2023年も早いものでもう終わろうとしている。
今年を振り返ると自分を大切にしようと奔走した年だったのかもしれない。

今年何となく設定したテーマに「ご自愛」があった。
本来ご自愛くださいと言えば健康にお気をつけてくらいのものだけど、今回はどちらかというとご自分を大切にしてくださいね、という意味で使っていく。

いつかの記事で「自分の欲望に耳を傾ける作業は疲れるものだ」と書いたけど、どうもそうやって傾けるのを放棄している方が良くないそうだ。
セルフネグレクトに繋がるたらなんたら。
それはよくないような気がするな…と思ったので今自分がかかえている欲望だけでも叶えてみることにした。

具体的には不便を解消する。
不便を思考の創意工夫で乗り切らない。
これは私の悪い癖なんだけど、今ここにあるもの・ことをどれだけ良くても悪くてもそのまま受け入れてしまう。どれだけ悪いものだったとしてもそれは「そういうものだから仕方ない」という風に。
それをやると永遠にちまちまと不便を被ることになるということに気がついた。
このちまちまとした不幸は塵も積もれば大きな不幸だ。

なので少しずつお金を使ってその不便を解消していった。
よく頭をぶつけてしまう棚には乳児用のふわふわパッドを貼った。
いっつも浴槽の淵に置かれてしまうシャンプーボトルは掃除の時ヌルヌルして大変だったので、シャンプーラックを新たに買った。
ついでに、いつもどこに置いたらいいかわからない洗顔ネット用のフックも買った。
よくゴミを取るのが億劫だった洗面台の排水溝にはダイソーの使い捨てスポンジを入れた。
どれだけ刃を変えても馴染まない剃り刄を変えるのではなく剃り刄用のローションを買った。
人の話し声や周囲の部屋の騒音に耐えられるように、ノイズキャンセリング機能のついた高いヘッドホンを買った。

こうして書き出してみるとだいぶ色々やったなと思う。でもやってみてわかったんだけど、この不便が一つ一つ解消されていくと確かに嬉しいのだ。
便利になったことではなく、ひとつ煩わしさが消えた喜び。私は今までそのままを受け入れながらも煩わしさにずっと悩まされていたらしい、ということに気がついた。そりゃあいままで口角の下がった毎日を過ごしていただろう。地味に不快な状態がずーっと続いていたんだから。

まだまだいろいろ「欲望」は尽きないだろうけど、一年欲望に耳を傾けてみるのは自分を知ることができて楽しかったと思う。
来年はどんな一年になるんだろう。