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2019-20シーズン ブンデスリーガ第29節 シャルケvsブレーメン マッチレビュー~迷子への道標は~

 ブンデスリーガのマッチレビュー4回目。今回もヘルタの試合を書こうと思っただが、4回中3回ヘルタはやり過ぎだと感じた。しかも、次は2位ドルトムントとの試合なのでそれは書くことが決定。となると、5回中4回がヘルタの試合になってしまう。完全に「ヘルタ大好きオジサン」となってしまった筆者だが、今回は別の試合について書いてくこのした。

 というわけで4回目の題材として取り扱ったのは、中断期間明けから調子の出ないシャルケと、残留に向けてコツコツと勝ち点を積み重ねているブレーメンの試合について書いていく。

 以前、DAZNでブンデスリーガが見られた時、筆者はシャルケを中心に見ていた。当時の監督はドメニコ・テデスコで、比較的に守備に重きを置いた戦い方をしていた記憶がある。そのため、筆者が持つシャルケのイメージはそこで止まっている。今回メンバーを見たとき「コノプリャンカとディ・サントは何処に行った!?」となってしまったが、彼らはとっくに別のチームでプレーをしているようだ。残念。

 一方のブレーメンはほぼ初見。中断明け最初のレバークーゼンとの試合を見たが、その時は1-4で大敗を喫していた。残留に向けてもう負けが許されない中、望みを繋ぐことは出来たのだろうか。

 それでは行こう!

両チームのスタメン

 中断明け3試合全敗中のシャルケは怪我人の多さに悩まされている。ハーリット、セルダル、マスカレルを欠いており、今節はこのようなメンバーとなった。GKニューベルは中断明け初の先発出場だ。

 対するブレーメンのフォーメーションはかなり歪だった。攻守に渡って可変システムを採用しているため読みづらかったが、恐らくフォクトをリベロに置いた3-3-2-2の形を採用していたと思う。この可変システムについては、この後の解説で言及していく。

ひたすら握るとひたすら守る

 前半開始からアウェイのブレーメンがひたすらボール保持する展開となった。それに対しシャルケは、前からアグレッシブに奪いに行くのでは無く5-4-1のブロックを自陣に敷いてひたすら守っていた。

 ブレーメンのビルドアップは、両HVのラングカンプとモイサンデルの2枚が後方に残りサイドに散らしたり縦に入れるシーンが多く見られ、フォクトが1トップの脇に顔を出してボールを受けようとしていた。

 ここから読み取るに、ブレーメンの狙いは5バックのギャップを突きたい意図があったように思える。何度も選手が動き直して、シャルケの5バックを歪ませようとしていた。その中で特に意識していたのは、サイドからの形だ。そのため、高く保ったWBを経由して、相手のWBを引き出し、空いたスペースにIHの選手が走り込みたい思惑が考えられる。

 しかし、実際のところはそんなに上手く行かない

 ブレーメンのシャルケにはIHが出て来て、WBは出てこない。「まぁそうだろうな」というような守り方をシャルケはしており、ブレーメンは穴を作るため探り探りの展開となってしまった。これなら、フォクト+2HVの3枚で回して、シャルケのCFと2シャドーを釣り出せば良いのでは?と思っていたが、フォクトはCF脇でひたすら受けようとしていたので、「あーそうなんですねぇー」と思いながら試合を見つめていた。

 対するシャルケは、奪ってからグレコリッチュをターゲットにするカウンター型を採用。だが、ブレーメンが前線に人数を割いていることも有り、奪った後奪い返されるシーンが多かった。というか、前半はほぼほぼこの展開。ブレーメンが押し込む→シャルケが奪う→ネガトラからブレーメンが奪い返す→ブレーメンのショートカウンター。といった具合で前半が進んだ。

 すると、前半32分。トティボがセンターライン付近でボールを失い、ブレーメンのショートカウンターが発動。最後は、ビッテンコートが左足で決めてブレーメンが先制に成功する。

 ホームで1点ビハインドとなったシャルケが、前半に放ったシュートはわずかに1本。後半どう巻き返すかが注目された。

180°変えた戦い方を変えるも

 後半に入り両チームともメンバー交代を行なった。ブレーメンは負傷したビッテンコートに代わり、大迫を投入。対するシャルケは、トティボとマトンドを下げて、オツィプカとラマンを起用した。

 これによりシャルケはフォーメーションを4-1-3-2に変更。後ろ重心だった前半から、戦い方を変える策を選んだ。

 前半は、グレゴリッチュが孤立するようなシーンが多かったが、ラマンが投入されたことで、前線にボールが入るようになった。また、ビルドアップの形も改善。GKニューベルがボールを触り、両CBが大外に開くようなシーンが増えた。

 後印象的だったのは、アンカーに入ったマッケニーが2CFの間で受けるシーンが多かったことだ。ミランダの折り返しからシェプフがシュートまで持って行ったシーンも起点はマッケニーだったし、その直後にもマッケニーがターンしてからサイドに展開をしていた。
 後半は、このマッケニーが起点になって攻撃を進めるかと思ったが、イエローカードを保持している状態で大迫と激しく交錯。リプレイを見ると、マッケニーの肘が大迫の首元に入る非常に危険なプレーであった。それが引き金になったのか、後半10分にブジェラブと交代。後半が開始してからの10分間、両方の意味で一番存在感を発揮していた選手がベンチに退いてしまった。 

なんだかんだで無失点

 後半、プランBを用意してきたシャルケに対し、ブレーメンは5バックを敷きながら何とか守り切った。

 後半の途中から、相手のビルドアップ時に、アンカーに入ったブジェラブに対してサージェントに監視させたことで、SBへの対応が変わり、シャルケに攻撃のリズムを作り出すのを抑え込めていたように見える。
 また、ブレーメンはここぞという場面で集中力を発揮。押し込まれる展開が前半と比べて増えたモノの、身体を張った守り方は見事だったと言える。
 後半アディショナルタイムには、サネを前線に上げたパワープレーを受けるも、これを凌ぎきってブレーメンが1-0で勝利を収めた。これで3試合連続の無失点を記録。中断明けから、2勝1分1敗と、なかなかの成績を残している。

 明日には、未消化分のフランクフルト戦が控えている。そこで勝利出来れば、残留に向けて大きく前進出来るだろう。

総評

 正直、お互いに消化不良のまま0-0で終わってもおかしくない試合だった。ただ、先制したブレーメンが、最後まで掴んだチャンスを逃さなかったのがこの結果に反映されたと言える。

 シャルケとしては中断明けから4連敗を記録。いよいよ悠長なことを言っている場合では、なくなってきてしまった。
 筆者としては、前半と後半で大きく戦え方を変えた理由が何処にあるのかが気になった後半にその戦い方を選べるなら、前半から後半同様に戦うべきだったのでは無いかと思う。ドルトムントとのルールダービーでも前後半で戦い方を変えていたし、チームとしてのプランがそうならば「そうなんですね。じゃあ前半0で抑えるの頑張って」で済むのだが、この要因が怪我による選手層の無さなのか、それとも日程やコンディションを考慮した戦い方なのかが分からない。実際問題どうなのか、ワーグナー監督に問いたいところである。
 そんな迷子になっているシャルケには、誰かが道標を用意すべきなのは間違い無い。それを用意するのは誰の役割なのかがチームとして明確になっていないのが現状なのだろう。そうなると、チームとして窮地を脱するのには少々時間がかかりそうだ。

シャルケ0ー1ブレーメン

得点者
前半32分 10ビッテンコート

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