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中小企業の海外戦略

はじめに


中小企業の皆さん、海外市場への展開を考えたことはありますか?今回は、豊田通商のカンボジアでの成功事例をもとに、海外展開のヒントをお伝えします。彼らの戦略は、中小企業にも応用可能です。結論から言うと、地域に根ざしたビジネス展開と、一貫したサービス提供が成功の鍵です。

豊田通商株式会社は、トヨタグループの総合商社で、金属、グローバル生産部品、ロジスティクス、モビリティ、機械、エネルギー、プラントプロジェクト、化学品、エレクトロニクス、食料、生活産業の事業領域で豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業です。設立は1948年で、名古屋本社、東京本社、大阪支店を持ち、株式は東京証券取引所と名古屋証券取引所に上場しています。従業員数は単体で約3,315名、連結で約66,944名です。

地域特性を理解


豊田通商はカンボジアで自動車の組み立て工場を開始しました。なぜカンボジアなのでしょう?カンボジアは人口約1700万人、GDPが2000ドル未満と小国ですが、経済成長が期待される新興市場です。豊田通商はアフリカでの経験を活かし、伸び盛りの市場へ投資しました。中小企業の皆さんにも、市場の特性を深く理解し、自社の強みを生かせる市場を見つけることが大切です。

豊田通商がアフリカでのビジネス展開に成功している理由

市場分析と展開戦略

アフリカは「中古車王国」と呼ばれ、耐久性の高い日本車に対する需要が高いことを豊田通商は見逃していません。2025年までに54カ国に認定中古車店「オートマーク」を展開し、2030年には新車と中古車を合わせて50万台の販売を目指しています。これは、アフリカのモータリゼーションの波に乗り成長市場でのシェアを確保するための明確な戦略です。

顧客ニーズへの応答

アフリカ市場では、適正な輸出入手続きを経ていない車両や、修復歴が不明確な車両が流通していることが問題となっています。豊田通商は、品質の高い中古車を提供することで、この「グレーなマーケット」に対抗し、信頼性の高い選択肢を顧客に提供しています。

サプライチェーンの強化

子会社化したカーペイディーエムを通じてオンライン輸出販売を強化し、在庫共有などの販売体制を整えています。また、トタルエナジーズと連携し、ガソリンスタンド内に修理や車用品販売のスペースを設けることで、アフターサービスのネットワークを拡大しています。

生産と雇用の創出

トヨタ自動車からアフリカでの営業業務を移管されたことで、エジプトやガーナなど5カ国に自動車工場を設け、地元での生産を通じて雇用創出や技術伝承を行っています。これにより、現地経済への貢献とともに、市場ニーズに迅速に応える体制を築いています。

将来への投資

脱炭素を成長分野と位置付け、2030年までの10年間に約1.6兆円を投資する計画です。特に、電池関連に約4000億円を充てることで、アフリカの電動化市場でのリーダーシップを目指しています。

これらの戦略的な取り組みにより、豊田通商はアフリカ市場での成功を収めており、今後もその地位を強化していくことが予想されます。アフリカの経済成長とともに、豊田通商のビジネス展開は「最後のフロンティア」としてのポテンシャルを最大限に活かしていくでしょう。

中小企業が海外で成功の可能性を広げるために

多角的なビジネス展開

豊田通商は、新車の販売だけでなく、修理やローンなど幅広いサービスを提供しています。これにより、顧客との接点を増やし、長期的な関係を築いています。中小企業でも、自社の製品やサービスだけに留まらず、顧客のニーズに応じた多角的なビジネス展開を考えることが重要です。

地元との協力


カンボジアの新工場では、地元企業からの部品調達も検討されています。これは、地元経済への貢献はもちろん、現地でのビジネスの安定性を高めるためにも有効です。中小企業にとっても、現地のパートナーと協力することで、市場への理解を深め、リスクを分散できます。

結論


海外市場への展開は、大企業だけの話ではありません。中小企業でも、地域特性を理解し、多角的なビジネス展開を行い、地元と協力することで、成功の可能性を広げることができます。豊田通商のカンボジアでの成功事例から、中小企業の皆さんも新たなビジネスチャンスを見出してください。

引用: 2024/05/03 日本経済新聞 朝刊 12ページ

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