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えびふらい

ちょっと思い出したことがあって急に書きたくなった。
むかしの話。

私の住んでいた町には割烹はあったけど今ほど気軽に入れるようなお店はなかった。
店舗数もすくなく、どこかへ外食するってことは車がない自転車一家にはハードルが高いものだった。

なので私の幼少期はいろんな食べ物の味レパートリーは少なかった。

焼肉屋さんデビューは正直17歳の頃だったと思う。
隣の街にあったファミレスもバイトをしてからのデビューだったので16歳頃。
マックも16歳の頃かもしれない…。あ、でも、モスとミスドはめちゃくちゃ早かった。なぜなら昔小松の駅前に母と出かけたらどちらか食べていたのでこれは幼稚園くらいだった。

それでも数回数えれるほどの回数だった。

家庭の味だけで育った人間だった。今思うと最高だけどね。

スーパーも今の時代にくらべれは、そこまでお惣菜のないときだった。

そんな小、中学時代?に食べて感動したものがあった。

小松と寺井の境目に真っ白な二階建ての[キャスロール]という洋食カフェ?があった。
オムライスやグラタン、スパゲティーにハンバーグ…ハイカラなご飯屋さんがあった。

母の職場の友達が迎えに来てくれて
母はまだ小さかった私も連れてってくれて食事をしたことがある。

その母の友達が
「ビヨチャンすきなもんたべていいよー!」とメニューを貰った時に文字がたくさん書かれたメニューをみて感激した。

シェア食べじゃなく自分だけのご飯を頼んでいいとなったのはここが初めてだったと思う。

いつもどうせ全部食べられないと親たちとシェアだった
なので姉たちのフル料理が羨ましかった

なので今回凄く嬉しかったし、母のその友達が私に喜びを教えてくれる人と大好きになった瞬間でもあった。

わたしは初めてお子様ランチプレートを頼んだ。

国旗がついたチキンライスとプチトマトときゅうり、葉っぱの添えもん。それにポテトフライとミートボール。ひとくちゼリー。

そして私に衝撃を与えた


エビフライ。

それがどどーんとでてきた。
自分だけのプレートに感激した。メインがメインできちんとある!!半分こになってない!!!


もしこの時代にmy携帯があったら私は間違いなく写真を連写していたと思う。

まずは

国旗を引き抜く。
私の国旗。国は忘れたけども。
でも運動会の空にかかる数々の国旗である。
ケチャップを舐めとって「これ持って帰る!」と宝物にした。

それからまずは国旗でポテトをたべた。
シナシナの太めのポテトフライだったと思う。
そしてプチトマト。キュウリと食べすすめる。


半分こになってないありのままを食べる楽しさ
何を次食べようかと選ぶ喜び。
るんるんで食べた記憶が今もなお残っている。

My Dream…❤

このころ
好きな物は最後に食べる子だった。
私の中でメインはエビフライ。

あまり食べられない外食グルメであった。

チキンライスにミートボールを食べて
最後に残したエビフライ。

中指ほどの太さで大きさのあるエビフライに感激した。
フォークでさした瞬間
ザクむちっとした感触におぉ~!となった。

ガブりと噛み付いた瞬間に脳天に響くような衣のサクサクときた心地よい揺れ。
さらにムチッとした海老の身がわたしの新たな食の1ページを刻む。

さくさくとむちむち。

食べると自然に笑顔になるとはこういうことなのねと、子供ながらに感じていた。

私の中では外食というのはテーマーパークにいくような感覚で、まさにディズニー的な感覚。

このワクワクはいつも私の中での大好物を書き換えていった。

このエビフライはこのころの私の最推しの食べ物になったのだった。

母に今日のご飯なにー?と聞くより
ねぇ!今日のご飯 エビフライー?となった笑

口を開けばエビフライ。

これは今としてはウザかったと思う笑
でも当時はあの感動を思い出したくてしょうがなかった。

それは親だけに留まらず。
ばーちゃんにも聞いていた。

ばーちゃん!ばーちゃん!
エビフライって知っとるー?
食べたことあるー?

ばーちゃんは ニコニコしながら私のエビフライ愛を聞いてくれていた

ば「ビヨはエビフライが好きなんか?」

ビ「うん!大好き!たった!!大好き!」


そんな日が続いて……とある土曜日。

ばーちゃんが 土曜の昼にお家にきまっし。

と私に伝えた。
なんだろ?銭湯にでもいくんかな?と思いながらいた

土曜の授業がおわり、ばーちゃんちに向かう。

 ニコニコと笑うばーちゃんが縁側で作業していた。

手元を見ると殻をむいたエビを大量に下処理していた。

短くはあるがそこそこ大きい!

え!と思ってばーちゃんを見つめると

「エビフライ。食べたいんやろ?」

そう言ってくれた。

わたしは思わぬサプライズに

やった!やった!!!とピョンピョン飛び跳ねた!

それから背ワタもとったエビを新聞紙に広げて
小麦粉、たまご、パン粉をつけ出来上がったものを台所へ。

わたしもついてまわった。

油やし気いつけや


ばーちゃんが菜箸で油の温度を測り、一匹づつ揚げていく。

じゅあわわ

心地の良い音に胸も踊る。

あのエビフライが家で食べられるなんて!
わたしは幸せに満ち溢れでいた。

お店とは違う丸くまるまったエビフライが新聞紙の上にたくさん揚がる。

でもそれは正しく、エビフライ。
わたしの大好物である!

すごいね!すごいね!早く食べたいね!

全てのエビフライが揚がり終わる頃にばーちゃんはお茶碗になすのそうめんの味噌汁とつけもん、それと千切りキャベツにご飯を用意してくれた

あと醤油。

レストランとはちがうけどエビフライプレートの完成!
青い花柄のお皿によく映える。

いつも煮魚とかのせるやつなのに見た目が違うね、まさにここはレストラン!

ばーちゃんがちゃぶ台に並べてくれた。
そして真ん中に新聞紙ごと乗ったメインのエビフライの皿をもってきてくれた。

となりに醤油も。

ばーちゃんはいつも食べる時に 手を合わせて

「ナンマンダブナンマンダブ…」という。

私もそれを真似してから頂く。

まずはお味噌汁から。
昨日の晩に作ったそうでナスとソーメンがクタクタで。箸ではもてない。でもそれがまった美味い。

そしてご飯。
ガス釜で炊いていたので朝炊いたもんでもこれが美味い。

そして、ばーちゃんが
「エビフライいっぱいあれんし温かいうちにたべまったし」

メインは最後に食べるわたし。

え?いいの?もう食べちゃっていいの?

ば「これ全部びよのんや。たべまっし」

なんだか、ドキドキしながら箸でつまむ。
ドキドキドキドキ。
スプラッシュマウンテンくらいのドキドキ。
(乗ったことないけど。笑)

箸でつまむその感触。
サクッとあがっているのがわかる。


わぁぁあ!!!!エビフライだーっ!!!

脳内が騒ぐ。

ゆっくり持ち上げるとえびのズンとした重さがあった

落とさぬように慎重に運ぶ。

 大きな口を開けて エビを迎え入れる

エビフライ 口の中に


無事着地。

歯をゆっくり閉めていく。

ザクザクとした響とムチッとしたエビにあたる。

ぐにり。とかみきる。

もぐもぐ。


あーーー!!!!これだ!!これだ!!!
走馬灯のようにキャスロールで食べたエビフライの記憶が蘇る。


ば「うまいか?味足りなんだら醤油かけまっし」


……ばーちゃんそれは無粋なのよ。いまビヨはね?エビフライのそのままを味わいたいのよ

ただひたすらに咀嚼する。
そのたびに、さくさくとむちむちが交互にやってくる幸せ。

ごくりと飲み 

「ばーちゃん!うまい!レストランの味や!」

そう言うとばーちゃんはニカーっと笑って

もっと食べ待っし!といってくれた。

あと10本以上あるエビフライを最後と言わず食べる

こんな幸せあっていいんだな。
幸せやな。ありがたいな。ナンマンダブナンマンダブ……。

そう思いながら2本目を食す。

おいしいおいし。


三本目にとあることに気がつく。

ほんのすこーーしだけ。

なにか身がなんというか土、臭い。

ほんのすこーーしだけ。

んー…?と思いながらもエビフライをたのしむ。


 そういえばお母さんが言っていた。

エビは高いから買えない。と。

ばーちゃんがこのエビフライを作るのにどれだけのお金や思いを込めてくれたんかと…。

ばーちゃんは金がないとよく言ってたし言われた←

だから幼い私もなんだか嬉しくてでも申し訳なくて

ビ「ばーちゃん沢山ありがと!たこついたやろ?(訳:高くついたでしょ?)」


ばーちゃんは二カーっと笑って 
「なんもや。安ついとるし気にせんでいい!いっぱい食べまっし」

ビ「でも…おっかー言うてたよ?立派なエビは高いって!」

ば「なんもやて。エビはタダや。」

エビはタダ?

私は首を傾げると

ば「横の川にいっぱいおる」

そう。ばーちゃんちのよこには用水が流れている。

私は へ?と止まった。

ば「横の川にいっぱいおるし取ってきたんや」

それは

それは…

それは…幼少期近所の男友達とよく捕まえたり、釣りしたりして遊ぶあれか…?

ビ「え?あの…もしかして…ザリガニ…?」

ば「ほや。」


 うわぁぁぁあ!!!!!!!!(心の声)
私の中にある生きている姿のザリガニたちが走馬灯のように甦る

 ビ「え!?ザリガニ!?アメリカザリガニ?」


ば「種類まではわからん!でもお前らも川でひろとるやろ。」


ビ「」

アメリカザリガニーーーーー!!!!!!!笑


私の大好きだったエビフライに化けたアメリカザリガニもしくはニホンザリガニ


くっそーー!!!!!ほどよく美味いやないかーー!!!笑

私の複雑な思いとうらはらにほんのり臭みはあるものの美味い…。それがまた複雑な気持ちにするのであった。







 


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