ワクチン接種後の三角筋の痛みに対する日常動作を、リハビリ(作業療法)の観点から解説します。

先日、ファイザーのワクチン”コミナティ”を筋肉注射しました。予想以上に、注射後の腕の痛みが出て辛かったです。そこで、今回は病院のリハビリスタッフ(作業療法士)として、多くの人が困るだろう動作に関して解説します。

私たちのクリニックでは１０名のスタッフがワクチンを接種しました。
そのうち、９人が注射したところに痛みが翌日には出ていました。

ガイドラインの通り、三角筋の中部繊維への筋肉注射を行った場合、痛みが出て困る動きは、、、ざっくり以下が考えられます。
A）腕を真横から上げる動き、
B）腕を伸ばす動き、
C）腕を伸ばした状態で、押したり引いたり支えたりする動き、
D）肘を真横に広げる動き、
E）注射した部位に触れる動き・・・などが難しくなる想定されます。

1つ1つ簡単にみてみますと、例えば痛みが出て困るのは、、、

A）腕を真横から上げる動き → 着替え、リュックを背負うときなど
B）腕を伸ばす動き→車の運転の右折の時にハンドルを回すときなど
C）腕を伸ばした状態で、押したり引いたり支えたりする動き→洗濯物、料理、布団の上げ下ろしの家事動作など

D）肘を真横に広げる動き→書類をさばく、電話に出る動作ときなど
E）注射した部位に触れる動き→ その部位を下にして横向きで眠るときなど

こうしてみると、生活のかなりの範囲に渡って影響がありますね。

注射という局所的な炎症に対して、治療のためのストレッチや運動はあまり推奨されていません。

２，３日その場所を動かさない程度に安静にするのがベスト！ですので、あまり動かさないように動くことが必要です。
（腕を上げて作業をしたり、重いものを持つお仕事の方は、翌日の仕事はお休みされるが良いかと考えます。痛みがかなり増悪し治りにくくなる恐れがあります。）

この動作の中で、特に大きな痛みがでやすいのは、着替えの時です。
私も間違えて行い、声が出るほど痛かったです。動画付きで解説しますね。

腕の痛みを回避しながらうまく着る方法は、

０、注射を打ってない方の腕が、机など体を支えられるものの横にくるように移動し動く場所を確保します。

1，なるべく腕を横から上げないように、前から少し上げて、注射した方の腕から、袖を通します。

2，その後、注射を打っていない方の腕をいつも通り通します。以上です。

ポイントは、痛いほうが先！

脱ぐときはその逆になります。

リュックを背負うときも、痛いほうを先に通します。リュックを下ろすときは、その逆になります。

いっしょにワクチン後の筋肉の痛みをうまく乗り切りましょう！

50肩などで、肩が痛くて動かしにくい方にも有効です。

以下、注射後、痛くない肩の動きの角度です。ご参考までに。

↑腕を真横から上げる動き。この角度までしか動かせません。

　　　　　　　　　　　(ワクチン接種後,18時間後)

↓腕を前から上げる動き。後ろに引く動きは、

　　　　　　　　　　この角度でも痛くなかったです。

参考になった方は、身近な人とシェアしてくださると嬉しいです。

國本 文平 Bunpei KUNIMOTO　からだあそび大学ビソアダラカ ディレクター作業療法士 ダンサー

15 歳の時、交通事故に合いリハビリのためにバレエを始める。文化庁新進芸術家海外研修生2016-2018、ポーラ美術振興財団在外研修員2018-2019 として渡仏し創作や医学の研究をパリ大学医学部などで深める。2004年よりフィットネスインストラクターとして仕事を始め、これまで、広島市や横浜市、日本バレエ協会、DENSOなどでも講師をする。広島大学医学部で作業療法の免許を取得し、作業療法士として、またダンサーとして医学と芸術を舞台やワークショップにおいて融合させ、より良い心身の在り方を探求している。周産期医学より生まれたフランスの骨盤底筋群の運動療法ガスケアプローチ“骨盤底筋群”、“破壊行為を伴わない腹筋運動”、“呼吸”の3つの指導者資格をInstitut de Gasquet,Parisにて取得。ガスケアプローチは、フランス・オリンピック選手の基本トレーニングに取り入れられている。現在、原田リハビリ整形外科勤務。広島大学大学院医系科学研究科博士課程前期。

からだあそび大学ビソアダラカ  http://bit.ly/bisolife
[PV] https://youtu.be/AUStmV-HBkg
[note] https://note.com/biso_life