのまま左足でクロスやシュートに持っていけます。しかし、アッレグリはカンビアーゾを右WBに置くことにこだわっています。カンビアーゾはポジションにとらわれずに自由に動き回るため、右WBでスタートしても、左サイドまで顔を出すことはあります。しかし、守備時には右WBの位置に戻らなければならないため、距離がある左サイドまで顔を出す頻度は減少します。必然的に、カンビアーゾのプレーも右サイド寄りになるわけですが、カンビアーゾは左利きですから相手ゴールに向かってボールを置くと、どうしても右足の前になります。精度の低い右足でシュートやクロスを狙ってもそうそう上手くはいきません。ナポリ戦の決定機逸が物語っています。結局、カンビアーゾはカットインから左足に持ち替えてクロスやシュートを狙うことになるわけですが、キエーザが左サイドへと移動しているためクロスのターゲットはブラホビッチ1人。これでは得点につながる可能性は低いでしょう。


アルカラスとラビオの負傷で中盤の選択肢が少なく、ウェアにも信用が置けないならばカンビアーゾを右WBに置くしかないのかもしれません。それなら、左サイドに張り出してくるキエーザではなく中央でプレーできるユルディズをもっと早くから投入しても良かったでしょう。中盤でボールを受けて何度もドリブルでジェノアの選手を剥がしてチャンスメイクしていました。アッレグリの選手起用に疑問を感じた試合でした。ユルディズを使っていても、カンビアーゾを左に置いていても結果は変わらなかったかもしれません。ただ、せめてゴール前の密度を確保するための手は打って欲しかったところです。

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