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セリエA 第22節 ユベントス vs エンポリ 〜正しい姿勢でいる限り…

エンポリとのホームゲームは前半18分にミリクが退場する苦しい展開に。それでもセットプレーから先制して逃げ切りも見えてきたところでミドルシュートから失点。勝ち点3を狙って攻め込みましたが、1-1でドローという結果になりました。暫定首位ではありますが、インテルは2試合消化が少ないため、実質は勝ち点差4でインテルを追う状況と見ていいでしょう。スクデットを狙うなら、次節のイタリアダービーではドロー以上はMUSTになったと言えます。

ミリクの退場

ミリクの退場については、正当なジャッジだと思います。ブレーメルからの縦パスをトラップミスしたミリクが慌ててボールにチャレンジした結果、エンポリの選手のスネを足裏で削る形になってしまいました。1発レッドで文句はないでしょう。

サッスオロ戦のブレーメルに対するタックル、ジェノア戦のユルディズへのスライディングはいずれも足裏で足を蹴る形になっていたにも関わらずカードすら出ませんでした。ユベンティーノの中にはジャッジに対して不公平感を募らせている方もいるかもしれません。その気持ちは十分わかりますし、セリエAのジャッジの不安定さは改善すべきだろうと思います。ただ、この試合に関してはミリクの退場は妥当な判断だと思いますし、約75分間を10人で戦った試合内容や、その上でドローという結果で終えたことについて語るべきでしょう。

10人で戦う

ミリクの退場後、ユベントスは5-3-1で守備ブロックを組んで構えて守りつつカウンターとセットプレーから得点を狙う展開へシフト。前線の守備があまり機能しなくても5-3の守備ブロックだけでスペースを消して守るのはお手のもののユベントス。危険な中央のスペースを最優先にケアしつつ、サイドからのクロスや遠目からのミドルシュートは屈強なCBとシュチェスニーが対応するという割り切った守備で無失点のまま時計を進めていきます。そして、セットプレーからブラホビッチがまたまた得点を記録して1-0でリード。1人少ないとは言え、守り切って1-0の勝利も見えてきた中、ミドルシュートから失点。シュートを撃った選手に当たりに行ったロカテッリのアクションからもわかる通り、ミドルシュートは撃たせているのです。コースは良かったですが、スピードはそこまでではなく、シュチェスニーなら止めてくれると思ったのではないでしょうか。ただ、シュチェスニーは動けなかったため、シュートを撃ったタイミングが合わなかったか、ブラインドで見えなかったか…。ただ、狙い通りに守っていたとしても、ディフレクションがキーパーの逆をついてゴールに吸い込まれることもあります。不運な失点もゲームの一部。受け入れてやるべきことができていたかが焦点となります。

正しい姿勢

ユベントスが見せたアクションは素晴らしいものでした。チームとして得点を狙い、誰1人として独善的なプレーを見せませんでした。コンビネーションでボールを運ぶ、ユルディズの独力の突破など様々な方法でゴールを目指してプレーしました。当然、10人で攻め込んだ分、カウンターを受けるリスクも上がります。しかし、ディフェンス陣も奮闘してギリギリのところでカバーしました。若いウェアも逆サイドから戻ってペナルティエリア内のピンチを防ぎました。チームのメンバー一人ひとりが今やるべきことにフォーカスし、最後の最後までチームとしてプレーできているように見えました。不利な状況に置かれても最後まで諦めずに、かといって無謀な博打のようなプレーに出ることはなく、淡々と自分たちができるプレーの中に活路を見出す。この姿勢は、昨季にはなかなか見られなかったものです。試合を読むことができていたと言い換えてもいいかもしれません。アッレグリが求める姿勢をチームが身につけていると言えるでしょう。

この試合で得られた結果は望んだものではありませんでしたが、見られたプレーやその姿勢は頼もしさを感じさせるものでした。復活の狼煙は上がったと感じています。2年半をかけて、アッレグリ・ユベントスは、チームのために自己犠牲を払える集団へと成長し、本当の意味でFino alla Fineの精神を体現できるチームになってきたと思います。むしろ、今季のユベントスの真価が見られるのはこれからかもしれません。少なくとも、ここ2シーズンよりは期待できるチームになってきていると思います。

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